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漢の約束、ブルーアーカイブ①リセマラ編

 気づけば周囲を囲まれていた。何てことはない平日夜のTwitterのスペースでのことだ。遠慮もなければ教員免許もないフォロワーたち、自称「先生」が熱弁をふるっている。一時間前にはまだ「先生」ではなかったフォロワーもすでにAppstoreにギガを捧げた。強大な力を持つものに、弱者は抗うことなどできない――私は抵抗をやめ「やります」とそう告げた。先にこの黒い渦に飲まれたフォロワーを一人にはできない。だから仕方がないのだ。いや全然ブルーアーカイブとかやりたいわけじゃないんだけどな〜、フォロワーがやれって言うんだもんな〜。仕方ないな〜。

やりましょう、ブルーアーカイブ

 というわけでブルーアーカイブをインストールした。とはいえ私がブルーアーカイブについて知っていることなど、ハイレグの角度=覚悟とかいうセンター試験みたいな定理とヘイローと呼ばれる天使の輪っかを書き忘れたものは死罪という原則だけだ。すなわち何も知らないのだ。

 とりあえず起動すると私の比較的縦長のスマホでもほぼほぼフル画面で表示された。それだけで何となく嬉しくなってしまう。

 ふむ。なんというか……キレイだ。変則アスペクト比に対応していることからおそらく元の解像度が高いのだろう。しかし、それに留まらないなんというか惹き込まれ感みたいなものがある。ひとつひとつの要素はさして特別なものではない、ロードバイク、制服の少女、銃、ビル、建設クレーン、砂漠、空………しかしそれらが同じ画面に存在するアンマッチさが否応にも期待を高めてくれる。………というか銃が当たり前に出る世界観なのか。
 しばらくタイトル画面を眺めていると、名前も知らない生徒たちがぞろぞろと出てくる。彼女達を眺めていると”青春”というワードが想起される。しかし、ちらりと映る”武器”が単純にまっさらな青ではないことを突き付けてくる。名前も知らない彼女たちはとても幸せそうに見える。しかし銃とは、そんな私の「そう思った」なんてあやふやな感想を塗りつぶすほどに、形を持った不幸そのものなのである。

 名前を入力すると物語が始まる。期待の高まるBGMをバックにこの世界の片隅の風景が連続して映し出される。明るい場所、暗い場所。そして始まる、最初のダイアログ。

すげーいい……

 示し合わせたように盛り上がるBGM、それに相反するように謎ばかりの画面。しかし、たったこの一文だけで、ブルーアーカイブの根幹がなんなのかが理解できる。要するにこの”ミス”とはいったいなんぞや、というのがストーリーの核になるのだろう。さらにいえば、”彼女”とのあり得ないはずの会話から、ブルーアーカイブという世界がある種のパラレル、またはタイムリープ的な側面を持っていることも分かる。そして私こと”先生”に求められるのはこの”ミス”を回避する、あるいはリカバリーすることなのだろう。ブルーアーカイブは非常に巧妙にできている、なぜならこの一文を見たその瞬間に、”ミス”とはなにか、”彼女”は誰か、が分からない限り止められない呪いにかかっているのだから。

 さて、現在この記事を書いている段階で私はまだプロローグしかストーリーを進めていないのだが、特に気になったいくつかの要素をピックアップして語ってみよう。

①肉体の違い

 さてまずはこの画像を見て欲しい。

初期ホーム画面の女

 そう、なんだこの制服のスリットは、チャイナドレスもびっくりだよ。これが正義を実現するための覚悟ってことですか?って違う、そうじゃなく。このハスミという生徒、”羽”がはえているのだ。ブルアカについてはミリしらだったがヘイローという存在は知っていた。ヘイローについてはまだいくらでも説明が付くだろう(私はヘイローのことを拡張型マルチデバイスかなにかだと思っていた)。しかし羽、羽である。彼女ら生徒たちのことを、私はホモサピエンスだと思っていたのだが、どうやらその考えは改めなければならないようだ。ちなみにこの後”狐耳狐面ミニスカ和装脱獄犯”とかいう要素最強の存在も出てくる。かわいい。さらに言えば生徒たちはホローポイント弾を受けても大丈夫らしい。でも、先生はそうではない。ちなみにあくまで私の想像、妄想ではあるが、そもそも先生がホモサピエンスかどうかすらここでは明文化されていない。すなわち私の意思を代弁することさえできれば、先生の姿形がファミレスの猫型運搬ロボットと同一であったとしても消して困らないのだ。まあ流石にそれは突拍子もなさすぎる想像ではあるものの私と彼女たちとは根本が違うことは疑いようもない。先生はキヴォトスではないところから来たらしい。ではその”キヴォトスではない”とはいったいどの次元での話なのだろうか。

