AZ-COM丸和HD(東証プライム/9090) 株主総会レポート 2023/6/27
東証プライム上場のAZ-COM丸和HD(旧:丸和運輸機関)の株主総会に出席しました。株主総会の様子について、当記事にてご紹介したいと思います。なお、当レポートは私の心証に基づき脚色されており、意図せず誤認している可能性もありますのでご容赦頂ければと思います。また、同社の株式売買を推奨するものではございません。ご指摘、コメント等ございましたら、ぜひ私のツイッターアカウントより頂ければ幸いです。
1.参考記事
まず同社の関連記事についてご紹介したいと思います。ここでは昨年の株主総会のレポートを再掲しておきます。
2.基礎情報
それでは、今年の株主総会についてご紹介していきたいと思います。今年は第50回の株主総会ということで節目の年になります。私は2014年の新規IPOからのお付き合いになりますので、もう長い年月を寄り添ってきたと自認しておりますが、一方で創業からみればまだまだ新参者ということになります。
今年の株主総会も、株主総会の本編と新中期経営計画の説明という2部構成での運用でした。コロナ禍の最中であっても同社は発信と対話という部分を大事にされ、一貫してこの姿勢を堅持されてきました。コロナ禍初動の2020年6月においても、社会的な自粛が続く中でも、こういう対話を育まれてきたわけです。大変ありがたい事ですし、こういう姿勢に改めて敬意を表したいと思います。
株主総会全体の大まかなタイムテーブルは以下の通りでした(手元の時計の大まかな測定のため、あくまでイメージとして捉えて頂ければと思います)。
10:00 開会の前の挨拶 (和佐見社長)
10:03 開会 (和佐見社長)
10:04 議決権行使数の確認(事務局)
10:07 監査報告(田中氏)
10:09 事業報告・対処すべき課題(ナレーション)
10:19 議案上程(ナレーション)
10:23 質疑応答
11:05 議案決議
11:08 閉会
11:09 新任役員の紹介
~休憩~
11:20 成長戦略の説明会(和佐見社長)
11:48 質疑応答
11:59 終了
全体の流れとしては、前年より5分程度前倒しで運営されていました。昨年は時間オーバーとなり、第二部で質疑を受けられないという反省がありましたからね。その運営の努力もあり、僅かではありましたあ、第二部でも質疑を受けてもらう形になりました。
また、議決権行使の状況については以下の通りです。
■一昨年
・1,465人/4,172人
・599,802個/640,011個(93.7%)
■昨年
・2,598人/7,423人
・1,159,616個/1,259,791個(92.0%)
■今年
・2,311人/6,823人
・1,150,927個/1,261,366個(91.2%)
同社は議決権行使の比率が高いのが特徴的ですが、今年も9割以上の方が行使をされた事になります。ただ、今後流通比率が高まってくると一定割合で行使されない方もおられるでしょうから今後は徐々に漸減していくでしょうかね。
ちなみに行使された議決権の賛否については、今年も和佐見さんの再任だけ反対票がやや入っていますね。
それから株主数が今回減少に転じましたね。株価形成からも株主数が頭打ちという状況はしっくりきますね。会社としては成長は持続していますが、株価の評価指標自体が物流会社としてみると高い評価を既に付けているところもあり、株価の上昇余地が限られるという点も作用しているように思います。
会場は例年通り、埼玉県吉川市の本社での開催です。最寄り駅からバスで田園風景を抜けた先の工業地域の中にあります。陸の孤島というやつです。株主総会への参加者のために、最寄り駅からバスが運行されていますが、その名もタローズバスです。そう桃太郎便のタローを取っているわけで、当然同社の関連会社、ということになります。この地域のコミュニティバスとして地域を大事にする姿勢がこういう部分にも表れているわけですね。ちなみに本社は吉川ではなくお隣の松伏町であり、現在、この松伏町に超大型の物流センターを自己勘定で投資していますね。
体育会系の会社ということもあり、本社には大勢の社員の皆さんが気合の入った挨拶でお迎えしてくれます。初めての参加だと、普通にビビると思いますね(笑)。そんな会場に用意された席はほぼ埋まる盛況ぶりです。会社OBを始め様々な関係者もおりますが、地元の議員さんや商工会の方々など、ローカル色も満載で年齢層も高めです。多くの方が和佐見さんに会いに来たという感じの雰囲気です。
3.開会前のこと
9:00に受付開始なのですが、私は現地には8:30頃に到着しました(迷惑)。建物のエントランスの先に受付があり、準備をされている所でもあり、建物の外で待っていましたが、係の方が声を掛けて下さり、受付横に用意された控室(本会場が満員になった際のバッファ会場のような感じ)に通して頂きました。
とはいえ、座っているのも退屈ですので、エントランスに鎮座していた大きな絵画をしばらく拝見することにしました。オフィスアートなどを手掛けてらっしゃるOVER ALLsさんの作品です。企業の軌跡等を一つのメッセージにするような絵画作品なんですね。私はこういうジャンルがあるんだという事を初めて知ったのですが、素敵でした。ここでご紹介したかったのですが、勝手に写真を撮るわけにもいかなかったので、満足に魅力をお伝え出来ない事が残念です。
