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<セルフレジ>
*この記事は「脱サラをする前に」というサイトから転載したものです。
これまでにも書いていますように、僕は日曜朝8時からはTBSのサンデーモーニング(以下サンモニ)を見ていますが、半年ほど前からサンモニを見始める時間が30分遅くなっています。理由は、7時半から見ているフジテレビの「日曜報道 THE PRIME(以下 PRIME)」を見る時間が伸びているからです。「サンモニ」も面白いですが、最近では「PRIME」の面白さのほうが勝っているように感じています。
「面白い」という表現は抽象的ですのでもう少し具体的に書きますと、「PRIME」では「サンモニ」とは異なる「情報」「視点」を知ることができます。「PRIME」にはコメンテーターとして橋下徹さんがレギュラー出演しているのですが、橋下さんが指摘する内容は一般人の感覚に近いように思っています。そうした視点で政治家の方々に切り込むのですが、その際の政治家の反応を見るのも面白いと思う要因の一つです。
橋下さんが舌鋒鋭く政治家の方々を追い詰める話法は、かつての田原総一朗さんを思い起こさせますが、実は僕はああいった話法はあまり好きではありません。橋下さんは田原さんほどではありませんので「面白い」と感じていますが、あまりに行き過ぎてしますとチャンネルを変えたくなるかもしれません。
「PRIME」のキャスターにはフジテレビの政治部長・松山俊行さんが就いているのですが、松山さんの司会ぶりにも好感です。決して感情的になったり、大げさになったりすることはなく、事実を淡々と話しながらうまく出演者から意見を引き出しています。また、女性キャスターの梅津弥英子さんも、若かりし頃はアイドルふうな印象でしたが、年を重ねるにつれ、現在は政治・経済の話題でも的確に伝えているのも好感です。
どんなこともそうですが、一つの視点だけの情報に接していますと、全体像がわからなくなります。いろいろな角度からの視点で見ることで本当の姿を知ることができます。その「視点」という意味で、最近僕が不思議に思っている光景があります。
僕は週に1度妻とイトーヨーカドー(以下ヨーカドー)に行くのですが、半年くらい前からレジの方式が変わりました。憶えている人も多いでしょうが、コロナが流行してからほとんどのスーパーではレジの方式を変えています。最初に変えたのはレジの店員さんとお客さんの間に、透明のビニールやプラスチック板を置いたことです。コロナが感染しないための処置ですが、これまでの「お客様は神様」の発想が崩れた瞬間のように思っていました。
次にはじまったのはレジ打ちをする場所とお金を支払う場所を別にしたことです。これまでレジの場所で流れを阻害していたのは、「会計の支払いが遅い人」がいることでした。たとえば、合計額が出てから財布を出したり、「出す」ならまだしも「財布を探す」人もいました。時間がかかるのは当然で、それがレジの流れを遅くしたり止めたりする原因でした。
しかし、レジを打つ場所とお金を支払う場所を離したことでその問題が解消されました。店員さんは、合計額が決まったあとは支払機のある場所を指定するだけです。つまり、お客さんはレジ打ちが終わると必ず支払機のところまで移動することになります。ですので、たとえ「流れを阻害する」行為があったとしても、それはレジの場所ではなく支払機の場所でのこととなります。この方式によりレジの場所での渋滞はほとんどなくなりました。これは画期的なことでした。
次に導入されたのは、「レジ打ち」を店員さんがやるのではなく、お客さん自身が会計をする方式です。いわゆる「セルフレジ」ですが、僕が利用しているヨーカドーがこの方式を採用したのは大分あとでした。しかし、ほかのお店、たとえば100円ショップ・ダイソーなどは真っ先に導入していました。レジに並んでいて不満を感じるのは自分が買った商品が少ないときです。大量に購入した人はレジ打ちに時間がかかって当然ですが、1つか2つしか買っていない人は「レジ打ち」がすぐに済みます。中には、購入点数が少ない人専用のレジを設けているお店もありますが、購入点数の多寡で不便を感じるのはやはり問題点でした。
