2024年ドバイ旅行

2023年12月31日から2024年1月5日まで、ドバイ旅行に行ってきました。ドバイは2012年以来およそ12年ぶりとなります。旅の様子はYouTubeにまとめています。


ドバイはここ10年間で毎年5%以上人口が増えており、12年で倍になりました。また、高層ビルも増え、メトロやトラムなどの公共交通機関も増えました。したがって12年前の記憶は頼りになりません。

アラブ首長国連邦 人口(CEIC)

Wikipediaに載っているような基礎情報は極力割愛しますが、ドバイはアラブ首長国連邦のうちの1つの首長国であり、アブダビと並んで最も近代化が進んでいます。GCC(湾岸協力会議)に属しており、中東の国ですがリベラルです。人口の9割を外国人が占めます。

ドバイは絶対君主制の政治システムを取り入れております。公共交通機関であるRTAは政府機関であり、不動産デベロッパー(EMARR、NAKHEEL)も政府系企業です。つまり、ドバイは完全な計画都市です。

日本の場合、民主主義的な合意形成で街が形成されてきました。例えば東京を見渡すと、丸の内は三菱系、渋谷は東急系、六本木麻布エリアは森ビルというようにデベロッパーや地主が個別最適な街づくりを進めてきました。それにより、ある場所では交通渋滞が発生したり、駅のキャパシティに対して人口密度が増え過ぎていたりと、調整の弁が取れていません。

一方、UAEは砂漠という白紙のキャンバスに計画的に都市を形成したため、景観は統一されています。今の所、公共交通機関や幹線道路が整備されており、統制は取れていると感じます。

ドバイの街並(クラブツーリズム)

しかし、高層ビルが立ち並ぶ近代都市が魅力的かと言えば、好き嫌いは分かれるかも知れません。消費を主とした計画都市では貧富の格差が明確に可視化されます。私は個人的にはオールドドバイのような歴史的な街並みに魅力を感じました。

カウントダウン

今回の旅のメインはドバイのカウントダウンでした。しかし、前日に航空券を買って行ったので、何の予約もしていませんでした。Burj Kalifaのカウントダウン花火は予約なしでも遠くから見ることができますが、ドバイファウンテン周辺から見るには近隣の飲食店やホテルの予約が必要です。これには最低で10万円ほどします。

また、カウントダウン時には多くの道路が交通規制で閉鎖され、ドバイモールのメトロ駅にも停止しません。近くで花火を見ることは可能ですが、帰る時にタクシーは使えません(料金も10倍ほどになる)し、近くのメトロ駅にも入場制限がかかります。可能であれば、事前予約をするか、徒歩圏のホテルに泊まるべきでしょう。

ドバイではBurj Kalifaだけでなく、多くの場所でカウントダウン花火が打ち上げられます。規模で言えばパームジュメイラのカウントダウンが一番派手と言われています。船で花火を見るツアーもあるため、マリーナ近くに滞在してる方は選択肢として良いかも知れません。

交通

ドバイの交通機関には鉄道(メトロ、トラム)、タクシー(Uber, Careem含む)、バスがあります。また、ドバイマリーナやドバイ川には渡し船があります。

結論として、主な移動手段はメトロ(ゴールドクラス)とUberが良いと思います。

鉄道(メトロ、トラム、モノレール)

Dubai 路線図(RTA)

以前ドバイを訪れた頃は、メトロはレッドラインしか存在しておらず、またトラムもありませんでした。しかし、ドバイ万博(Dubai Expo2020)によりレッドラインが延伸しました。また2018年にグリーンライン、そしてドバイマリーナを巡るトラム(路面電車)ができました。レッドライン、トラム、またパームジュメイラを走るモノレールは乗換が可能です(ただし、駅間には少し距離があります)

ドバイは車社会であるため移動にはタクシーが便利ですが、前述の通り急激な人口増加により、交通量も増えています。したがって車移動よりもメトロの方が定時性が良い場合があります。長距離移動はメトロで、短距離であればタクシーという風に使い分けると良いでしょう。

メトロには現在、レッド、シルバー、ゴールドの3種類のカードがあります。厳密にはブルーもありますが、ドバイ居住者しか使用できないため割愛します。

Nol Card の料金表(RTA)

