日本人は、足りていない。
鰹節、足りてますか❓
だし屋のマルサヤです🐟
・・・と、普段から使っている、この挨拶。
なぜ、だし屋のマルサヤは毎回こんなことを言うのだろうか?
答えは簡単。
日本人は、足りていない。
それも、だいぶ足りていない。
家計調査のデータで見る、足りていない現状。
総務省がまとめている家計調査には実に様々なデータが記載されており、家庭における消費の動向を、誰でも簡単に調べることができます。
その中に「1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」というものがあり、この品目の中に「かつお節・削り節」という項目があります。
つまり、この項目に記載されているデータを追っていけば、日本人が「かつお節・削り節」をどのように消費してきたかの動向がわかるわけです。
本記事執筆時点で確認できた、1983年から2020年までのデータをまとめてたグラフが、以下のものです。
1983年、日本人は1世帯当たり年間1,473円、443gの「かつお節・削り節」を消費していました。
2020年、日本人は1世帯当たり年間880円、223gの「かつお節・削り節」しか消費しなくなりました。
金額で言えば4割減、消費量で言えば5割減。だいたい半分です。
つまり、一昔前と比べれば日本人は「かつお節・削り節」を全然消費していないわけです。
鰹節、足りてますか?
足りてませんね!
消えた鰹節の消費はどこへ?
とはいえ、日本という国で鰹節を見る機会が減ったか?というと、そこまででもないような気がします。
あいかわらずたこ焼きやお好み焼きの上には削り節が躍っていますし、居酒屋の和風サラダなどに鰹節が振りかけられていたり、お浸しや冷奴の上にもけっこうな頻度で目にします。
消えたと言えば、本節と手削り器くらいでしょうか。
一昔前は各家庭に1台、夕飯前の子どもの仕事として手削りをする、なんてのが文化としてありましたが、現代にそれをやっている家庭は鰹節やだしに余程のこだわりがあるご家庭に限定されるでしょう。
では、本節と手削り器が姿を消した代わりに何が使われるようになったのか?
例えば、顆粒だしであったり、だしパックであったり、あるいは「だし入り〇〇」のように先んじてうま味成分のエキスなどが含まれている商品。これらに置き換わっていったわけです。
あるいは、単純に自炊する比率が減ってきていることも影響しているかもしれません。
日本においては食の外部化率が徐々に高まってきており、一から自分で料理を使用という人が減ってきている可能性があります。
つまり、日本人が鰹節を忘れたのか?と言えば、全然そんなことはないわけで、各家庭として鰹節自体を購入する動機が別の形に置き換わっているだけなように思われます。
だし屋がやらなければならないこと。
そう考えると色々と納得できるわけで、例えば文化としての「鰹節」や「だし」というものは、何らかの形で継承はされていることになります。
しかしながら、わざわざ「鰹節」を買ってどうこうする、という機会や動機が失われていることになるのです。
だし屋として、この状況にどう対応すべきか?
方法は色々あるでしょうし、それこそ各だし屋さんの経営判断や戦略によるところなのでしょう。
ただ、いちだし屋として思うところを言えば、家に鰹節がない状況は、やっぱり寂しい。
この状況を解消したい、というのも今後のミッションとして考えなければならないな、と思った次第です。