見出し画像

プロダクト(製品)を出すという事

会社=私であってはいけないという話です。

調味料売り場にはもう大体の製品はある。

このnoteでも何度か触れた気もしますが、調味料売り場はもう飽和して久しい売り場でして、醤油や味噌といった基礎調味料のみならず、「これ一つでイッパツで出来ます」みたいな簡便調味料みたいなものも行き渡り、最近は減塩だ健康だなんだとそちら方面の製品も多数のメーカーが多数取り揃えております。

その為、各社新製品を出すものの、それをヒットさせることはおろか定着させることすら至難の業となっています。ウチでも「開発会議」なるものはやっていますが、開発部員はアイデアのひねり出しに苦労し、出たら出たで営業部門が「いやここまでニッチだとちょっと…」とか難渋したりして、開発部員も大変です。

私としては立場上発言が重すぎるので、「何とか製品化したい開発部員」と「新製品商談で難癖つけられるのは避けたい営業部員」の間でバランスをとってやろうと、主には「アイデアを再整形したりブラッシュアップしたり」することを心掛けながらコメントしています。まぁ美味しくないものは問答無用で許しませんが。

ただ、このスタイルの難しい所は、忖度が発生して、私好みに寄り始めることなんですよね。私はキチンと修行したマーケターでもないですし、料理人でも無いので、こういうことは良くないと思っています。

突然ですが庵野監督の話

みなさんシン・エヴァンゲリオンは見ましたか?いえ、ネタばらしはしないのでそう怖い顔で睨まないでください。あの劇場公開を受けてNHKが「プロフェッショナル」という番組で庵野監督を取り上げ、シンエヴァの制作風景をドキュメンタリーにまとめていたのですが、その途中で彼が何度も口にしていたのが「私が作ったのではこれまでと同じになってしまう。メインスタッフにいろいろやらせてアイデアを出させて、それを合わせていきたい」という趣旨の発言でした。

ホントよくわかる。多様性が失われてしまうんですよね。自分でも作れるし、それは相応の満足を得るんだけど、それよりも他の人にやらせて自分では思いつかない新しいものを見出したい。とても良く分かります。しかもそれが出来た時、スタッフめっちゃ伸びるし。

とはいえ、当のスタッフ(と言ってもエヴァのスタッフは皆さん一角のベテランですが笑)からすれば、監督の頭の中覗いたわけでも無いのに、この高い要求が来るのは大変だったと思います。

まぁでも大変じゃない仕事なんて無いし。最後は一部締め切りが来て庵野監督が自身でやってましたね。でもあの過程は無駄ではなかったと思います。

私が好むものは消費者が好むものではない

翻って再びウチの話ですが、私が正しいわけでは無いのです。今までにも私が「いやーこれ厳しいやろ」と思ったものでも存外スーパーに採用されたことも有ったし、「これはなかなかいい商品になったのでは?」って思ったけど殆ど採用されなかったこともあります。まぁせいぜい私に出来るのは「過去にやらかしたケースから学び、少なくとも今分かっているマイナス要因を取り除いてやる作業」です。それでも本来は私抜きでやってもらうべき仕事です。

私が決を出した方が決めやすいのは分かります。当たるも八卦当たらぬも八卦の新製品で責任を取りたくない気持ちも良く分かりますが、まだまだ「決めることがヘタな会社」ですので、時間をかけて変えていくしか無いかなと思います。これでも以前よりはだいぶ変わったんですけどね。理想は遠く高い所にありて臨むもの、といったところでしょうか。失敗したら次同じことをしないようにすればいいのです。私の理想は「周知を合わせて結果責任を持つこと」であって「決めること」ではありません。

そうしないとスピードのある強い組織にならないと思うのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?