②シッテムの箱

 シッテムの箱といって手渡されたタブレット、これはすなわち私たちが今手に持っているタブレット、あるいはスマートフォンのことなのではないだろうか。”先生”がシッテムの箱を起動している時、明らかに私たちのスマホはシッテムの箱と同化している。これによっては私たちは真の意味で先生になっている感覚を得られるのだが、それは同時にブルーアーカイブが”世界Aに存在する異なる論理の世界B”を許容していることになる。まあ要するに私はキヴォトスを”異なる論理の世界B”なのではないかと勘繰っているのだが、今の段階ではあくまで想像でしかない。というか私がそういう世界観とか設定が大好きなだけというのものある、まあ言うだけ言っておいて当たれば大きな顔が出来るものだこういうのは。

③アロナ

 君、”彼女”では?”彼女”、連邦生徒会長では?早く何を”ミス”したのか言うんだよ。ほら早く。
 シッテムの箱にいるアロナという少女、どう考えてもブルーアーカイブの”鍵”である。立ち絵とか声とか質感が明らかに他のキャラとは異なっている。あと君、そのぐにゃぐにゃと感情に合わせて動くヘイローはなんだ?というかヘイローってなんだ?誰か教えてくれ。
 うん、とりあえず整理しよう。プロローグを読んだ時点でとりあえずあの”彼女”(恐らく連邦生徒会長)の犯した”ミス”が焦点なのは間違いない。その上で鍵を握るのが”シッテムの箱””アロナ”(恐らく連邦生徒会長)だ。ただし、アロナがそのままイコールで連邦生徒会長とするのはいささか芸がない。アロナは恐らく連邦生徒会長の不完全なコピー、あるいはデッドコピーなのだろう。と、ここまで考えた時にふと思った。そもそもシッテムの箱は連邦生徒会長から先生に託されたものであり、元をたどれば連邦生徒会長の持ち物であったのだろう。とすれば必然アロナも元は連邦生徒会長の支配下にあったのではないだろうか?だとすればアロナは連邦生徒会長のアバターと言った方がしっくりくる。そして、なんという偶然か、私たちにもいるではないかタブレット、あるいはスマートフォンの画面の向こうにいるアバター、”先生”が。とすれば連邦生徒会長はもしかしたら”私”の側に近い存在なのかもしれない。いやむしろ”彼女の犯したミス”によって、”私ごと次元を一つ落とさざるを得なかった”というのはどうだろう。いや、さすがにそれは少し突飛が過ぎるかもしれない。

 正直プロローグを読んだだけで何かを想像したり言い当てたりするのは相当無理に近い。というか言い当てられたとしたらそれは逆説的に面白くない、内容が薄い、に近くなるので予想ごっこはこの辺にしておこう。
 というわけでようやく本題なのだがソーシャルゲームを始めるに当たって避けては通れない道がある。リセマラだ。で、これからリセマラの結果報告をするのだが、先に言っておく。しんどすぎて”ミス”がなんなのかとかどうでもよくなっちゃったよね。

1周目

 さて、1周目とはつまり初回な訳なのだが、この時点ではストーリーにホクホク顔であり、リセマラなんてサクッと終わらせてとっととストーリー読んでやるよ。の構えである。簡単にブルアカのリセマラを説明すると、チュートリアルガシャが1回+開始時点で2~3回分の石を所持なので1周3~4回ガシャの計算だ。ちなみに星3(俗にいうSSR)は最初のチュートリアルガシャのみ1枚確定である。そして私の初回のチュートリアルガシャの結果がこちらだ。

ヒフミが3人…来るぞ、アロナ!

 こんなことある???
 
ちなみに最初に設定していた私のリセマラ終了のボーダーは大当たりSSR1枚以上+全体でSSR3枚以上である。正直高い設定ではないと思っていた、最初に3枚光った時点で勝ち確だと思っていた。しかし当然この後のガシャでは1枚も光ることはなく、ここから地獄を見ることになる。

2週目

 ブルーアーカイブではアプリ上でゲームデータを消せるので何回もインストールしなおす必要はない。一応誤消去しないように毎回”Delete”とタイプしないといけないが、リセマラ勢にも安心の仕様である。どうせなら初回ガシャ無限引き直しくらいは実装できませんでしたかね?ちなみにこの時点ではまだガシャ排出率をなめくさっている。

 改めて名前を入力すると物語が始まる。期待の高まるBGMをバックにこの世界の片隅の風景が連続して映し出される。明るい場所、暗い場所。そして始まる、最初のダイアログ。

MENUからスキップできる

 最初のダイアログでスキップを押すと一気に戦闘まで飛ぶ。これは嬉しい。こういったゲームって何故か無駄に区切りがいっぱい入っていてスキップを連打しないとなかなか先に進まないイメージがあるのだが、これは楽だ。ただ戦闘中にチュートリアルが挟まるので戦闘中も画面を注視しないといけない、スキルも使わないといけないし。

急に戦闘が始まるので少しびっくりする


 うーん渋い。当たり前だがここでSSR3枚は相当豪運だったのでは?と思い始める。次だ次。

3周目

 さあまずはDeleteと入力してデータを消そう。

 そしたらタイトル画面に戻るので改めて自分の名前を入力する。期待の高まるBGMをバックにこの世界の片隅の風景が連続して映し出される。明るい場所、暗い場所。そして始まる、最初のダイアログ。