創業からこれまでの軌跡の物語を一枚の大きな絵の作品に昇華させたものです。数メートルに及ぶ壁画のようなものです。闘病中の母の手を取る中学生の和佐見少年の手を描写したものから、トラック一台で初めての仕事をもらった時の喜び、そこから多くのご縁の中で育まれた会社の高揚感が見ていてもワクワクさせられる作品です。こういう絵は株主通信とかにも掲載してもらえるといいですね。いや、多くの投資家さんにとってはお金を生み出すものではないでしょうし、むしろそんなところにお金を使って…みたいな話もありそうですが、無理のない範囲でこういう活動は続けていってもらいたいなと思います。
受付開始の時間になり、会場となるフロアに進みます。和佐見さんの著書と桃太郎文化の冊子、財界の雑誌などが置かれています。ロビーでは飲み物とお菓子が用意されていますね。この辺りは毎年の事です。今年の違いといえば、この最上階のロビーから望む一面の田園風景の中に、クレーンがいくつも集った一画が望めるようになったことです。私もちょうど来場の途中にこの一角を訪れてきました。大和工業さんとの連携で建設が進められていました。広大な土地にせっせと工事がなされていました。
開会前までにいつもお話をさせて頂いている社員の方ともお話をさせて頂きました。まず本日の終了予定時間を確認しました。正午頃ということでしたので、私も質問の投じる量など時間も意識しておきたかったので、先に把握しておくことは、会社への迷惑にもかけられない点でよいのですよね。
そして、IR担当の責任者の方ともご挨拶をさせて頂きました。お名刺も交換させて頂きましたが、IRさんへの接触も他社を含めて少し遠慮しておりましたが、今後はより積極的に提言や対話を重ねていければいいなと思いました。また着任間もないということで、謙遜されておりましたが、よき関係性を構築していければいいなと感じました。そのためにもより広い視野で捉えていきたいと思っています。ちょっとしたご縁繋ぎの話もありましたが、ここでは割愛しておきます。
また会場である執行役員の方からもお声がけ頂きました。私の本職の所属をご存じで、その方の同級生が私の本職の会社にお勤めということでしたが、その方は私のお隣の事業部のお偉いさんでびっくりしました。こんなご縁もあるのですね。というかロビーでふらついている私の名前はおろか、本職の所属までご存じってどれだけ身バレしているんだろうって思いました(笑)。確かに、昨年、私は和佐見さんに本業の名刺の裏にメッセージを書いてお渡ししていたのですが、このフローしかないわけですが、要注意人物指定され社内に共有されているのかもしれませんね(((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル)(笑)。
開始時間が近づくと、例年通り「失礼しまぁすっ!!!」という大きな声で和佐見社長が会場へ入室されます。上場直後は全ての役員が入室時に「失礼しますっ!」って気合いを入れられてましたが、ここ数年は和佐見さんだけになりましたね。会場全体がびくっとするんですよね。昭和の時代を色濃く感じる振る舞いは初見だと引いてしまうと思います(笑)。
そんな感じで開会することになります。
4.議事進行
冒頭、開会宣言の前に和佐見さんが一言ご挨拶をされます。これも例年のことです。今年は、①ホールディングス会社に移行した旨、②今年創業50年という節目に当たり、各位の応援に多大なる感謝の念、③今後の益々の成長のために積極的な事業推進に当たる旨の誓いというお話をされていました。言葉のひとつひとつや切れ間、抑揚の付け方などが巧みで、なんだかもうこれで閉会でいいのではないか、という気さえしてきます(笑)。決議だけとって、残りの時間は立食パーティ(飲食はなくてよい)の懇親の時間です、でもいい気がしますからね。まぁそういうわけにはいかないので、この後、事務的な流れが続いていくわけですけどね。
開会にあたり、当株主総会は、株主との建設的な対話の機会として大変重視しているという点改めて言及があり、コミュニケーションを深めるために2部構成で進める旨も案内がありました。
議決権行使状況は事務局が代読し、監査役会も常勤監査役の朗読をされるという一般的な内容です。時間の節約のために、ここは他社でも省いている会社さんもありますし、議長が一言充足している、監査承認得ている旨の宣言だけで良い気もします。議長から指名される事務局や監査役は当然議長の昭和の時代の気合いの入った発声に劣らぬように、名一杯の返事をしてその役割を担うわけですが、以前の監査役の方はもうおじいちゃんだったのですがそんな中でも大きな発声で「監査役お願いしますっっ!」と振られ、精一杯の声で「はいっ!」と起立していた様を見て心配になったものです(笑)。
報告事項はもちろん、議案上程までナレーションによる解説となっています。対処すべき課題くらいは、社長の言葉で話をされた方がよいと私はいつも様々な会社の総会でも発言していますが、同社の場合、この後の第二部で戦略等を語る時間が十分とられていますから、総会としてはまぁなくてもいいかなと受容しています。なお、ナレーションによる解説は決算説明資料等にもある内容ですし、特筆すべきことはありません。事業は全般好調ですということですね。
