器用貧乏
マルテン醤油はいろんなものを製造しています
通販サイトの方を見て頂ければ分かりますが、当社は結構いろんな形態の製品を扱っています。会社は醤油醸造業から始まっていますが、「つゆ」を始め「ポン酢」に手を出し「たれ」も作り「レトルト」もやり「粉末」も出来ます。それぞれ始めたのには紆余曲折がありますが、総じて言うと、父も祖父も新しいことが好きだったようです。
しかし、「沢山の種類を扱われているんですね」とお褒め頂くのはありがたいのですが、それぞれを単体で見ると実は困りものです。生産規模が小さく、それぞれのトップランナーと競い合うには程遠いのです。
食品製造業とは極めて「規模の経済」(大量生産して利益を増やすこと)の効きが大きい産業です。化学品や鉄鋼も規模の経済を追求するのは同様ですが、製品単価が安い分、食品はより効きが大きい分野です。ですから、小さい規模でコテコテと作ることは競争力が低いという言い方が出来ます。つまり、「器用貧乏」という表現がピッタリなのです。
その当たり前は本当か?
ここまでお話すると、先行きは暗いのではないかと思われるかもしれません。私も10年位前はそう考えていましたし、実際20年前ならその通りだったと思います。しかし、よーく考えてみると、絶対に大企業と競争にならないところで勝負ができることが分かってきました。
規模の経済を重視する大企業は、一回の生産規模をとても気にします。つまり「ちょっとだけ作る」ということはとてつもなく苦手です。一方、色んな種類のノウハウを持ってるけど、設備規模が小さい当社はそれが得意です。
そして、今やインターネットも手伝って、人の嗜好は物凄く細分化されました。マスマーケットなんてどんどん無くなっています。よく例として話しますが、昔はUCCの三色缶コーヒーしかなかったのに、今やコンビニのコーヒー売り場なんてカオス状態です。毎年一体いくつの商品が出て来ては消えているのかもわかりません。それに100円コーヒーがあり、マクドナルドやスタバやドトールがしのぎを削り合っています。
ということは、少量多品種生産をして、タイムリーに製品の開廃やリニューアルを出来ることは強みなのです。そしてこのコロナの後、たくさんのご相談を頂いています。この強みをマネされないようにする為、さらにかなりの仕組みを社内に組み込んでいるのですが、それはまた別の機会に。
欠点は長所に成り得る
自分の欠点ばかり見えていると嫌になるものです。でも接する人によってはそれは欠点ではないどころか長所になる場合があります。「コップに半分しか水が無いと思うか、まだ半分もあると思うか」という話はよく聞きますが、この新型コロナの厳しい環境下に置いては、「ものの見方次第」というのは前向きにやっていくには大切な要素かもしれません。
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