みんなで育てる
最近は「子供は地域で育てる」とかあまり聞かなくなりましたね。まぁ私が泣いてる子供に「大丈夫?」って声をかけたら、辺り一帯で「中年男性による声掛け事案」って警戒連絡網に流れる様な時代だと思うので、難しくなっているのでしょう。
それはさておき、育成とは子供に限ったことではありません。会社に入っても相当に続きます。中堅くらいの年齢になっても異動で新しい職場に移せば育成せねばなりません。(育成がめんどくさいからと異動させないと慣れ切って良くない。人間時には新鮮さが必要。)
皆さんの会社ではどうやって育成をしていますか?その部門の管理職が薫陶を与えるのでしょうか?それともブラザー制度のようにして先輩を付きっきりにしますか?あるいは「このマニュアル読んどいて」と放置なんてケースもあるかもしれません。
ブラザー制度では物足りなくなってきた
当社では割とブラザー制度に近い様な形を取ってきました。付きっ切りでは無いけれど、主担当の先輩は決めて面倒を見てもらう形です。この形は比較的馴染みやすく、悪くは無いのですが、色々と弊害も見えてきました。
例えば、「人によって教える内容が変わる」ということが自然と起きます。先輩も得意分野が違ったり、細かい性格なのか大雑把な性格なのかでどこまで教えるかも違います。製造現場などでは標準作業としてのマニュアルを整備するなどしてある程度補正してきましたが、限界があります。
また、教える時の「あの人はこういう風にしないとめんどくさいよ」とか「私もこんな失敗したよ~」みたいな文章にならないような個人的なノウハウや経験を語ってあげることも、後輩の挑戦を促す安心感を作っていくのにとても大切です。(かといって「あの頃はよかった」とか言い出すと老害まっしぐらですが)
色々考えて最近社内に私が要求することにしたのは「みんなで育てなさい」という結論でした。
沢山の大人にもまれた記憶
振り返れば私自身、前職で斜に構えた可愛くない大卒新人として就職した後、本当にたくさんの大人の皆さんに育てて貰ったのです。
開発業務部長さんからは「俺たち開発部門はこういう考え方をして、こういう仕事をしている。」ということを懇々と教えてもらいました。ありがとうございます。おかげさまで今でも理系の部下と平和にやっていけています。
工場の副部長さんからは「いやそれはおかしいでしょ。~~してくれないと、みんなに説明できないよ。」と、大集団であるがゆえに「筋論」や「義理」の大切さを教えてもらいました。ありがとうございます。おかげさまで今でも工場のメンバーを理解するのに役立っています。
役員さんからは、若い頃は特に立派な偉い人から声をかけて貰うことが嬉しいことを教えてもらいました。ありがとうございます。おかげさまで今若い子に声をかけることを忘れないように出来ています。
工場長からは、自部門外の責任ある人から全幅の信頼を頂くことがどんなに嬉しいことか教えてもらいました。直接人事権のない人で「この人の役に立ちたい」と思ったのは貴方が初めてです。ありがとうございます。おかげさまで今外の人からどう見えるかを意識出来る様になりました。
研究業務課長からは、何かというと要求をして少しでも条件を引き出そうとするしょーもない人が世の中には居ることを教えてもらいました。ありがとうございます。おかげさまで今でもそのタイプの人は関わっちゃいけないことが分かっていますのでストレスが軽減されています。(おいコラ
最後のは冗談ですが(本当に?)、自部門以外の皆さんから教わったことは本当にたくさんあるのです。であるのならば、自社は前職に比べたらずっと小さい組織だけど、色んな部門が一緒になって、折々に一言添えることで人を育てるべきだと思ったのです。
想像力を養う
仕事で関わった時、ちょっと電話やメールをした時に、時には叱り、時には事情を説明し、時には褒めてあげることで、その人の理解は格段に広がります。「ああ、自分の仕事の後はあの人達が引き継いでお客さんに繋げてくれるんだな」「お客さんはそういうことを考えているのか」こういうことが理解できていくと、「ん?こうした方が後の人は楽なのでは?」「言われてないけど、この仕事は今日仕上げてしまった方がお客さんは喜んでくれそうだよなぁ」ということが分かるようになってきます。これが想像力であると私は常日頃言っています。
社内で他人が何故そう言っているのか、自分に文句を言ってくるのか、これは相手の立場を想像できなければ「ただの喧しいクレーム」としか認識できません。勿論最初は説明してもらわないと分からないわけですが、一度説明されれば分かるくらい簡単なことです。ですが、例えば次の機会で「あの人は怖い人だから早く仕事を仕上げよう」と思うか「あの人の言う通りお客さんが楽になって喜んでもらえればもっと取引増えるかもな」と思うかで仕事の質は天と地ほど差がつきます。例え同じようにミスが無くて納期が同じだったとしてもです。
この差を多くの管理職は「あいつに比べてお前は熱意が無い」などと怒るのです。そうではありません。そういう風に育ててないだけです。勿論管理職として異動してきたところに既に居る部下の仕事ぶりは自分のせいではないけども、その場合でもイチからもう一度説明し、育ててやらねばならんのです。「あいつの育て方が悪い」って言ったところで、今の状況は何もよくなりませんので。
ですから、色んな部門から、色んな立場の人が関わって話をしてあげることで「ああそうかそういう考え方もあるのだな」と理解しやすくなるのです。一人で育てるより安定するし、負担もお互い軽くなるはずです。
まぁすぐには難しいかもしれませんが、そういう会社でありたいものです。みなさんも若い子が自分の所に緊張した面持ちでおつかいに出されてきたら、すこし手を止めてお話してあげてくださいね。
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