5.質疑応答(株主総会編)
さて、ここからは株主総会(第一部)での質疑の様子をご紹介したいと思います。まずお作法は昨年と同様に、1人1回につき1問を目安にという事で要請がありました。毎年のことではありますが、この「目安に」という言葉が入ることで、押し付け感がなくていいですね。ほんの少しの言い回しの違いなのですが、議事進行上の課題がありながら、対話機会として向き合いたいというバランスを取ろうとしている事が窺えます。
以下に主なやり取りをメモとして残していきます。但し、実際のやり取りを私の解釈に基づいて脚色したものとなっています。従いまして、情報の正確性や会社の公式見解と相違している可能性が高いです。あくまで参考程度にご覧頂ければと思います。
なお、★印がついているものは私が投じた質問となります。そして質問は1回1問ということでしたので、各質問の後には、コメントとして発言した部分もありますので、その部分も併せてご紹介しておきます(コメントなので回答は求めてませんが、リアクションを頂けた部分はAとして記入しました)。
★Q グループ経営の展望
当社は昨年ホールディングス化へ移行し、日本物流開発さん、ファイズさん、MKロジさんをグループに迎え入れられ、上組さんを始め熊本大同青果さん等提携も準備進められている。ホールディングス化から少し時間が経過し本格的なグループ経営にシフトしているが、様々な企業との連携チャネルも一気に広がってきっている中で、当然上手くいっていること、課題となっている事様々かと思う。今後のシナジー最大化に向けて課題感と期待感をそれぞれお示し頂き、今後のグループ経営への想いを聞かせて頂きたい。また今後、より物流高度化を進めるために、提携を深めていく方向性として、テック系企業との連携をより期待したいが、お考えをお聞かせ願いたい。
A
グループ経営をどのように本格化させていくのかという質問かと思うがご指摘の通り、まだまだ課題も多いわけではあるが、一方でPMIを評価するための新組織を組成し、各々の提携やM&Aにおける成果と課題をより前に進めていくための体制作りを進めている。また、そもそも買収や提携前に、我々の文化と親和性があるのかという所はとても重要で、こういったサーベイはグループ化を推進していく上で、特に注意を払って取り組んでいるところ。
また具体的な話として上組さんとの連携の中ではシナジーを発揮するためのプロジェクトを複数立ち上げて、両社間でトップを含めてこのプロジェクトの推進状況を引っ張っていくための連携が図れている。今期中にはこのうち最低でも1つのプロジェクトで何かしら発表できるような連携成果を挙げていきたいと考えている。(山本取締役)
我が社においては、M&Aした会社に自ら赴いてお話を伺うというスタイルを堅持している。通常、M&Aをした側に先方から説明に来てもらい、連結していくというスタイルだが、当社は違う。私(和佐見さん)自身が社内の有識者と共に、月に一度の定例決算MTG等に現地に赴いて出席をし、そこで様々な諸課題などを一緒に議論しているような事をやっている。そういう中で、グループとしてのシナジーを共に創出していこう、というマインドや雰囲気作りも意識して交流を図っている。また我々の知見の無い領域においては、各社のナレッジを供するとともに我々から提供出来るものを提供するという事で相互のためになるような進め方をしている。上組さんは長い社歴の中で積上げられた港湾物流の知識を沢山いただく一方で、当社からは3PL事業のノウハウをお伝えして、より良い関係性を構築している。今後はこの連携をより深めるためにも、階層別の人材交流も企画しており、毎月に及ぶ様々なレイヤーでのコミュニケーションを通してグループ連携のシナジーをより発揮していきたいと考えている。(和佐見社長)
■考察
具体的な成果という点では、まだわかりやすい成果というものはないのかもしれませんが、いち早くグループ化したファイズさんは、高成長を持続されておりますが、未だに当社側から赴き、彼らの成果や悩みに耳を傾けるという地道な活動をされている事を知り関心しましたし、こういうリレーション作りがとても大事なのだろうなと思いました。本当は和佐見さん自身が赴かずとも、属人化せずに運営出来る事が望ましいのだと思いますし、実際そういうスタイルは既に確立されつつあるということなのかもしれませんが、グループ経営において、知らず知らずのうちに図体が大きくなっていく中でもこういう地に足のついた部分は大切にされていって欲しいですね。山本さんの仰るPMI評価の組織組成など同社は頭のいい高学歴の方々も多く採用を出来るようになってきている中で、より多岐な活躍が出来る組織へと進化していく上で、グループ経営が学べる機会というのはとても貴重ですね。私もこういう組織で働いてみたいなと感じました(まず知識不足なので門前払いされるでしょうけどね(笑)。)
いずれにせよお二方の答弁を伺っていると、特段課題という事はないのだと思いますが、とはいえ、やはりコミュニケーションがとても大事で、それは何もトップ同士というだけではなく、現場のあらゆるレイヤーの方々が有機的に作用しあう事がとても大事ということですね。上組さんにしてもファイズさんにしても上場会社なので、具体的な事は言及しにくい部分もありますが、今後、こういった地道な活動の先にグループ経営のシナジー発揮の成果を結実させていってもらいたいですね。少なくてもただ大きくするという発想であったり、スピードを重視するみたいな話が出てきていないのは健全な状況なのだろうと推察する事が出来ました。