Nolカードはゴールドをお勧めします。もともとメトロは庶民の足であり、リーズナブルな金額に設定されています。ゴールドカードは通常料金の倍の金額ですが、もともとの金額が安いので大した金額ではありません。

またメトロは時間帯によって大変混むため、ゴールド専用車両の方が衛生的に良いでしょう。通勤時間帯は東京やニューヨークのメトロ並みに混みます。

余談ですが、ゴールドカードを持っていないのにも関わらずゴールドクラスに乗車する輩は一定数います。もしバレたら100AEDの罰金ですが、ドバイメトロは無人運転であり、乗務員はいません。またカードチェックも不定期であるため、それを知ってか知らずか、カードを持ってないのにゴールドクラスに乗る客をよく目にしました。ちなみに私がドバイに滞在中、カードチェックをされたのは一度だけでした。

タクシー

タクシーに乗るならUberかCareemの2択です。流しのタクシーもさほど高くはありませんが、チップが面倒なのと、サービスのクオリティも低いです。私は一度エミレーツモールで流しのタクシーに乗ろうとしましたが、行き先を伝えたところ、断られてしまいました(そのタクシーは私のすぐ後ろにいた若い女性客を乗せました。非常に不快でした)。

Uberは登録できる車種が限られているため、クオリティの低いメーカーやブランドは登録できません。言い換えれば、通常のタクシーより良い車種が使われています。

今回の旅で私が使ったUberタクシーはほぼテスラ・モデル3でした。また、レクサス、BMWもありました。

Uberの金額は時価ですが、目安としてはパームジュメイラからダウンタウンまで50AED(約2,000円)なので高くはありません。ドバイの主要観光地は集約されているので、最大でも70AED程度に収まります。複数人で乗る場合はUber一択でしょう。

注意点を挙げると、GPSの精度が悪い場所では乗車場所の指定が難しいこと、場所により乗車場所が指定されていること、ドバイは急激に人口が増えているため交通渋滞が発生することです。

ちなみにUberの使用にはドバイの電話番号付SIMが必要です。日本のアカウントをそのまま使おうと思っても繋がりませんでした。

アブラ(渡し船)

アブラはRTAが運用する渡し船であり、主にドバイ川や、一部ドバイマリーナなどに観光用のアブラが存在します。また、ドバイ川とドバイマリーナをフェリーが結びます。

アブラ(Visit Dubai)

ドバイ川のアブラは片道1AEDであり、庶民の足となっています。アルシーフ、バスタキアなどを観光して、アブラで川を渡ってスークに行くというのが鉄板の観光ルートです。

私はアブラが好きです。アブラは伝統的な移動手段であり、昔のドバイの生活が窺えます。ドバイ川は海水であり、水は透き通って綺麗なので、小魚やクラゲが泳いでいるのが視認できます。

ドバイ国際空港(DXB)

利用者数世界一のドバイ国際空港(Wikipedia)

ドバイ国際空港は中東のハブ空港です。エミレーツ航空がメインで就航する空港となります(同様にアブダビ空港はエティハド航空のハブ空港です)

各大陸から多くの方が訪れる、世界で最も忙しい空港です。利用者数は堂々の世界一位です(年間利用者2,900万人 2021年)したがって、動線やオペレーションは分かりやすく出来ており、迷うことは少ないと思います。

一方で注意点として、下記を挙げます。

・めちゃくちゃ広い
ドバイ空港の面積は2,900haであり、これは成田空港の約2.5倍の広さになります。メトロ駅からゲートまでかなり歩かされるため、余裕を持った行動が必要です。

・荷物の預入(baggage drop)に時間がかかる
前述の通り多くの人が利用するため、荷物の預入にかなりの時間を要します。私は2時間以上前に空港に到着したにも関わらず、荷物の預入に30分以上要したため、ギリギリの搭乗でした。チェックインはネットで出来ますが、荷物預入は長い列に並ぶ必要があります。

