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買ってきたご飯は上等です

こんにちは。毎日自分で作ったご飯を食べ過ぎて一向に体脂肪率が落ちないおじさんです。血糖値がスパイクしてよくないのでさすがに調整を始めました。

世の中には私のように料理が好きでずっとやっていたいような人もいれば、苦手だったり嫌いだったりして、自宅のキッチンがすこぶる綺麗な人もいます。独り身だと外食でも何でもすればいいですが、家族が居ると「苦手なんだよね~」って言ってるわけにもいかず、大変ですよね。

買ってくるものはダメなのか?

40年前や30年前と違い、今ではコンビニエンスストアが溢れていますし、スパーに行けば総菜売り場はこれでもかと充実しています。最近の食品売り場伸び率ナンバーワンは冷凍食品です!知ってましたか?コロナ以降増える一方です。便利で美味しくて長期間保存ができますからね。そういえば冷凍食品をストックしておきたいが冷凍庫の空きがないとかでサブの冷凍庫を買うとかどうとかって一時話題になっていましたね。

多分これは洋の東西を問わないと思いますが、「手作りのほうがいい、手作りのほうが愛情表現になるんだ」という考え方は根強いものがあります。まぁ実際料理好きなら作る時には食べてくれるシーンのことを考えることも多いですが、嫌いだったり苦手意識があると「なんとかこなす」が本音で、愛情がどうたらこうたら言われても「うるさいなぁ」と嫌な気分になるという人もいるはずです。

そもそも買ってきたらダメなんでしょうか?
これは当然「ダメではない」という答えになりますが、罪悪感を感じる必要すらないというのが私の考えです。
そうですね。もし感じて頂くとしたら、我々基礎調味料メーカーに対して「ごめんね。料理苦手なので使わないんだ。(テヘペロ」くらいでしょうか?(我田引水がひどい

「ご飯を買ってきて家族に食べさせる」というと何だか響きが良くない感じがしますが、私はものは見方によって変わると思っていて、「ご飯を作る時間を節約して他に充てる」とするのがよいと思います。実際洗濯や掃除に回す方も居るでしょうし、仕事で時間ギリギリでそれどころではないこともあるでしょう。お腹がすいたと騒ぐ子供に1秒でも早く出してあげるというのも愛情の一つです。(だからチンタラ作る凝り性パパのたまのご飯は嫌われる 笑)
もっと踏み込んでしまうと、「極度に料理が下手で、どう考えても買ってくる総菜のほうが美味しい場合」は総菜中心のほうが食卓の満足度は高いかもしれません。もちろんそんな方にも間違いなく作って頂けるように味の素さんの「クックドゥ」やキッコーマンさんの「うちのごはん」、私たちのラジオコラボ商品は作ってありますし、下手だから料理をしてはいけないというわけではありません。慣れてくれば誰でも料理は上達します。でもアレもコレもすぐに実現させるのは難しいですから、焦らなくてもよいという話です。

総菜市場という戦場

消費者の皆さんの間で「便利だ」とか「手作りが」とか色々話題になる裏側で、そんな議論はニコニコして見てられるくらい熾烈な競争をメーカー同士はしています。もう戦争ですわ。戦争。
総菜売り場の原資材の取った取られたは日常茶飯事ですし、丼ものとか煮物とか定番メニューでも毎年リニューアルは当たり前、やっと採用されたと思ったらキャンペーンで2か月くらいで終了なんてこともザラです。どれだけ熾烈なんだよという地獄の世界ですが、今伸びてる売り場は総菜売り場しかないので調味料メーカーはもちろん、加工用の肉魚など生鮮の卸、小麦粉や容器などの補材メーカーなどもずーっと取り合いをしています。

スーパーの担当者側も大変です。廃棄がある分コストが厳しいですし、昨今では効率化のために店舗製造からCK(セントラルキッチン=集中して製造して各店舗に配送)になっているから自由に補充も出来ない。そして人手不足でそれも回っていないという話もよく聞きます。スーパーにとっても総菜売り場は超重要売り場なので上からの期待と圧も相当あるはずです。実際業績が良いスーパーは大体総菜売り場がとても充実しており、お客さんの評判もすこぶる高いです。「総菜が美味しいからあそこのスーパーで買い物をしよう」と店舗選別の動機になりますから、担当者の苦労やプレッシャーが偲ばれますね。

売り込むメーカー側は「手間が少なく作れます」とか「○○産の素材です」とか「廃棄が少ないです」とかあの手この手でアピールします。もちろん「安いです」というのも重要なアピールなのですが、不味ければNGが出ますし、消費者の選球眼が厳しいので、スーパーの担当者の要求水準も高いのです。

冷凍食品も同様でしょう。直接関わったことが無いので想像の域を出ませんが、毎年出てくる冷凍食品新製品の数を展示会で目にすれば、あの限られた売り場保冷ケースの場所を取り合うことが如何に熾烈かは想像に難くありません。有名店とコラボしたり、食感をアピールしたり、人気商品をリニューアルしたり、もう大変です。それでも冷凍食品の1位2位はギョーザと冷凍うどんで不動なのだからつらいですなぁ。

一流レストランにも引けを取らない

持って回った流れになってしまいましたが、総菜や冷凍食品には関わる様々なメーカーや売り場担当者の執念のようなものが籠っています。価格こそ違えど、その執念はきっと高級レストランのシェフやスタッフのメニュー開発やサービスに対する執念に勝るとも劣らないものだと思います。ご家庭で作る時の愛情は籠っていないかもしれませんが、食品・小売産業の何百人何千人の「食べてもらいたい」という執念が籠っているので、そう卑下しないで気軽に使って頂きたいものだなぁと思うのです。

カップラーメンはカロリーも高いし、栄養バランスも偏ります。でも飲んだ後帰宅した時に食べるカップラーメンは至高の味です。おじさんになるとコレで太ったりもしますけど、後調整することになってもあの時のカップラーメンに後悔はしません。
外食だろうと中食(持ち帰り)だろうと内食(自炊)だろうと、何でもいいのでまず食事を楽しんでほしい、沢山いる食品関係者の多くはそう考えているのではないかな。どっちがいいとか、どっちが経済的だとか、そんなことばかり考えているとご飯冷めちゃいますから、とりあえずご家族の方もお独り様も、温かい食事をお腹いっぱい食べてください。

そして出してもらった人は冷凍だ総菜だと文句言わないように。文句は自分で作れるようになってから。(お酒は二十歳になってから、のリズムで)

前回のエントリの続きみたいになりましたが、最近の冷凍食品の伸びを扱った業界誌の記事を読んで、こんな妄想をしました。

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