一方でテック系の話はスルーされてしまいましたね。まぁスルーしたという意識ではなく、網羅しきれなかったという事で他意があるような感じではないと思います。単純に私の質問の仕方が下手くそということになります。今後、物流の高度化は更にスピード感を増して進化していくと思われます。そういう技術トレンドをキャッチアップしていく必要があって、そのための施策という部分が、現状では自社と大学等の産学連携に留まっているとも思えます(これが出来ているだけでも凄いのですが、しかも東大とか先端的なお付き合いをされていますからね)。ホールディングス会社になったという中で、ぜひ物流システム全般の高度化という点で、キラーとなるような技術を持つ会社も取り込み、業界をリードしていくようなアーキテクトを創っていってもらえるといいなと思っています。そういう意味では、取締役構成として、いわゆる技術屋さんを入れていった方がいいんですよね。社外でもいいので。この辺りは今後機会があるごとに提言をしていければいいなと思っています。
★コメント
がっちりマンデーの放映を視聴した。同社の様々な活動が紹介される事はとても良い事だと思っている。業界として2024年問題等の対応が注目される中で、当社の取り組みをより知ってもらう意義からも、今後のメディア戦略もぜひ期待したい。
A
がっちりマンデーを見て頂き嬉しく思う。放送後は大変多くの反響を頂いた。私(和佐見さん)自身も応援等のメールを多く頂戴し、お礼の返信をするだけで3日を要した。当番組は8年前に新規上場した企業として一度紹介をして頂いてから、その後にどのような成長をしてきたか、という点を紹介頂く内容であった。観て頂けた株主さんも多くいらしたようで(会場で見たよ~と挙手された方もいらしたようです)本当に嬉しく思っている。
■考察
同社は今後更なる人材採用を進めなければならないという大きな転機を迎えています。元々働く上で人気がない業種ということもあり、どちらかというと現業の方が多く求められるということで、それは今後も変わりませんが、様々なキャリア志向を持たれた方が必要というフェーズに移ってきます。1兆円企業(2040年)を目指す中では当然必要なことです。そういう中で、2024年問題という大きな話題がある中で、これだけ様々な意味で稀有な経営をされている会社というものも珍しいわけです。ですので、認知度を高めていくことは、単にメディアに露出して嬉しいという自己満足以上の成果があるはずだと考えています。今回は多岐に渡り過ぎるので割愛しましたが、メディア戦略の関連でプレスリリースについてももう少し進化をしても良いと思っています。特にB2Bビジネスでありながら、toCの部分に関連する話題も多くみられるようになってきています。産直関連やBCP関連などですね。消費者が直接意識出来る話題を上手く取り込んで、物流会社でありながらも発信出来るという機会は、自社の魅力を高めるだけでなく、結果、同社を利用している法人顧客にとっても価値のあるものになるとも思えます。こういった部分の可能性については、ぜひトクトクと一度対話をしたいなと思っています。株主総会という限られた時間では難しいですからね。一度、本社に訪問させて頂きお話をしたい位には色々な想いに溢れています(笑)。
Q 30%近い成長の源泉
30%近い成長を持続されており、大変心強い。このような高い成長を持続出来ている所以はどこにあると考えておられるか。
A
根本にあるのは顧客主義。まずはお客様をとにかく大切にしていくという事。これに尽きる。そして、成長の持続という面では、足元のマーケットだけではなく、今後数年先を見据えてどのようなマーケットが伸びていくのか、これを見極めていく事が重要な経営判断だと認識している。成長するマーケットを見極め、そこで活躍する企業さんにとってためになると思われる事を徹底させていく事が大切。
そしてそのためになることを徹底させるためには、それだけの人材が必要。だからこそ、社内大学も作り、同志の育成には注力をしている。ここで育つ人材力が企業の成長力といって過言ではない。(和佐見社長)
■考察
この辺りの質問はこれまでも一貫している答弁ですね。この質問者さんは次の質問を含めて4問くらい質問を述べられていました。私は1問を目安といういうのを基本的に遵守するようにしていますが、人によって目安というものも捉え方はそれぞれですね。
この手の質問をするのであれば、過去の実績もさることながら、今後の持続性という部分でこれまでの人材育成と顧客主義というものだけで余地がまだあるのかという未来の話として議論が深まるとよりよかったですね。特に、足元で採用計画がショートしている状況でもありますから、そういう点を踏まえて今後の成長持続という点でのかじ取り辺りは聞いてみたいですよね。
Q 松伏の物流センターへの投資の状況
松伏に超大型の物流センターの新設として大変大掛かりな投資をされている最中であると思うが、このプロジェクトの現状について共有してもらいたい。
