のぞき見レベルと京都愛
残念ながら、私はまだ、のぞき見レベルだ。
写真っておもしろいな、とスマホ撮影から始まった
ありきたりのフォトグラファーだ。
写真の、その写り方、色合い、レイアウト、配置はもちろん
一瞬をきりとり、アートになっていくプロセスや
ピントをあわせたり、あえてずらしたり、並べたり、
現像のでたとこ勝負的なチャレンジも含めて
瞬間とのたわむれだと思ったりする。
なかなかそこの域に行けないまま
ひたすらシャッターボタンを乱打して、撮ったのを見て
自分なりに「こうすればこうなるのか」と
「お試し〜確認」を続けているだけのビギナーだ。
この間、京都へ仕事で行ったので
その空き時間や移動のバスからの京都を撮影した。
なぜ、京都?
いつかまた住みたいからだ。
若い頃に事情があって住み始め、
5年ほど住んだタイミングで転出することとなった経緯がある。
一生ここにいるつもりだったのに・・・と
未完了の気持ちがある。
人生折り返しを過ぎた私は、
やりたいことリスト100を作って
ひとつひとつ消していく楽しみを覚えた。
そのひとつが
Leicaを手に入れる だったし
Leicaを使い倒す だった。
ひとつめは完了
もうひとつは、いつそれができるかわからないけれど
そこに向かって進んではいる。
で、京都に住みたい愛がもりもりになっているため
仕事途中でも京都撮影をし続けているのだ。
美しいところも、はかないところも、
ゴミっぽいところもあれば、バカっぽいところもある。
観光地というよそ行きの表情よりも
生活臭ただよう感じが好きだ。
だから、人と街のその一瞬を覗き見しては切り取る。
そんなある日、
関西に住む友人に「京都移住プラン」を楽しそうに語っていたら
こう言われた。
京都はダメよ
え?なんで?
京都はいつ破綻するかわからない街だよ
怖いでしょ
そうなんだ・・・
ほら、公園。
公園?
そう、公園。京都の公園ってね、雑草がぼうぼう、草だらけで。
あ、たしかに
鉄棒なんてサビサビで。
そうなん?
トイレなんて掃除いつしたのって感じで。
ええ?
観光地はね、税金使って整備されているけれど
生活環境はよくないよ
誰のための税金かって感じ
テンションが音を立てて下がって落ちていく・・・
たしかに、京都の写真は、気持ちのある人ばかりを撮っているからか
エネルギーがある。
しかし、そうでない瞬間も、いくつか撮れている。
そこには、ため息のフィルターがかかっているかのようだ。
彼女は、阪神間を勧めてくれた。
西宮とか一部の尼崎は住みやすいし、御影もいいねって。
阪急沿線、JR沿線がいい。
それは、わかる。たしかにそうだ。
以前、ていうかめちゃ若い頃
阪神沿線の甲子園界隈に住んでいたときには
毎週、痴漢や危ない目にあっていた。
いつか後悔することになる・・・と思って引っ越した。
関西移住はそのうち考えよう。
やりたいことリストのTOP5 に入っている重要項目だから。
京都の写真には、
私の京都移住熱が映り込み、その暮らしを覗き見しているように見える。
私がその風景にしずみこんだらどうなるんだろう。
まだまだのぞいてばかりの未来の私。
京都に暮らしているのだろうか。
どこでシャッターボタンを押しまくっているんだろうか。