SIMカード

空港で無料でduのSIMカードが配られます。duは政府系の通信企業です(日本でいうNTT)。ドバイではdu, etisalatそしてvirgin mobileが使用できます。私は空港でetislatの無制限SIMカードを購入しました。ドバイではあらゆるサービスが電話番号と紐付いているので、電話番号付のSIMカードの方が良いでしょう。

下記は電話番号が必要なサービスです
・Uber
・whatsup(ただしチャットのみ。通話機能は使えない)
・一部の両替商

両替

現金を使うタイミングは、流しのタクシー、オールドドバイのローカルレストラン、後述するナイトクラブ(有料記事)くらいです。他はクレジットカードはじめ電子決済が使えます。

ドバイのスーク(Visit Dubai)

タクシーやローカルレストランはそれほど料金は高くありませんが、ナイトクラブは高額紙幣が必要です。

ネットでは「スークには両替商はない」もしくは「スークはレートが悪い」との情報がありますが、それは古い情報であり、現在はあります。また、空港はレートが悪く、ショッピングモールはレートが良いとありますが、これも必ずしも確かな情報ではありません。

レートの良い両替商は、ナイトクラブの方々が詳しかったです。彼らは現金主義であるため、両替に精通しています。

一般的にはEmirates NBDやADCBの ATMがレートが良いです。私はホテル近くのADCBを使っていました。また、円よりもドルやユーロからAEDに両替した方が良いです。

ただし、繰り返しになりますが、両替のレートはピンキリです。ドバイにある金融機関はインド系、中華系、米系、ヨーロッパ系など多岐に渡るため、それぞれの金融機関と通貨によってレートにバラツキがあります。実際のレートを見ながら決めるべきでしょう。

トイレ

ドバイのトイレは、公衆トイレを含め比較的清潔と言えるでしょう。特にショッピングモールやホテルのトイレは衛生的です。

ドバイのトイレ(All About)

便器は日本のTOTOをよく見かけました。ドバイメトロやドバイモール、空港はTOTOです。

大抵のトイレにシャワーが付いています。ホテルや空港などのシャワーはお湯が出て、水圧も適度であったため有用でした。携帯用ウォシュレットが不要です。一方、場所によっては非常に水圧が強く、お尻にもう一つの穴が開いてしまいそうでした。

治安

治安は極めて良いと感じます。アメリカのように多様性が進んでいる都市ですが、もともとイスラム系は戒律が厳しいこと、問題を起こした外国人はビザが剥奪されること、警察の数が多いことにより、統制が取れています。

酔っ払いやドラッグ中毒者、路上生活者は見かけませんでした。店も夜遅くまで開いており、女性や子供が夜歩いている姿を多く見かけました。

気候

アラブ首長国連邦は暑い国です。

年末年始シーズンで最高気温は連日28度でした。湿度は低いためとても過ごしやすい気候でした。

ただし、時折吹く砂風で喉の鼻がやられます。マスクはあっても良いかも知れませんが、ドバイでマスクをしてる人はほとんどいませんでしたので、浮くかも知れません。

ミッションインポッシブル ゴーストプロトコル

年末年始シーズンが最も気候的にお勧めできると思います。夏になると気温が40度以上になり、さらに湿気も95%程度になるため、屋外では過ごせません。

ホテル

ドバイには多くのホテルが存在します。これも結論から言うと、アメリカ・ヨーロッパ系のホテルに泊まった方が良いです。

ドバイにはヒルトン、ハイアット、シェラトンのような高級ホテルが数多あります。また高級ホテルに限らず、西洋系のビジネスホテルもあります。これらのホテルはサービスの質が安定しており、安心して過ごせると思います。

一方、それ以外のホテルはサービスは期待できません。私は年末年始ということもあり、たまたま空いていたインド系のホテルチェーンに滞在しました。このホテルはGoogleやagotaなどの口コミは星4個を超えていたものの、あまり清潔ではありませんでした。また食事もインド料理であり、口に合いませんでした。

グローバルで考えた時、日本人の【星4個】とインド人の【星4個】は異なります。例えば、日本の東横インは高級ホテルでないにも関わらず、サービスの質は非常に高く清潔です。

こういった日本のサービスに慣れている日本人にとって、グローバル水準の【星4個】は相対的にショボく見えます。例えば私が滞在したインド系ホテルも「清潔」という口コミが多かったものの、風呂場や洗面台のゴムパッキンなどの作りは適当であり、とても清潔であるとは感じませんでした。