A
工事が少し遅れている事はお知らせしている通りであるが、やはり資材入手や各種コスト高騰といった状況により少し計画より遅れている状況。一時期の状況から正直どうしようかと悩んだ時期もあった。無理はしたくないという想い。しかしながら、契約をしていた大和ハウスさんも前向きかつ最大限のサービスを図って頂き、今計画を前に進めているという状況。まだまだ多くのフェーズが残されているが、完成すると最先端かつ最大のコールドチェーンセンターとなる。そして様々な視察も受け入れ、とりわけアジア圏を見据えて、今後の展開をしていく上での旗艦モデルとなるべく努力をしていきたい。
■考察
松伏の工事が遅れている点は、もちろん資材高や納期遅延等の影響もありましたが、それ以外にも設計変更等もあったものと思います。最先端技術を取り込むためには、当然その時々のトレンドや志向を踏まえていく必要がありますからね。当件は、地元自治体との連携等もありますから、諦めずに頑張って欲しいと思います。答弁の中で無理はしない、とありましたが、こういう点もいいですね。
立地としては新しく開通する東埼玉道路(新国道4号)や高速道路にJCTを作り、外環道へのアプローチを専用道とする計画も進行しています。今回の立地の目の前にICが付設される予定で、まさに行政連携もばっちりということなんですよね。
元々この物流センターには宿泊棟等も設けられる予定でしたが、海外からの実習生の寮としての機能はもちろん、様々な視察も受け入れられる体制を取られる予定です。そういう意味で、海外、とりわけ低温物流が未熟なアジア圏からの視察を受け入れることで、同社の海外展開のきっかけとなることを企図されている点は面白いですね。投資規模が同社の体格からするとかなり背伸びをしたものとなっているため、うまくこの投資が結実して、その先に見据えられる期待感を具現化してもらいたいですね。
Q 2024年問題への対応について
労働時間の制限等がより厳格化される問題として2024年問題というものがあるが、この問題への対応についてのお考えを聞かせて欲しい。
A
既にお客様と相談しながら連携してこの問題への対応を進めているところである。具体的には付帯作業等の運転以外の時間を効率的に削減出来る方法について、既に2年くらい前より定期的に検討を重ねてきている所。また管理面でも個々のドライバー等には動態管理システムを導入しており、稼働の平準化やモニタリング等を既に強化している所である。(小倉取締役)
我々は2024年問題が取り上げられる2年も前からお客様と相談しながら、労働時間の問題への対応を行ってきている。960時間上限があるが720時間を目安に取り組めるよう、同志の皆と知恵を出し、チームワークで対応して参りたい。(和佐見社長)
■考察
この問題は質問出ますよね。私も用意しておりましたので助かりました。ただ答弁が随分さっぱりしていましたね。質問者さんはコンパクトに纏めて質問をされていましたから(私も見習わないといけません…)、どうしても表層的なやり取りになってしまいますね。ちなみのこの問題で私が用意していた質問原稿は以下の通りでした。やはり長いですね(笑)。
小倉さんの答弁の中で顧客と早期にこの問題について、協議をしてきているという話がありましたし、管理面でも平準化に向けた動態管理用のアプリの導入等の話もありました。早期にこういう問題に取り組んできたという点はよいのですが、これから更に期待をしたいのは、こういう協議やツール化の先にどのような解決策を見出しているのか、それを丸和グループだからこそ出来ているという差別化要素として説明を頂けるとより強みが明確になるような気がしています。協議やツールの導入というのは恐らくどの会社も相応にやられている事と思いますので、何か独自の仕組み化により省力化が出来ているとか、場合によってはその手法そのものを特許を取れる位に独自性のあるソリューションだというくらいに誇れるものに進化させて欲しいですね。
トランコムとの協業の話もありますから、求車マッチング情報プラットフォームのナレッジとかを上手く取り込めるとか何かワクワクするような施策の話をより聞きたいですね。
★Q 様々な業界における再編等動向について
外部環境の変化も大きい中で、様々な業界で再編等の動きがみられる。物流事業者においても大手から中小まで動きが活発になっている。顧客側でも当社の主要顧客様でもあるマツモトキヨシ様やイトーヨーカドー様でも再編統合等が活発になっているが、当社にとってのリスクや逆に期待するところを教えて頂きたい。また、数年先の成長マーケットを見据えていく事が経営判断の責務という話があった。当社はこれまで低温物流、医薬品物流、そしてEC更にはBCPと歩みを進まれてきた中で、今後再編等の変化が大きい中でどういうマーケットを志向しているか。BCPの先にどのようなマーケットがみえているか。
A
2024年問題にもあった通り、労働力不足という部分は業界全体の喫緊の課題である。当社もAZ-COMネットワークという強固なネットワークを構築してはいるものの、より対応力を強化していくためには、業界内の再編の中で我々自身がより積極的にグループ経営を志向していかねばならないと考えている。この50周年という節目の中で、その先には業界トップ企業群を凌駕出来る規模感を志向していこうではないかという抱負を語っている所。この観点に立てば当然業界の力を結束していくためのM&A戦略は当然必至な事であると考えている。(藤田取締役)
