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参加したくなる地域のつくりかた



1 なぜ、地域コミュニティなのか?(高齢者編)

なぜ、地域なのかという問いの答えは、その人の属性によって変わる。
ここでは、日本の3人に1人といわれる65歳以上の人向けに書いてみた。
こどもたちや生産年齢人口の人向けにはまた違う機会に書けるといいなと思う。

このごろの高齢者は、めちゃ元気だ。20代30代のひとたちより運動もしているし、筋肉量だって負けていない。食べ物も飲み物もぐいぐいいっちゃう。それだけ健康度が高いのだ。65歳になると弱ってくるというのは事実ではあるけれど、使えない世代ではまったくない。活躍の場はやまほどあるし、だいいち、健康もあるし時間もあるし知識や知恵もあるし、さらにお金もある、という豊かな世代。ほっておくのはもったいない。

とはいえ、何人かに一人は弱っていく。心身どちらかが弱るともうひとつが弱っていく。しかたない、病気や怪我をすれば、少しずつそうなっていくものだから。あたりまえ。ただ、すぐにケアが必要な人になるかといったらそうでもない。みんな、急に要介護になるみたいな想像をするけれど、じわじわそうなるもの。いつのまにか歳をとっていたねっていうのが、人間だ。

いままでできていたことができなくなるので、それで誰かが代わりにやってくれたり、声をかけてくれたり、一緒にしたりすると、とても助かったりする。しかも、ひとりでやり続けられるほど、人間はタフではない。しかたない、弱々メンタルなのだから。そういうとき、誰かがそばにいてくれたり、話を聞いてくれたり、叱咤激励してくれたりするのがいい。だって、人間はよわよわだから。

ところが、昭和から平成にむけて、ひとりでできたねえらいねと育てられたし、おとなになって社会人やっててもそう言われ続けたので「ひとり」が成長のゴールだと言い聞かされてきた。一人暮らしの自由さとダラダラ生きていても誰からも迷惑呼ばわりされない気楽さがあって、すっかり自由を満喫しちゃったもんだから、風邪ひいたり、心が病んだときとか、嫌なことがあって立ち直れなかったりとか、ゴミ溜めまくったりしたときはどうしようもなくなって、つまはじきされてしまうのだ。

そういう「孤立」という闇が原因で、このごろの社会福祉は解決できない現状があるのです。ま、このあたりは答えがでないので、またの機会に。

高齢者の場合、一般的にだんだん要介護へと向かうけれど、幸い、長年生きてきた知恵がある。それを使うと人とうまくやっていくことができるというミラクルができる。これが「地域のたすけあい」ってやつです。これ、すごい技術なんですよね、若い人には経験もなければ見たこともないから難易度高すぎて難しいかもしれないけれど、昭和の人ならではの強みです。それが地域コミュニティ。はい、今のトレンドです。

2 地域であることの利点

人はいい時はひとりでやれるけれど、つらいときもある。運勢が悪いときや、失敗してその修復ができないとき、また、出会わなくてもいい人やものごとやできごとにであってしまったとき、さらに、自分の思い込みが悪影響を及ぼして、残念な判断をしてしまったときなど、ひとりでいるとうつうつする。自分を責めるからだ。

そんなとき、どうしているだろう?
たぶん、誰かに話を聞いてもらったり、なにか気晴らしをするけれど、関係のない人とのたわいのない話をすることで、気が晴れたり、気分が改善する。スナックやスタンド、酒場にでかけるときに、その人のニコッとする笑顔だけで救われたりするだろう。人に傷付いたら人に癒される。これは真理だ。

だとしたら、地域もそういう人同士になればよいのではないか。偶然、同じ町内に住んでいるあかの他人だ。ことさら仲良くする必要はない。ただ、どうでもいい話で笑ったり、ささいなことで冗談をいってこぜりあいしてもいいのではないか。つまり「家族化」するのはありだ、ということだ。

暑い夏の日、自分の部屋でエアコン、となりの家でもエアコン、下の部屋でもエアコン、みんな自分のエリアでエアコン・・・。むだじゃない?
お風呂、自分だけのためにお湯を貯める、隣の家でも、下の部屋でも、みんなそれぞれ自分だけのためにお湯を貯める。無駄じゃない?
集まって暮らせばコストは下がる。それが、今のインフレ、物価高、増税に対抗する高齢者の知恵だ。共同で支えばコストは大幅減となるのに。

3 うまくいっている地域と残念な地域

私はあちこちでこういう話をするので、その都度リサーチをしているんですが、かれこれ20年これを聞いた結果の統計がある。

うまくいかない地域に共通する5つの要素
1 老害 
→組織が古臭い、硬直した上下関係がある、男性年長者が君臨している
2 人柄の問題
→嫌いな人がいる、人の悪口、噂話が横行する、注意ばかりされる
3 ひとりぼっち 
→無視される、居場所がない、放置される、仲間はずれにされる
4 活動 
→したくないことを無理やりやらされる、活動のやりがいがない・つまらない
5 古臭い 
→一方的で話をきいてもらえない、古い価値観にしがみついている
 
どうでしょう?身に覚え、ありますか?

うまくいく地域に共通する5つの要素
1 役にたつ
2 助けてもらえる
3 キョウヨウとキョウイク
4 感謝される
5 ひたすら楽しい

健康状態にあわせて自分のペースで自分のできることをしていると、なんだかいろんな場面で役に立ちます。してあげることに慣れていくとやがてしてもらうこともスムーズになって心のバランスが整います。助けてもらえるからめちゃ助かるし。
今日行くところと今日の用事があるという高齢者生活の原則。そうして笑顔で人のためにやっていると感謝される日々、あぁたのしい!

そういうごきげんなコミュニティがあると、ぜひ参加したくなるわけです。

4 これからの地域づくりのコツ

なにより、変わらなければ。まだまだ昭和スタイルをやっていたらすでに化石だと思ってください。そこにしがみついている人も化石です。いますぐその考えを消しさって、何も知らない若者気分にもどってください。

え?なにをすればいいの?
背中を見て覚えろ!

そう育ってきたかもしれませんが、今頃はちゃんと教えてくれます。
おしえて〜
と質問してみてください。

喜んで!と若者が教えてくれます。
そこに「プライドが許さん!」となったら即退場してください。邪魔でしかありません、そのプライド。

変わるって勇気がいるでしょう?
けれど、誰かと一緒に変わることができたら、思いっきりいい人生を手にいれることができます。

つまり

まだまだ遅くはない、若者が憧れる高齢者になってもらいたい。それだけが私の願いです。


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