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村での大騒動 妹がいない

金沢市 実家は表記は町となっているが100人規模の果樹園農家が住んでいる小さな村です。
昔は「止まれ」と赤く表示される点滅信号しかなく、夜は真っ暗で街灯がポツンとあるだけ。とくのさんがやってるとくの商店しかありません。

1990年小学生3年のある日の夕方、テレビをみている。あれ、妹の珠里(ジュリ)がいない。
両親に知らせて家の中をくまなく捜すがみつからない。1階の茶の間や仏間、応接間、2階の子供の部屋をみてもどこにも妹が見当たらない。

みんなで大声で叫ぶ。

「ジュリー、どこや。でておいで。」

反応がないので、外を捜しはじめる。


大変だ。


村の人にも声をかけて周囲を捜しはじめる。

みんなが協力してくれる。大人数で列をなしての捜索。友達の家畑のあぜ道、田んぼ、大騒動になってきた。村やあたりを一周したが妹はでてこない。 

神様どうかジュリが見つかりますように。

いったん家にもどり、親や大人達が今後どうすか相談しあっている。僕は階段をあがって2階の姉ちゃんの部屋へ。ベッドをもう一度見てみる。

布団の中を見てみるとスヤスヤと寝ている妹がいるではないか。
灯台下暗し。この間抜けな一家にピッタリ当てはまる諺。

「ジュリ2階のベッドにおったよー。」

ヘナヘナヘナ。両親は全身の力が抜けただろう。
ざわざわと笑い交じりに村の人達は帰っていった。 

「おはよう。みんなどうしたん。」

妹が寝ぼけながら立っている。
何事もなく笑いごとで済んでよかった。

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