我々は1兆円企業を志向している(2040年)。最終的にここに向けてどう歩んでいくべきかという事を考えている。顧客側の目線に立ってみると、やはり企業とのご縁というのは非常に大切。そしてこのご縁というのは大きな変化があった時、より密接な機会になるものだと考えている。一例を申し上げれば、ダスキンさんの物流改革を我々は支援してきたわけだが、阪神大震災の際の対応を全力でやりぬくというようなことがあった。このことを通して、全国の物流網の構築を手掛けられるようになり、ミスタードーナッツの物流も今は北海道以外のすべてを当社グループにお任せ頂いているし、ここで得られた経験が今のBCPのソリューションにも活かされている。全くの無から何かを創り出すという事は難易度からしてもリスクからしても難しさがあるため、こういうご縁という機会を見ていかねばならないと考えている。BCPについてはこのようなご縁から、47都道府県全てと協定を結び全国で初めての会社になることを志向して、東大をはじめとした学術部門からの支援も頂きながら進めているところ。こういうご縁から生まれたきっかけを大切にしていきたい。(和佐見社長)
■考察
藤田さんの答弁の中で野心の話が出てきましたね。答弁の中では個社名が出ていましたが、ここでは丸めて記載をしました(まぁ2社グループの間に入りたいという事でしたので概ね想像できるかと思いますが)。M&Aの機会は既に見据えている雰囲気がひしひしと伝わってきました。本当にそういった志向があるとしたら、2024年問題という事への対応もありますから、再編がより加速していくこともありえそうですね。事実最大手群も手を取り合うみたいなことになっていますからね。
和佐見さんの答弁は後半の質問に係る部分だったかと思います。恐らくBCPの先にどのようなマーケットを見えているかという部分への直接的な回答がなかったのは、情報統制上の配慮もあったと思いますが、まずはBCPといったところなのでしょうね。私が回答を聞いていていいなと思ったのは、奇をてらうようなチャレンジとしての新規マーケットを取りに行くようなリスクの高いことはしない、という事を仰られていたことです。戦略を語る上で、あれこれやりますということは良く語られますが、本来、戦略とは何をするかとセットで何をしないかを定義づける事が重要と考えられています。こういったしないことを明確にしている点はいいですね。
そしてやはり顧客とのご縁とかきっかけというものをとても大切にされてきた会社ですから、やはりそういう基点が根差されています。ここでは詳細は割愛しますが、トラック一台で創業した和佐見さんが、なぜイトーヨーカ堂さんやマツキヨさんから仕事をもらえるようになったのか、あるいは今再編の話があるヨークマートさんへ手を差し伸べられた過去など、様々な転機があったわけです。ダスキンさんに学んだ災害対応としてのノウハウをBCPという付加価値に変えて、今全国制覇をしようとしているあたりも、いかにも同社らしい取り組みだなと感じるわけですね。あとはIRさんの役割かもしれませんが、この辺りは利益率が落ちるはずですし、単独で運用というより複合的に運用する事になると思われるため、この辺りの成長面の定量モデルなどをわかりやすく投資家に発信する事も重要だと思います。社会的意義の高い事業ではありますが、定量面での作用の仕方も、誤解が生まれぬように上手く発信して株価ボラティリティを抑えて頂きたいところですね。
★コメント
配当政策においてDOEの採用を期待している。当社は成長投資を重ねていく中でそこまで多くの配当を拠出する事への是非もあろうかと思う。一方で安定配当を謳っていることもあり、比較的変動しやすいEPSベースよりもBPSベースの指標を加える事によるメッセージ効果も期待している。
A
仰っている趣旨は十分理解した。お約束はできないが、今後の検討に活かして参りたい。とはいえ、まだ我々の純資産はまだまだ小さい状況だとも認識しており、今後様々な施策の中でDOE導入も前向きに検討をして参りたい。(藤田取締役)
■考察
安定配当を謳っている所には出来るだけDOEの採用を呼び掛けるようにしています。特に決算説明会の場でも同社自身が内部検討をされているともありましたし、これに賛意を示しておきたかったのです。資本コスト経営というものをより前面に志向するようになっているため、資本政策の一環としてぜひわかりやすい政策を取って頂けるといいなと思っています。そもそも前述の議論の通り、M&Aを含めて積極投資が求められる中で、どのように資金を振りむけていくのかは悩ましさもあると思います。この辺りは単に株主に対して配当頑張りますからもう一つ踏み込んだ方針が欲しいですしね。
Q 余剰金配当の件
これまでの説明を伺っていると並の会社ではないと確信している。しかし配当性向は30%台と並の会社である。この元気のよい会社であればもっと配当性向を上げられるはず。50%はいけるのではないか。今のままでよいのか。
A