MENUからスキップが…
あれMENUないな…
MENU…
……

 なが~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~い!!!!!
もしかして”ミス”ってこれのことなんじゃないだろうか。正直3周目ではそこまで長くは感じてない、感じてないがこいつが後々ボディーブローのように聞いてくる。あとBGMが絶妙に眠くなるので何回か顔面にスマホを落としている。痛い。

アルは好きだがBランクのようです

 もちろん当たりは来ない。

?周目

 もう数えていないがこの時点でもう1週間は経過している。余りにも何回も周回するのでチュートリアル戦闘だけやたら上手くなっている。だいたい1戦目30秒、2戦目60秒がボーダーだ。

一戦目自己ベスト
二戦目自己ベスト

 誰が必要としてるかは分からないがチュートリアル戦闘のコツとして1戦目のユウカのスキルは何故かスキルアイコンを連打で発動できたり、2戦目のワカモはハスミのスキル1発で撤退まで持っていけたりする(たまに遮蔽で防がれる)。チュートリアルガシャの後の戦闘についてはガシャで何を引いたかに大きく左右されるのであまりパターン化出来なかった。ちなみにチュートリアルガシャであまりにも引きが悪いときはそのままデータ消去した方が早いのではと思ったが、操作が制限されているのでうまく行かなかった。チュートリアルガシャで引きが悪いときもその後にそれなりに操作しないといけないので精神的にはそれが結構しんどかった。

チュートリアルガシャも大概こんなもんである

??周目

 ここら辺りからリセマラ当たりランキングとやらで生徒を線引きしていることに罪悪感を覚えるようになってくる。特に私の場合、ネルとマキが相当来た印象があり、彼女たちが当たるたびに(またこいつか)と思い始めていた。またこいつか、という気持ちは次第に”こいつ嫌い”に変わりつつあり、こちらの都合で勝手に線引しておいてガッカリするなどとても先生の振る舞いではなかった。しかし、そう思ってしまうほどリセマラがしんどくなってきている。できるだけネタバレを踏まないように生徒に関しては性能とビジュアル、CVくらいしか確認していないなかで、もしかしたら今後推しになるかもしれない、だからせめてキャラの深掘りだけでもしたい、でもネタバレになりそうだし、で、結局ネットの記事を鵜呑みにして、ただ性能だけで切り捨てていくのにほとほと疲れ果てていた。さらに冒頭でリセマラは1周3~4回と述べたが、どうやら私がリセマラを始めたのはメンテナンスの直後でありいつもより貰える石が多かったようだ。ここら辺りでメンテナンスから1週間ほどが経ち、貰える石が10連ガシャ1回分減ったことで効率が激減し、やる気もほとんどなくなっていた。まずい。

 残念ながらチュートリアルガシャでない普通のガシャもこんなもんである。

???周目

 というわけでもう何故リセマラをしているのかさえ思い出せなくなったころ、ようやくアコを引いて私のリセマラは終わりを告げたのであった。ちなみに俗にいうTier1のキャラを引いたのはこれが初めてだったし、Tier2の生徒でも5回程度しかお目見えしていない。要するにブルーアーカイブのリセマラは相当に渋い。この記事を見てからリセマラを始める酔狂な人が居るかは分からないが、リセマラを始める前に何日で割り切るかは決めておいた方が良いだろう、そうでなくてもせめて縛りはSSRの枚数のみにするべきだ。私は最終的にアコとシュンの2枚でフィニッシュしたが、最初のリセマラ終了条件からTier縛りを削ったとしてもSSR3枚出たのなんて数えるほどしかない。これは多くのソシャゲに言えることだが、リセマラを長引かせ過ぎるとリセマラによる得よりも機会損失による損の方が大きくなってくる。どうかこれから先生になる各位におかれては、私と同じ轍を踏まないように頑張って欲しい。ちなみに私はリセマラ終了時点でインストールから2週間が経過している。どう考えても長引かせ過ぎである。

まじでメチャクチャでかい声出た

 というわけでようやく私も先生としての一歩を踏み出せる。しかしどう考えても2週間リセマラを繰り返すやつに大人の責任感なんてあるわけもなく、即刻教員免許を返納した方がいいかもしれない。しかし私がブルアカを始めた理由がストーリーである以上はメインストーリーを、とりわけ絶賛されているエデン条約編までは読み進めないと罰が当たるだろう。2週間のリセマラが罰にあたるかどうかは議論の余地があるとは思うが。

 取り急ぎストーリーを進めながら、せっかくだし引き当てたアコとシュンからキャラの深掘りを始めてみようか。と、ふとアコとシュンを眺めていて思ったことがある。

なんなら色合いも何か似ている

 私はもしかして”横乳大好き先生”の二つ名を背負ったままキヴォトスを生きていかなければならないのだろうか。

次回、対策委員会編につづく………

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