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丸和運輸機関(東証1部/9090) 2022/3 Q1決算精査

 丸和運輸機関の2022年3月期Q1決算が開示されました。当記事において決算の内容を精査したいと思います。あくまで個人的見解に基づき記載しておりますので、誤認等もあるかと思います。お気づきの点などございましたら、ぜひツイッターからお気軽にご指摘を頂ければ幸いです。

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1.参考記事

 まずは丸和運輸機関に関する過去の記事を再掲しておきます。先日開催された株主総会レポートと前回の決算精査記事となります。

 前期の本決算の精査記事内では今期業績に関してIR照会した内容もメモを残していますので、こちらも踏まえて、本日開示の決算もみていきたいと思います。

2.サマリ

 今期の上期は増収減益予想となっていますが、Q1として増収増益となりました。但し、これまで基本的に2桁増収増益が続いていた事を考えると、成長の踊り場とも受け止められる内容となっています。特に21/3期Q4では寄付金のコスト組み入れや従業員へのインセンティブ支給等もあり減益となっており、コロナ禍による内需拡大やEC化加速という流れの環境下が一巡しており、成長率という面で抑制的なものになっているように映ります。

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 とはいえ、短信の中から感じる雰囲気としてはそこまで悪いものではありません。アマゾン物流についても順調に拡大していると表記がありますし、低温物流もエリア拡大や受託総量の拡大等が寄与しているとあります。何より、インバウンド需要が一気に消え去り悲観モードだったドラッグストア向けに関しても底打ち感を感じる内容になっています。
 結果として増収は9.5%とわずかに2桁増収には欠けましたが、見込み通りに業績進捗しているように思います。
 一方で利益については、きちんと投資案件が進捗しているのかな、という懸念も感じました。
 Q4決算時のIR照会で今期上期の減益予想は、今後の投資を再開する事によるものと回答がありました。昨年のQ1は初めてのコロナ禍という不確実性が高い中で、様々な投資案件を先送りにした背景もあって、大幅増益となりました。一方で今期はwithコロナという事で、投資案件も順次再開させ、今後の同社のサービス拡充のために一定のコスト投下を想定したわけです。しかしながら、新物流センターへの投資はある程度投下されている様子は短信から感じられますが、「コストの見直しを実施した結果」という表現がなされています。既に様々なコスト低減策は実施してきている事もあり、いわゆる無駄の削減という面での余地は年々少なくなっているだろう中で、まだまだこの無駄の排除という側面での取り組みであればよいのですが、中長期的な意義に繋がるコストが抑制されているとすると、今回増益だったとしてもあまりよいものではありません。現時点でどういう状況かはわかりませんが、今後もコスト投下の状況をよくみておきたいと思います。
 PLの表面の伸長率等の強弱という面で見た時に、依然として高PERである同社がどういう評価をされるのか、私は全く想像できませんが、今の伸長率云々や株価動向よりも、丸和運輸機関が1000億企業を超えて、今後益々の成長を果たしていくため、どういうあり方になっていくのか、この辺りは引き続き応援の目線を持ちつつ、長く寄り添っていきたいなと思います。

3.財務数値

 以下、もう少し財務数値の中身を見ておきたいと思います。まずはPLから。

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 粗利率は12.5%となり、前期の13.6%からは下がりましたが、前々期の12.2%より僅かに高い状況を維持できています。前期の13.6%はコロナ禍のスーパーやECの荷量の大幅増という一種特需の流れもあった事もありましたし、今期は新物流センターの立ち上げコストの影響も出てきているものと思います。今後BCPを含めた新たなスキームへチャレンジしていく中で、収益率は目先は落ちるとみており、どこまで利益率を確保して運営されるかなと興味を持って見守っていきたいと思います。

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 販管費はコストを抑制した前期Q1より販管費が抑制されており、売上の伸びもあり販管費率は4.7%となり、過去2期の5.2%より低位となっています。この辺りはサマリにも言及した通り、どういうコスト低減となったのかによって評価も中長期的な判断は変わりそうです。

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 営業利益率は7.8%と同社としては高位です。グラフはありませんが、経常利益率は8.2%となっており、同社が経営目標のひとつとしている経常利益率8.0%を超えています。元々、同社の収益構造は荷量が増えるQ3が繁忙期でQ1はそこまで高い収益率になる構造ではありません。その中でこの利益率が確保出来ている点は評価できるかと思います。ただ、これも結局コストの見直しの性質により判断も変わってきます。

 セグメント情報もみておきます。

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 主力の物流事業のセグメント売上ですが、近年では前Q3の繁忙期の売上を今Q1は超えてくるのが常でしたが、今回は超えてきていません。前Q3の伸長が高かったということもありますが、ひとつのトレンドとして、短信内にも言及がある通り、「一巡」してきているという事かと思います。

 BSについては特段変調はありません。期初という事もあり、毎年短期借入金が増加している等、変化はありますが、例年の傾向と比べて異質の状況はありません。

4.トピックス

 まず事業に係る所からですが、ワクチン輸送の業務を受託している旨はリリースがあったのですが、この短信内では一切言及がありません。社会的意義や関心も高いですし、このような案件の場合それなりに高利益率で受託されるものだと思うのですがどういうことなんでしょうかね。
 それから東大の柏キャンパスにラグビー場を寄付することになりました。こちらは京大への寄付と異なり、和佐見さん個人資産で対応するようですが、これは巡り巡ってとてもよい取り組みだと思います。次世代へ資金を投じるという意味からも、丸和運輸機関がより様々な恩恵を享受するという意味からもですね。総会でも言及があった通り、学術的にも産学連携の傾向を強めており、特に東大とは社員を勉強のために差し向けたりもしていますし、今後採用という面でも効果が出てくる気がします。もっとも、あの桃太郎文化に東大の学生が志願するというイメージがあまりわかないのですが、でもそういう方も出てきてもおかしくなとも思います。

5.さいごに

 私は同社の株をIPO直後から保有しておりますが、こういう会社に寄り添っていてとてもありがたいのです。株価が騰がったからという要素もありますが、むしろ過大な評価がなされており心配な気持ちの方が大きく、株価の形成と面より、哲学のあるような会社とご縁を頂けたという色彩が強いです。業績面では今後BCPや産直といった新たなフィールドへチャレンジする中では、収益率や収益性、あるいは超大型自社物件を保有する事になるため資産面においても色々変化が出てきます。チャレンジの結果がどこまで奏功するかはよくわかりませんが、経営や事業において、哲学があるうちは大きくぶれないと考えています。今後もこういう会社に寄り添い、エンゲージメントを高めていきたいなと思います。

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