実は東証1部上場時に一度記念配を含めて50%を拠出したことがある。だが今後の様々な投資に備えて内部留保も必要。バランスが大事。お互いが長く寄り添っていくために会社を正常な状態を持続するためにも今の政策にご理解を頂きたい。これまで何度も分割を繰り返して株価もあげてきた。今後もいつやれるとかはいえないわけだが、分割もしながら株価をあげていくことでも報いていきたい。(和佐見社長)
日頃EC事業を始めとした事業推進に当たっている。この立場から申し上げれば、まずは今お示ししている中期経営計画の数値をきちんと達成して、期待に応えていくこと、利益をきちんと出していく事が責務だと思っているため、この点で邁進してまいりたい。(岩崎取締役)
■考察
株主の方の率直な想いなのでしょうね。そりゃ頂けるものが増えるのであれば嬉しいわけですが、一方でこれまでの議論の通り、設備投資はもちろん、M&Aなど当社が本当に業界リーダーにまであがるためには資金が必要です。そういう意味からも私は配当額そのものを急激に上げるという事には反対で、キャッシュフローベースで一定の投資に見合う内部留保と配当拠出をバランスさせるべきだと思っています。この辺りも単に配当性向〇%というような表面的な話ではなく、会社の利益をどのように配分するのか、それが今後の同社の中長期的な目線で最も合理的なんだという点をIRさんはしっかり訴求をしてもらいたいと思っています。
特に同社は地元をはじめ、長期のファン株主が多く存在しているでしょうから、なおさら地域にとって求められる会社として成長していてもらいたいという事への理解は得やすいと思っています。
それから岩崎取締役に振ったのは無茶ぶり過ぎて面白かったです。同氏はECの事業推進を司る所掌で現業のリーダーであります。配当の件など一切所掌外という事になります。ですが、敢えて和佐見さんが答弁を振りました。通常、所掌の役員に答弁を振るというのが一般的なのですが、所掌外の役員を敢えて名指しで振るというのは異例です。突然降られたので、とりあえず決意表明のような答弁になっていますが、答弁の後に和佐見さんが、こうやって専門外の事でも振られたらきちんと答えるという場数を踏むという意味でも本人の成長になるから、と仰られていました。株主総会においてこういう差配をするのは私も初めてでしたので驚きました。何より本人がびっくりしていましたけどね(笑)。
ここで株主総会としての質疑は終了しました。最後の質問も呼び掛けてようやく挙手された位なので、もう質問はなかったでしょうしね。
和佐見さんが、原稿通り、十分審議が尽くされたということで・・・説いた後に、十分審議が尽くされてはいないかもしれませんが、とノリツッコミしていて面白かったです。
決議の後、休憩を挟み、更に中計の説明として和佐見さんがプレゼンをされました。こちらの内容も中計の説明資料に沿った内容です。一部詳細化されている箇所もありましたが、投資判断に作用するような大きな論点は当然のことながらありませんでしたので、個々の内容は割愛します。この後質疑を受けて下さいます。
6.質疑応答(第二部)
こちらは第二部を受けての質疑でした。正午には終了したいということでしたが、和佐見さんのプレゼンが終了した時点で10分余りといった所でした。なので質問出来るか微妙でしたが質問をしました。
以下、前項と同様にメモを書いていきます。重ねて申し上げますが、私の主観によって脚色しているため、内容の正確性は保証できません。
Q 株価の騰落について
春先には比較的好調だった株価も今は下落している。以前に分割した水準である2,200円台位には回復をしてもらいたい。こういう説明ももっと対外公表をしたらどうか。
A
株価の推移は確かに今は弱含んでいるが、やはり利益が出れば確定売りというものも出てくる。そもそも株価の形成というものはどうしても波があるものである。私も一喜一憂しないようにしている。買いが入れば株価は戻ると思っている。業績を出しても株価が回復がしないという事に対しては無策である部分はどうしてもある。(和佐見社長)
■考察
中計の展望やらを散々説明した後に、株価が足元冴えないんだけど、と社長に詰めるのって本当に聞いている私としてもげんなりしてしまいました。いや、株価は騰がってもらった方がいいというのはその通りなんですけど、春先から今の下落基調をいってもねぇ、と思うわけですよ。
以下は同社の10年株価チャートですけど、春先からここまでの下落ってつまり、一番右側の月足の上髭の部分を仰っていますね。いやー流石に酷だと思いますけどね…。2021年の前半の強めの陰線が出ている所の話であれば、まだわかるんですけどね。結局波があるんです、ということと、残念ながら、経営陣に株価を操作する力はないわけですから、もし不満なら、自ら株買うことで、株価を騰げて下さいって事になるんだと思います(当然そういう言い回しはお立場上されませんけどね)。せっかく中計の話などをされているので、もう少しワクワクするような質問が良いと思いますけどね。対外発表をしたらどうかという部分も実はこの資料は発表もされていますし、ログミーさんの書き起こし記事も開示されています。むしろ課題なのは、個人投資家向けの説明会をより多面的に展開される事だと思っています。この点はIRさんにも直接お伝えしましたので、ぜひ前進してもらいたいなと思っています。
★Q 中計の目標数値について
