見出し画像

<グリーンマン>

*この記事は「脱サラをする前に」というサイトから転載したものです。

僕は車で移動する仕事をしていますので道路の端に車を停めて、ちょっとした事務関連作業をしたり休憩をとったりすることがあります。そのときにたまに遭遇するのが通称「グリーンマン」と言われる人たちです。正式には「駐車監視員」というそうですが、以前は警察官が取り締まっていた「駐車違反」を専門に取り締まる人たちです。

以前も書いたことがありますが、僕は「グリーンマン」さんに「違反切符」を切られそうになったことがあります。そのときはコンビニの駐車場が満杯で仕方なくお店の脇に停めていたのですが、お店の人が気づいて教えてくれたので助かりました。これも前に書いたことがあるかもしれませんが、「グリーンマン」さんに「違反ステッカー」を貼られても免許証の違反点数には影響がありません。ですので、自動車保険で「ゴールド免許の特典」がなくなることもありません。ちなみに、「ゴールド免許」は「5年以上無事故・無違反」の人に与えられる運転免許証の通称です。

ただし、「グリーンマン」さんに貼られた「違反ステッカー」を持って警察署に行きますと話は違ってきます。警察署では「違反切符」を切らざるを得ませんので違反点数がついてしまい、「ゴールド免許」ではなくなります。つまり、「グリーンマン」さんに「違反ステッカー」を貼られることだけでは交通違反の点数には影響しないことになります。先ほど「グリーンマンに切符を切られそう」と書きましたが、正確にはこの表現も正しくないことになります。どちらにしても、「グリーンマン」さんに「違反ステッカー」を貼られたときは、単に金融機関で違反金額を支払うだけにするのが正解です。

「グリーンマン」さんに関してあと一つ勘違いしている人が多いのは、「グリーンマン」さんを見かけると急いで場所を移動しようとすることです。「グリーンマン」さんは運転席に人が乗っているときはなにもせずにそのまま通り過ぎていきます。運転者が乗っていない車だけが「グリーンマン」さんの交通違反対象です。

僕はだいたいいつも同じ時間・場所に車を停めることが多いので、場所によっては毎回「グリーンマン」さんに遭遇することがあります。基本的に「グリーンマン」さんは駐車違反をする場所というのがおおよそわかっています。駐車違反をしそうな場所というのはどの地域でも決まっていますのでその辺りをコースを決めて巡回しています。

ある日、いつも「グリーンマン」さんが巡回している場所に行きますと、いかにも「グリーンマン」さんの餌食になりそうな車が停まっていました。しばらくして「グリーンマン」さんの車が来ますと、案の定駐車違反の車の前に停まりました。違反車の運転手はどこかに行っているようで、戻ってくる気配がありません。

基本的に「グリーンマン」さんは二人一組で活動しているのですが、一人がタブレットを出し、あと一人が運転席の中を覗いたり、車の周りを見て回ったりしていました。それから二人がなにやら話し合いながらいろいろな方向から写真を撮っていきました。そして、いよいよ「違反ステッカー」をフロントガラスに貼ろうとしたそのときに運転手さんが小走りでやってきました。すると、「グリーンマン」さんはなにもせずにそのまま巡回車の中に戻っていきました。

運車手さんは中年の女性だったのですが、巡回車の中にいる「グリーンマン」さんたちを不満げな表情で見ながら走り去っていきました。僕はこの一連の光景をずっと見ていたわけですが、あることに気が付きました。それは、「グリーンマン」さんの動きが緩慢だったことです。もっと早く動くというか、手続きを進めることもできたはずです。「グリーンマン」さんは高齢の部類に入る方が多いので単に「動きが遅い」とか、もっと悪い表現では「怠け者」と見ることができないでもありません。しかし、僕が見た感じではそういった類の遅い動きではなく、意識的に動きを遅くしているように映ったのです。

そうなのです。「グリーンマン」さんは「違反ステッカー」をできるだけ貼らないで済むようにゆっくりな動きをしていたように見えたのです。「グリーンマン」さんの究極の目的は違反金をとることではなく、駐車違反をなくすことです。このように好意的な目で見ますと、「グリーンマン」さんは「意図的にゆっくりと行動していた」ことになるのですが、実際はどうでしょう。

「グリーンマン」制度が導入されたのは2006年だそうですが、僕の記憶では導入された当初は運転者から暴言を吐かれるなどの問題があったように思います。しかし、現在ではすっかり定着して駐車違反抑制に一定の効果があるように思います。しかし、駐車違反を避けるにしても駐車する場所がなければ避けることもできません。その意味で言いますと、「コインパーキング」はとても大きな意義があります。

コインパーキングが最初にはじまったのは1991年で「パーク24」という会社がはじめたそうです。ある意味、それまでは道路駐車および駐車違反が当然だったことになります。僕がラーメン店をはじめたとき、チェーン本部の社長は店舗の立地条件として「店の前に、車が停められる幅の道路があること」と話していました。つまり、駐車違反を前提とした経営手法だったわけです。今から38年前の話です。

当時から比べますと今は断然にコインパーキングの数は増えています。最初に考えた「パーク24」という会社に続いて不動産会社が参入してきたからです。そんな今でも、僕はたまに「満車」ばかりで駐車する場所を探すのに苦労することがあります。今はITの時代ですので、空いているコインパーキングを提示してくれるアプリもあります。ですが、正直に言いますとあまり使い勝手はよくありません。実用的ではない、というのが正直なところです。

では、「僕はどうしているか」と言いますと、「地道に探している」に尽きるのですが、一応コツはあります。それは、普段からコインパーキングのある場所を複数探しておくことです。これしか方法はありません。そうは言いましても、運の悪いときは作業物件から約2キロ離れたコインパーキングに停めざるを得ないこともありました。このときは歩きながら怒りがこみあげてきたことを憶えています。

コインパーキングが満杯のとき、つまり混んでいるのはだいたい時期といいますか、タイミングが決まっています。年末年始とか近くでなにかしらのイベントがあったりとか建設工事があるときです。普段ですと、それほど混んでいないコインパーキングでもそうしたときに遭遇しますと地獄を見ることになります。

それ以外にも最近ではコインパーキングに停めにくい状況が増えています。その理由はコインパーキングそのものが減っているからです。ここ1~2年のことですが、コインパーキングをレンタカーに転換している例が増えています。僕の印象では、コインパーキングを起業した「パーク24」が新しくはじめたように思うのですが、今まで6つあったコインパーキングのうち2つを「レンタカーの置く場所」に変えています。

このようにコインパーキングから転換したレンタカーを、お客さんが利用する一連の流れを見たことがあります。お客さん(利用者)はスマホをかざして鍵を開け、そのまま乗って走って行きました。まさに「IT時代」ならではのレンタカーのやり方ですが、「車に傷をつけられたときはどうしているのだろう」と思ったりもしています。昔、僕がレンタカーを借りたときは、乗る前にレンタカー会社の人と一緒に車の周りを見て「傷の有無」を確認していました。スマホでのレンタカーの場合は誰もいないのですから、そうした確認はできません。そうしたやり方で「レンタカー業」が成り立つのか、と疑問に思ってしまいます。

一つ推測するとするなら、ドライブレコーダーでしょうか。今のドライブレコーダーは精巧ですから、仮に車をこすったりぶつけたりしたときは証拠が残るのかもしれません。もし、そうであるなら本当に便利な時代になったものです。

あ、そうそう。そういえば、僕の妻は、間違って僕にぶつかっても絶対に謝ったりはしません。「傷害ステッカー」があったら貼ってやるのに。

じゃ、また。

いいなと思ったら応援しよう!