同様に、ドバイの公共交通機関や公衆トイレも概ね清潔ですが、日本の公共機関と比べるとだいぶ劣ります。したがってグローバル水準ではドバイは清潔と言えますが、日本に比べると不潔です。神経質な方は西洋系のホテルチェーンをお勧めします。

お勧めの観光スポット

何を持ってお勧めかは旅の目的やその人の感性にもよるでしょうが、私の場合は歴史や文化に興味があり、一方でBurj khalifaやDubai mallにはあまり興味が湧きませんでした。バスタキアなどオールドドバイの歴史保護地区はとても良かったです。

Old Dubai Map

高層ビルに行くのであれば、わざわざドバイではなく、あべのハルカスやスカイツリーに登れば良いです。またショッピングモールは六本木ヒルズやららぽーとで十分です(買い物はAmazon派です)。また、パームジュメイラなどの人工島は言い換えれば埋立地に過ぎないので、お台場と変わりません。やたら誇張して自慢げに説明されますが、埋立地は世界中にあります。

私が旅で重視するのは文化や歴史です。ドバイ並びにアラブ首長国連邦がどのように形成されたのか、イスラム風の建物や食事に触れたいと思いました。そういった意味で最もお勧めするのはオールドドバイのバスタキアなどです。

スークは見る分には良いですが、お勧めしません。客引きが強引で、強く腕を引っ張ってきます。女性の力では敵わないでしょう。また、スークの商人はパキスタンからの出稼ぎなので、現地の生活を窺い知れるわけでもありません。

スークでは通常の販売価格よりも高い金額をふっかけてきます。私はこの手の行為が嫌いです。観光ガイドによっては「値引き交渉も観光の醍醐味」と書かれている場合もありますが、ぼったくりは許されるべきではありません。

今は電子決済サービスが進んでおり、明瞭会計がスタンダードです。したがって、たとえ安くても彼らにお金を支払うつもりはありません。私は質の高いサービスにお金を払うべきだと考えています。スークは遠くから眺めるだけで、実際にお土産を買うのはモールや空港で十分です。

面倒な客引きが嫌であれば、スークマディナジュメイラやアルシーフ、もしくはバスタキアの土産物屋で買い物をしましょう。ここは「スーク風」のショッピングモールであり、強引な客引きはありません。イメージはディズニーシーのアラビアンコーストです。

Souq Madinat Jumeiraドバイの気候(MCO-TRIP)

ちょっと批判的な目線でドバイを見てみる

「世界一の〇〇」は飽きる

世界一高いタワー、世界一の噴水、世界一の額縁…等。ドバイにはギネスワールドレコードに登録されている「世界一」が多く存在します。しかし、それらの「世界一」は一見すると煌びやかですが、すぐに飽きることでしょう。

高層タワーなど、ドバイに行かなくても、日本で東京スカイツリーやあべのハルカスを見ることができます。「高速エレベーター、スケルトンの床、展望台」どこもかしこも似たような演出で、二番煎じ感が否めません。

私はギネスワールドレコードよりも、文化的・歴史的な遺跡の方が価値があると感じます。ちなみに、UAEにはアルアインの文化遺跡群が唯一の世界遺産として登録されています。はるばる12時間もかけてドバイまで行って、わざわざ高層タワーを見ても面白くありません。

消費を目的とした街に魅力はない

デベロッパーが形成した、消費を目的とした街に魅力はありません。たとえば、ドバイにはDubai Mall、Emirates Mall、Nakheel Mallなどのショッピングモールがあります。そこには西洋のハイブランドが立ち並びます。街を歩けば、客引きが土産物を買うように執拗に言ってきます。

しかし、冷静に考えて、ハイブランドを買う機会は多くありません。今日日、買い物はネット通販で十分に事足ります。あくまで、お金が余って仕方がない富裕層が道楽的に楽しめる場所であり、庶民には手が届かないものです。