中計の数値目標はM&Aを含まずにオーガニックな要素で策定されている。また、財界のインタビュー記事でも中計の数値目標については、現場の息切れを起こさないように落とし込んでいるとある。つまりこの数値というのは、ある程度実現可能性を踏まえて現実的な部分で策定されてるという感触でよいのか。またここに含まれていないM&Aをはじめとしたアップサイド要素としてはどのような期待を寄せていればよいか。和佐見さん自身が同業の様々な会社の大株主に名を連ねている中で、直接的な言及が難しいかと思いますが、期待感を共有頂きたい。
A
この中計の数値目標はコアな3事業(低温、医薬、EC)を積み上げて策定をしており、指摘の通りM&Aなどの効果は織り込んでいない。各々の事業において、これだけの成長を持続するために人材や傭車等のリソースへの投資計画も踏まえた積み上げを行っていることから、十分に実現可能性があると考えている。M&Aの部分については、今後の各社との連携や話し合いの中で具体化していけるものがあればと考えているものの、インサイダー情報にもあたるため、回答は控える。(葛野取締役)
(無茶ぶりをした所掌外の葛野取締役の答弁を受けて)当社の役員は自分の所掌以外の部分を振られてもしっかり答弁出来るという事をご理解頂けたと思う。(和佐見社長)
■考察
実現可能性は高いということでしたね。投資計画もきちんと織り込まれているということで、一定の蓋然性があるように感じました。アップサイドの部分はまぁ過度な期待を抱かせる弊害みたいなところもありましたが、もう少し補足が欲しい所でしたね。コア3事業を積み上げているとありましたが、例えばBCP当たりはどうなっているんでしょうね。まぁ収益貢献は限定的だと思いますけどね。何かプラスαの要素として期待感が示されるとワクワクしますけどね。
そしてここでも全くの所掌外の葛野取締役に答弁を振りました。そしてやはりここでも役員一同の所掌外での対応力を讃えておられました。
7.閉会後のこと
説明会まで終わり、ちょうど正午に散会となりました。本当は最後の質問の後にも、個人投資家IRをやりましょう、とコメントをしたかったのですが時間的な部分も含めて割愛しました。開会前にIR担当の責任者の方ともこの件でお話も出来たため、今回はよしとしました。
同社の株主総会では、閉会の後、役員一同がエントランスでお見送りをして下さいます。ここで手土産を頂きます。これはコロナ禍の真っただ中でもずっとなされていましたね。びっくりです。主要顧客先であるマツモトキヨシさんのPB製品などですね。
和佐見社長と握手を交わし、各取締役の方ともほんの一言、二言話す事が出来ます。こういう会社に寄り添えているという事を最後まで実感してこの場を後にする事が出来るわけで、来年もまた元気にお会いできるといいな、と思うわけです。株主総会は往々にして形式的なものになりがちで、閉会後はそそくさと役員は控室に籠ってしまって、何とも言えない気持ちになりながら会場を後にするという事が多いわけです。別にサービスをして欲しいとかではないのですが、双方のコミュニケーションとしてこういうちょっとした時間があるという事はとても大事なのではないかと思うわけです。
和佐見社長はどの株主にも元気に挨拶をされております。中には地元の議員さんとかもおられるようですし、とにかく様々な方が来られています。こういう中で、私も一言ずつ各役員にご挨拶をさせて頂き、私なりにエールを送ったつもりでおります。
和佐見社長は最後に、「まるのんさん、今後、色々と、色々な意味で、またよろしくお願いしますね~」って丁寧に仰って下さったのです。
8.さいごに
ついに来るか、その時が!?と頭をよぎりました。あの最後の「色々と、色々な意味で」とはなんだったのか。いや単に今後もよろしくね、ってライトなものだったのかもしれません。ただ、何かこの時は今までとは違うものを感じた気がしたのです。私の思い過ごしであればよいのですが…。今もずっとこの時の光景が鮮明に残っていて、なんとも言葉にはいい表せない気持ちになっています。やはりそういうことなのかと考えてしまうのです。
同社の株主総会の対応というのは、これまでも答弁の際には担当役員が答弁をされ、その後に和佐見社長が補足的に説明を下さるのです。しかし、思い返してみると、今回は答弁の際に、2度も担当外の役員にも答弁を振られていました。明らかに意図してやられていました。そして当社の役員は自分の所掌外の事であってもしっかり対応出来るということを示してくれていたように思います。なぜわざわざこのような事をしたのか。
今年同社は創業50年という大きな節目を迎えます。色々な事を重ねてみると、やはり、ついに来るか、その時が!?となるのです。
私は2014年の上場初日から株を買い、一貫して寄り添ってきました。たかだか10年にも満たない新参者ですが、これまでの間に様々な形でコミュニケーションを取ってきたつもりです。会社は大きく成長し、時価総額も大きくなり、気が付けばもう羽ばたいてしまったような感触にもなります。
中計の説明等を通して、まだまだ同社の挑戦は続きます。投資判断として指標面が割高だとか、労働集約型のビジネスなんてとか、色々な見方もあります。しかし、これからも私は変わらず同社の成長の軌跡を見守っていければいいなと、改めて実感する事が出来ました。
頑張れ、AZ-COM丸和HD!