非効率ユーザーインタビューの勧め
こんにちは。GMOペパボのまるやまです。
僕はデザイナーなのですが、今年10月から営業活動を行なっています。
今年8月に行われた社内の新規サービスプレゼンイベント「P1グランプリ」で、音楽に関する新規サービス案をプレゼンしたのですが、それがオーディエンス賞を受賞し、そのプレゼン案の可能性を探るべく、ペパボのサービスにアーティストを誘致する活動を行なっている、という事情です。
(オーディエンス賞をいただいたところ。緊張で覚えてません。)
現在、営業活動の一環で音楽ファンに直撃インタビューを行なっていまして、その活動が、まだこの世にない新規サービスへの貴重なデータとなっていると同時に、最高のユーザーインタビューができているんじゃないかと感じています。
今日は、ツールや技術を駆使して効率化が進むユーザーインタビューの世界に全力で逆走する、僕のお話を書きたいと思います。
「お前からは金のにおいがするんや!もっとさらけだせ!」
この活動を始めた10月初旬、「クリトリック・リス」(以下スギムさん)というアーティストと、ありがたくもお話できる機会がありました。きっかけは、僕の同僚がペパボHRブログに書いた、スギムさんのライブをみんなで見にいった話を、スギムさんが見つけてくださったことから始まりました。
その時、営業を始めてまだ2週間くらいで、営業なんてしたことがない僕は、どんなアーティストにメールしても、どんなファンに声をかけても、ずっとスルーされていました。「僕が気持ち悪いからだろうか...」なんて感情も湧き始めたその頃、スギムさんとお話したのです。
酒の席でしたが、恐る恐るスギムさんに相談したら「なんやわからんけど、お前な、お前からは金のにおいがぷんぷんするんや!もっとさらけだせ!心開いてないやつの話なんか誰も聞かんぞ!」と言われました。
なるほどなあ〜と思いました。僕は極力失礼のないようにとか、怪しまれないようにばかり考えていました。結果、ものすごい他人行儀でビジネスライクになっていたんです。
それからは、アーティストでもファンでも、極力自分の気持ちや想いを見せながらお話しようと思いました。
(スギムさんとStroyWriterの西澤さんと。)
「なんやお前は!ナンパか!」
音楽ファンが集まる場所はライブハウスが多いです。さらに多くのファンが集まるのはサーキットフェスなどです。僕はとあるサーキットフェスに行って、ファンインタビューをするようになりました。
スギムさんのおっしゃった言葉を胸にしつつも、やはり緊張からか、言動がかなり怪しかったと思います。
それでも、たくさんの方がお話をしてくださりました。僕も音楽が大好きなので、お声がけする時は緊張しまくってたのですが、お話するにつれ、だんだんと楽しくなってきました。
ある時、数人のグループにお声がけさせていただいたのですが、そのグループにいた人から開口一番言われた言葉が「なんやお前は!ナンパか!なにしとんねん。ちょっとこっちこい!」でした。「ナンパもなにも、お互い男じゃないですか...」と思いつつも、スギムさんの言葉を思い出し、しっかりお話しました。
僕が考えたサービス案に対する想い、熱意、未来の姿などを語り倒しました。話をするうちに、最初は怪しんでいた相手もすごく共感してくれて、翌日も顔を合わせてお話する仲になりました(そのサーキットフェスは数日連続開催でお声がけしたのは初日)。サービスのアドバイスなどもいただいたり、知っている知識を色々教えてくださったり。
結局何が言いたいのか
僕は10年以上ペパボにいまして、ユーザーインタビューも数多く行なってきました。アンケートフォーム作成はもちろん、実際にユーザーさんに会いに行ってお話を聞いたことも何度もあります。
でもそれは既存サービスの話で、サービスはリリース済みという前提ですし、相手はそのサービスを利用している人で、共通認識も言語もあります。インタビュー方法も、事前にアポを取り、チームメンバー数人と伺って、謝礼もお渡しする方式です。
「自分で考えたサービスの可能性を知りたくて、1人で見知らぬ人に声をかけまくる」という行為を通して感じたことは、自分をさらけ出すと、相手は普段話してくれない、深いところを話してくれることでした。そんなこと当たり前かも知れませんが、本当にこれをやって、実際に経験するのとしないのとでは全く違うと思います。そして、そこにこそ新しいサービスのコアとなる何かが眠っていると思います。
当然、僕の行動は全然効率的ではありません。サービス運営などをしていると、時間も限られています。効率悪すぎて絶対やっちゃダメなやつです。
ただ、こうしてビジネスを忘れたところで、腹を割ってユーザーさんと会話をするのは本当に学びが多いですし、単純にすごく楽しいです。そしてありがたいことに共感していただいた方からは、応援までしていただけます。
そしてそれは、プレゼン案に対してだけでなく、僕の人生においても大きな財産となってます。一生懸命、誠意を持って話せば、伝わる人には伝わるんだとか。人は孤独だけど、心の一部分や、一部の人とは確実につながれるんじゃないかとか。
ちなみに僕は超人見知りです。自分で気持ち悪いくらいです。普段はこんなこと絶対出来ません。ただただ「このサービスやりたい!」という自分の気持ちに、自分を連れて行ってもらっている状態です。
まだまだサービスを作れる根拠も薄ければ、つながっているアーティストさんは少ないです。それでも、応援していただいた、たくさんの名前を知らない人からいただいた勇気で、引き続き頑張りたいと思います。
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最後に宣伝させてください。僕が変わるきっかけとなったスギムさんことクリトリック・リスが来年4月20日に日比谷野外音楽堂でワンマンライブを行います。
安全面などはプロに委託し、Do it yourself精神でやれる事は全部自分達でやろうと思います。何百万というお金がかかりますが、家を担保にお金を借り、人生を懸けてやります。クリトリック・リスの集大成をお見せします。日比谷野外音楽堂の長い歴史の中でも、伝説の日となるでしょう。
僕は洋邦問わず色々な音楽を聞きますが、どんなジャンルの音楽を聴く人でも、何の前知識がなくても、スギムさんのライブは楽しめると思います。スカムと言われてますが、こんなボーダレスなスカムを僕は知らないです。みなさまぜひ!僕も行きます。
この記事は ペパボデザイナーAdvent Calendar 2018 10日目の記事でした。次回の担当は、アナログを愛するデジタルデザイナー、ぞえちゃんです。お楽しみに〜!
※ぞえちゃんに描いてもらった似顔絵。いいでしょ。6万倍美化していただきました。
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