チノとチノ
小学2年生頃から飼っていた猫。
全身真白な毛並みで、スラリとしたスタイルで
綺麗だった。
彼女の名前はチノ。
ばあちゃんが名付け親。
ある夏の日、
近所の畑でチノは車にはねられて死んでいた。
口が開いていて歯がむき出しになっている。
キレイな白い毛並みが血で滲んでいた。
体が硬く硬直し足が伸びている。
身近な生き物の死を見た、
はじめての場面かもしれない。
チノを自宅に運んで、おばあちゃんが風呂場で亡き骸をキレイに洗っている。
悲しんでいるばあちゃんの気も知らず、
僕は風呂場のドアを開け、
「ばあちゃん。ボンボン買いたいし500円ちょうだい。」
「見てわからんがんか。あっちいっとろう。」
※見てわからないのか。あっちにいっけ。金沢弁
と強めの語気で言われた。
その後、土に埋めてふたりでチノを空へ送った。
1週間後。
通学路の階段で子猫に遭遇する。
何を思ったかアホボンは子猫をランドセルにいれて、家に持って帰るのだ。
この子猫。三毛猫で兄弟にプチやプチトマトや色んな名前をつけられるが、おばあちゃんがチノ、チノと呼び続けるので、結局みんな流されてしまい
2代目チノになってしまた。
前のチノは2年ほどで亡くなったが、
新しく我が家にきたチノは23年生きた。
チノとチノ。魂が似ていたんだろうか。