絶対にハマりたくなかったヒプノシスマイクにハマらされた話
私はキャラクターを推すときはいつも顔から入る。
既にある程度の地位を確立したあのヒプノシスマイクも勿論流行りだした頃から一通り顔のチェックはしていたのだがピンとくるキャラはおらず、
「よかった。このジャンルにはハマることはないな」
と胸を撫で下ろしていた。
友達が微妙にハマっていたので曲もカラオケで聴いたりしていた。
MVや曲はかっこいいがハマるほどではないなと思って見てた。
そんな中、去年新ディビジョン(所謂新しいグループ)が発表された。
Twitterのフォロワーもハマってる人が多くキャラビジュアルもすぐに私のタイムラインにも回ってきた。
そこで姿を現したのが白膠木簓である。
私は無類の糸目好きだ。糸目が好きすぎてまとめページも作った。そのくらい糸目には無条件に愛を注いでいた。
そんな私の目に飛び込んできた大阪ディビジョンに属する新キャラクター、白膠木簓。勿論腰を抜かした。何度も見た。糸目だ……。糸目がやってきた……。
ニコニコしている糸目が特に好きなのだ(^^←みたいな目)。まず好みではあった。職業がお笑い芸人となると賑やかしキャラであることは想像に難くない。
しかも私は緑色の髪色がそれはそれは好きである。緑髪に金色の目がとにかく好きで、それだけで惹かれてしまうこともある。綺麗な色の組み合わせだ。
キャラクター作成が出来るゲームでも、思い返すとほとんどのキャラが緑髪で金色の目をしていた。
緑髪の糸目。私は危機感を覚えた。
急に自分の好きな要素をほぼほぼ備えたキャラクターが出てきてビビらない人もいないだろ。
でも私は意地でもヒプノシスマイクにハマりたくなかった。
流行りジャンルに対するささやかな反抗心もあったかもしれない。あとやっぱりハマったら悔しいと思ってた。露骨な餌ほど食いつきたくないジレンマは誰しも思うところはあるのではないだろうか。
だから「ふーん。開眼しなかったら好きになってやってもいいよ」とどこ吹く風のように振る舞った。(私は軽率に開眼して糸目としてのアイデンティティを軽くみている糸目は苦手なのだ)
月日は流れ白膠木簓の事をすっかり忘れていた頃。
その日は確か相棒新シーズンが佳境の時であった。Twitterのみんなと相棒実況してる時、裏でちょうどヒプノシスマイクの生放送があった。
ヒプノシスマイクより相棒の方が大事なので相棒を息を呑んで視聴していたのだが、
Twitterのタイムラインに突如としてCreepy Nutsの文字が飛び出してくる。
Creepy Nutsは私の好きなアーティストの一つである。
私の好きなアーティストが、大阪ディビジョンの、どついたれ本舗の、白膠木簓が歌う楽曲を提供するのである。
相棒を楽しんでいた私はヒプノシスマイクに急に追い詰められたのだ。
好きな顔が好きなアーティストが作った曲を歌う…?
その時の私の混乱ぶりは異常だった。Twitterで何度も確認した。「俺が考えた最強のディビジョン」みたいな現象が実際に起きるなんて誰が想像するだろうか。
この時点で「ハマりたくない」は「ハマらざるを得ない」という袋小路にまで追い詰められていた。
ヒプノシスマイクは無情にも最後の爆弾としてどついたれ本舗の楽曲を投下する。
サイレンがけたたましく鳴り響いていたが私にはその音すら聞こえなかった。
「あゝオオサカdreamin'night」
その曲は間違いなくCreepy Nutsで、彼らが紡いだどついたれ本舗の、白膠木簓の姿があった。
独特なリズム感で流れる曲とR-指定さんのエッジの効いたリリック。白膠木簓で韻を踏む感動すら覚えるセンス。一度聞いたら癖になる「あゝオオサカdreamin'night」。
白膠木簓の、躑躅森盧笙の、天谷奴零の、どついたれ本舗の息遣いをそこに感じた。
こんな幸せなことがあっていいのだろうか、と私は枕を濡らしながら聞き惚れていた。
いろいろ諦めた私はその後「あゝオオサカdreamin'night」を無限にリピートしまくり、
CD発売日後にちょうど関西へ行く用事があったので関西のアニメイトでどついたれ本舗の新曲を買い特典であった馬鹿でかいハリセンを貰った。
それが私のスタイリー。