現在、東京でも大企業(デベロッパー)を中心とした再開発が至る所で行われていますが、企業が作った街はつまらないものです。企業の目的は利益追及であり、消費させることを目的とします。つまり、街を訪れた人々に、どのように買い物をさせるかということに重きを置いており、つまらない街に成り下がります。「また来たい」と思える街ではありません。

自然環境が悪過ぎる

UAEは国土の大部分が砂漠であり、不毛地帯です。比較的過ごしやすいと言われる年末年始シーズンでも最高気温は30度近くになります。また、このシーズンは乾燥して砂塵が舞い、喉や鼻がやられます。夏は言わずもがな、高温多湿で外に出ることすらできません。

ドバイの気候(MCO-TRIP)

長い人間の歴史で、高度な文明が発達し、多くの人が定着した場所は自然環境が穏やかな場所です。例えば、地中海気候のような場所です。自然の川や湧水があり、冷暖房なしで人間が生活できる場所に人は長く定着します。ドバイに20年も30年もいたいとは思えません。せいぜい2年位で耐えられなくなるでしょう。

例えば、私は東京港区のオフィスビルや高層ビルが立ち並ぶエリアに住んでいたことがありますが、半年ほどで気が滅入りました。徒歩圏に六本木や麻布などがあり、当初は興奮しましたが、観光地が近くにあっても毎日通う訳ではないので、かえって邪魔になります。ビル街は太陽の自然光が入らないので、鬱っぽくなります。

また、メキシコ中央部の乾燥地帯に住んでいたこともありますが、湿度が常に0-5%程度であり、体の水分がすぐに抜けて便秘などの症状が出ました。本来の人間は、適度な気温、飲み水(淡水)、農耕に適した自然がなければ生きていけません。24時間空調で管理された環境は必ず精神的におかしくなります。長く定住することはできません。

移動の利便性が低い

ドバイは車社会をベースとしており、公共交通機関はまだまだ発展途上と感じました。したがって、旅行では電車移動ではなく、タクシー移動が必須となります。一方、人口増加により渋滞も多く発生しています。

例えば、下記はパームジュメイラの図です。パームジュメイラは、その名の通りPalm(やし)の形を模した人工島です。木の幹に相当する部分に幹線道路とモノレールが走り、葉に相当する部分にはレジデンスなどがあります。また、全体を囲うように埋立地が形成され、これは防波堤の役割を果たしております。

常に渋滞が発生・ドバイの海岸エリア

パームのレジデンスは、当初ハリウッドセレブが挙って買いに出たわけですが、とても利便性が良いとは思えません。陸路で移動するには、必ず幹の部分を通過する必要があります。そこに住民と観光客が集約されるので、渋滞のボトルネックとなります。タクシーでナキールモールに移動する際には必ずといって良いほど渋滞に巻き込まれるでしょう。

さらに、パームはレジデンスと観光の両方を兼ねるため、日々何万人もの観光客が訪れます。レジデンスは観光客に見下ろされる位置にあり、プライバシーが保たれません。家が丸見えなのです。

同様の現象はDubai Marinaでも発生します。Dubai Marinaには多くのタワーマンションが林立しますが、その分人口密度も増え、車での移動には渋滞がつきまといます。まず、電車(トラム)で幹線道路まで出た後にタクシーを呼んだ方が良いです。

Dubai Marina

日本でも武蔵小杉や豊洲でタワーマンションを建てまくったせいで、周辺駅が大混雑するという事態になっていますが、単位面積あたりの人口が増えれば混雑するのは当然であり、利便性は落ちます。目先の利益を優先したデベロッパーが、歪な街を形成してしまった結果と言えるでしょう。

目先の利益を優先した街は長続きしません。ぱっと見は綺麗ですが、何年もそこで生活するビジョンは見れません。あくまで投資家(富裕層)の資産運用目的の建物であり、サステイナブルな街ではないと感じます。

ちなみに、パームジュメイラの面積は5.7キロ平米であり、膨大な砂漠の土を使った埋立地です。そこには大変な労力があったとうかがい知れます。一方、東京湾の埋め立て地はその10倍の約57.3キロ平米です。つまり、埋立地(人工島)を見たいのであれば、わざわざドバイに行かなくとも、お台場にもっとすごいものがあるぞ、と言いたいです。


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