YKK戦争とビジネスモデル
今回は、北関東を代表する家電量販店間で起こった激しい販売競争、通称「YKK戦争」と呼ばれる抗争から、各社の取ったビジネスモデルについて、私なりの解釈を含めて解説します。
1,「YKK戦争」とは
• 北関東家電量販店3社による激しい販売競争の通称です。
「Y」「K」「K」は各社の頭文字をとっています。
・ヤマダ電機(Y)
・ケーズホールディングス(K)
・コジマ(K)
業界を牽引する激しい抗争でした。
2,各社の起源
3社とも北関東を起源としています。
• ヤマダ電機(1973年~)
群馬県前橋市でヤマダ電化センターとして創業
• ケーズホールディングス(1947年~)
茨城県水戸市で加藤電気商会として創業
• コジマ(1955年~)
栃木県宇都宮市で小島電気商会として創業
3,共通のビジネス戦略
共通点として、3社とも下記2つのビジネスモデルをもとに成長しました。
• 郊外型大型店舗
郊外に大型店を出店する戦略モデル
【ロードサイドビジネス※】
※アクセスの良さ、広い駐車場、広い売り場面積(品揃え)、大量仕入れ販売
• 多店舗展開
地元の足場を固めた後、県境を越えた多店舗化を推進
【ゆるいドミナント戦略】
4,コジマのビジネス戦略
何といっても、戦争の立役者は「コジマ」です。
コジマの生み出した戦略が無ければ、今の家電量販店の形はなかったと言えるでしょう。
• 先行的な郊外展開
→1970年代に宇都宮市郊外に駐車場付き
店舗を展開【ロードサイドビジネス】
• 積極的な地域拡大
→1984年に茨城県進出、その後全国展開
【多店舗展開チェーン展開】※規模の経済を追求
•安値攻勢
→「安値日本一への挑戦」を掲げ、
価格競争を主導【HILO(特売)+EDLP戦略】
5,ヤマダ電機のビジネス戦略
追随した「ヤマダ電機」は、あと出しジャンケン的手法でコジマの猛攻をしのぎます。
• 他店価格へ合わせた値引き対応
→より安い他店があればその価格まで値引き
【最低価格保証】
• ポイントカードの導入
→ポイント制度を使った顧客の囲い込み
【顧客ロイヤリティプログラム戦略】
• 積極的なM&A
→2000年代後半から家電量販店や
住宅関連企業を買収【関連多角化戦略】
6,ケーズデンキのビジネス戦略
ケーズデンキは独自の道を進みます。売っている物が同じ状況で、ブランディング戦略で他社と差別化している好例ですね。
• 長期無料保証+その場で現金値引
→ケーズデンキ安心パスポートという会員制
→アフターサポートの充実
【顧客ロイヤリティプログラム戦略】
• アニメキャラクターの機用
→ちびまる子ちゃんをイメージキャラクターに
【独自ブランディング戦略】
7,まとめ
• YKK戦争は様々なビジネスモデルを生み、一般化させていった、ビジネスモデル遷移の良い研究材料になります。
• 現在も時代の潮流に合わせて、ビジネスモデルを変容させており、ビジネスモデルの移り変わりも早い。
今後も確実に変化していく業界!
次世代のビジネスモデルに期待ですね!
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