その問題点を解消したのが、「セルフレジ」方式でした。この方式ですと、「レジ打ち」用の店員さんを省けますのでレジの台数を増やすこともできます。購入点数の少ない人は自分で「バーコードをスキャン」してすぐに店を出ることができます。この方式はお店側にとってもメリットが大きかったはずです。人件費を削減できるからです。まさにお店側とお客さん側が「win win」の関係です。
僕は妻といろいろなスーパーに行っていますので「セルフレジ」の導入割合を実際に店舗で体験していました。その経験からしますと、僕が利用しているヨーカドーは、なぜか「セルフレジ」方式を採用するのがとても遅かった感があります。「セルフレジ」どころか「レジの場所と支払いの場所の隔離」の方式さえ導入していませんでした。お客さんも便利ですし、それよりなによりお店側にとっても人件費の削減になります。それにもかかわらず、その方式を導入しないのが不思議でした。
ところが、今年に入りその方式をさらに進化した方式を導入しました。なんと「セルフレジ」をレジのある場所ではなく売り場で行うという方式です。呼び方はいろいろあるようですが、ここでは「スマホレジ」とします。「スマホレジ」方式は、お客さん自身が買い物をしながら自分のスマホで「セルフレジ」をすることです。「スキャンがすべて終わった状態」で会計手続きをしますので、会計時はわずか1分もかからずに済ませることができます。これも画期的でした。
しかし、この方式の一番の問題はやはり「万引き」だと思います。そもそも「セルフレジ」方式自体が「万引き」の温床になっていると推測できますが、素人の僕でも推測できるのですから、お店側が推測しないはずはありません。おそらくなにかしらの対策をとっているはずで、リスクを承知のうえでの導入ですから勝算はあるのでしょう。
お店側のリスクはともかく、お客さんの側としては「スマホレジ」はとても便利です。繰り返しますが、「買い物しながらスキャン」をしているのですから便利なことこのうえありません。ですが、不思議と「スマホレジ」方式を利用しているお客さんが少ないのです。なぜわかるかと言いますと、「セルフレジ」と「スマホレジ」と「旧来型のレジ」とでお会計をする列が分かれているからです。
現在のヨーカドーは、上記の3種類の方式がそれぞれの列で分かれています。その列で最も多く設けられているのが「セルフレジ」です。みなさん、「時間がかからない」と思っているようで「セルフレジ」方式を利用するお客さんが多いことを示しています。次に列が多く設けられているのが「旧来型のレジ」方式で、最も少ないのが「スマホレジ」方式です。僕はこれが不思議でなりません。
「セルフレジ」の列が一番多く設けられてはいるのですが、それでも行列ができることがしばしばです。利用する人が多いからだろうと想像しますが、レジの台数が多いので流れがスムーズなのは確かです。しかし、行列ができるのも確かです。それに比べて、僕たち夫婦が利用している「スマホレジ」の列は一つしかないにもかかわらず、常にスカスカです。平日ですと僕たちのほかに利用している人は一人か多くても二人です。そのくらい少ないのですが、「セルフレジ」を利用している人たちが、どうして「スマホレジ」を利用しないのかが不思議です。
「セルフレジ」と「スマホレジ」でやることは同じです。商品のバーコードをスキャンするだけです。違いは、スキャンをするタイミングが「買い物をしながら」か「買いものをすべて終えたあと」か、だけです。「スマホレジ」にデメリットはなにもありません。ただし、スマホを持っていることが必要です。しかし、今の時代ほとんどの人がスマホを持っています。僕が不思議がるのも理解していただけると思います。人って、新しいことをはじめるのには、なにかしらきっかけが必要なのかもしれません。
最近のヨーカドーのレジを見ていて、また一つ変わったことがありました。それは、「旧来型のレジ」の混雑が激しくなってきたことです。多くのお客さんが「セルフレジ」に対して不満を持っている証拠かもしれません。確かに、考えようによっては「セルフレジ」は「セルフサービス」と同列語です。食事に行ったとき「お金を払って、食器まで片づけて」となると、なんか損した気分になりそうでもあります。しかし、最近はフードコートなどではセルフサービスが当たり前にもなっていますので、そこのあたりは判断が難しいものがあります。
ちなみに、我が家ではご飯を食べたあとはセルフサービスです。ご飯前にテーブルを拭くのも僕のセルフサービスです。
ときに、サービスは恐怖心からくることもあります。(^_^;)
じゃ、また。