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丸和運輸機関(東1/9090) 株主総会レポート 2021/6/28

 東証1部上場の丸和運輸機関の株主総会に出席しました。株主総会の様子についてご紹介したいと思います。なお、当レポートは私の心証に基づき脚色されており、意図せず誤認している可能性もありますのでご容赦頂ければと思います。


1.参考記事

 まずは、参考記事として、昨年の総会レポートと直近の決算精査記事を再掲しておきます。

2.基礎情報

 それでは、まずは当日のタイムテーブルです。手元の時計での測定です。昨年に続き、株主総会+成長戦略の説明という2部制での開催です。コロナ禍の下で、円滑な総会運営と成長戦略を伝えるという双方を両立するためにこのような運営になったようです。

  10:00 開会の前の挨拶 (和佐見社長)
  10:05 開会 (和佐見社長)
  10:08 議決権行使数の確認(事務局)
  10:10 監査報告(田中氏)
  10:12 事業報告・対処すべき課題(ナレーション)
  10:21 議案上程(ナレーション)
  10:28 質疑応答
  11:07 議案決議
  11:14 閉会
   ~休憩~
  11:28 成長戦略の説明会(和佐見社長)
  12:10 質疑応答
  12:18 終了

 昨年よりも総会での質疑が長めにとられ、その分、成長戦略の説明会の方での質疑の時間が十分取れずという状況でした。事務方の方々も内心、まいてくれってアワアワなっていた気がします(笑)。私としても色々質問を用意していたので、質問が消化できないところもあり、この点は残念でした。とはえい、それでも多くの質問をさせて頂く機会を頂いたことには大変感謝しています。

 議決権数の確認の状況です(どちらも手元のメモのため誤りがあったらすみません)。

 ■昨年
 ・1,465人/4,172人
 ・599,802個/640,011個(93.7%)
 ■今年
 ・2,598人/7,423人
 ・1,159,616個/1,259,791個(92.0%)

 株式分割をしているため、個数は参考ですが、議決権行使の比率が高いのは今年も同様です。私の保有株ではステップ(9795)も行使率が高く86%程度ですが、それを超えてダントツトップです。

 それから注目は株主数の増加です。分割の効果という側面もありそうですが、株主も7千人を超えています。株主優待などの底上げ要素もなしですからね。より多くの株主に支えられているということは嬉しいことです。

3.議事進行

 議事自体は昨年と同じで、総会ではほぼナレーションでの運営です。とはいいながら議長である和佐見社長の元気はつらつの掛け声は相変わらず顕在です。初めて参加される株主は入場の時の、「失礼しますっ!!!」の号令に度肝を抜くことになります(笑)。
 対処すべき課題も含めてナレーションというのは稀で、この部分だけは自らの肉声で説明される会社も多いのですが、同社ではナレーションです。議案の上程もナレーションですからね。この点は奇異に映る方もいるかもしれませんし、これ位は、議長自身が説明なされるべきとお考えになる方もいるかもしれません。
 なお、説明されている内容は、決算説明資料や動画がUPされており、これに準拠した内容ですのでここでは割愛します。
 成長戦略の説明についても、決算説明資料や動画に沿った内容ですが、やはりリアルでの説明は迫力がありますし、合間に繰り広げられるエピソードなども笑い要素もあり楽しめます。

4.質疑応答

 以下に質疑の内容についてメモをしておきます。なお、繰り返しになりますが、あくまで私の主観で脚色していますので、事実と異なる点が多分に含まれる可能性がある点についてご了承願います。

※★印は私が行った質問です。

★Q DX推進の状況と取締役体制について
 対処すべき課題に挙げられているDX推進は今後の業界を見渡して重要な事項であると認識している。当社グループも「秩父モデル」の構築への参画で実証実験等に参加されているかと思うが、現状の成果、課題、今後の展望について教えて欲しい。また、DX推進に当たっては専門部署を創設して取り組みを開始されたとあるが、取締役のどなたが責任所掌となり取り組まれているのか。また変化も大きいことから専門的な外部ナレッジを取り込む必要性もあろうかと思うが、今回の新任取締役をみてもデジタル人財に適合する取締役はおられないが、こういった人財の登用は検討されなかったのか。
A
 DXの取り組みについては、今年の4月に専門部署を情報システム部内に専担者を置いた上で創設した。従来からベンダー系Sierと共に様々なシステム構築を進めてきたが、DX推進ということでより深く検討を行うため、ある専門家をアドバイザーに招聘し昨年6月頃からプロジェクトチームとして内々には動き始めていた(それが今年4月に正式に専門部署として組成されたということですね)。自動配車、庫内のオペレーション自動化、社内の事務手続きの省力化などのテーマ―で改革を進めている。この取り組みのための投資として予算化してコストを投下してこの取り組みを推進させていく予定である。最終的には現状動き始めて数年後に稼働開始する超大型プロジェクトである松伏のセンターにおいて、これらの先進的な取り組みの成果を反映させたものを創っていきたいと考えている。(山本取締役)
 DX推進というのは、3PLの業界においてはチャンスである。この会社のビジョンを実現させるためには従来のITではなくDXが必要で、この取り組みによって会社がどう変わろうとしているのか、どういう方向性を目指すのかを示現するものであると捉えている。松伏のプロジェクトで、このDXの取り組みを最大限反映させることで、日本最大の食品物流、それが確固たる競争力をもって運営されるように尽力していくし、これが当社の最大の強みになっていくものと期待をしている。またナレッジという面では、米国でも先端で知見を得られた方を顧問として招聘し、当社内で有益なアドバイザリーとしてご活躍頂くような体制作りも行っている点、ご理解頂きたい。(和佐見社長)
■考察
 明確な答弁はありませんでしたが、山本さんが責任者として、その中で、取り組み毎にチームを組成し推進活動がなされている点はよく理解できました。また、このチームの組成前にしかるべき方にきちんとナレッジを共有頂きながら進めていること、またその取り組みが単なる技術の深堀ということではなく、松伏という具体的な対象に対して実装される事を想定して事を進めている点はとても良いと感じました。どうしてもDXという技術側面ばかりを掘ると、そもそも実運用でどう使うんだっけ?とかなりますからね。
 取締役選任に当たっての検討状況について直接的な回答はありませんでしたが、しかるべき方を招聘しアドバイスをいただいている事も補足の説明も頂くことでより納得感を得ましたので、問題ないと感じました。
 一方、DXの推進で実現される世界像がひとつのセンターを基点として波及するレベルで思考されている点は、次への課題でもあると感じました。今は松伏の事で精一杯かと思うのですが、これが結実した後には、自動運転、ドローン配送などが標準化していく世界に向けて、より先進的な研究開発にも期待をしたいと思います。

Q 女性役員の登用及び女性の人財育成について
 取締役選任議案をみると、女性がおられないが女性役員候補がいないが検討されなかったのか。また当社における女性人財への扱いについてはどのように捉えているか。
A
 指摘の通り、女性役員の選任は今回存在していないのは事実である。今回の取締役選任に当たっては、社外取締役の充実、とりわけガバナンスの観点を強化する事に主眼を置いたものである。今後は女性やダイバシティという観点で十分考慮して検討をして参りたい。また女性社員の育成に関しては、業界としては男性中心というのが定説であるが、最近では女性の活躍も際立ってきている事も事実である。現状、女性の管理職も増えてきている状況である。(葛野取締役)
 チャンスがあれば女性でも活躍できることを確信している。そのポテンシャルを発揮できるように環境を整えることを進めているし、その環境はある程度整ってきていると理解している。(和佐見社長)
■考察
 昨年の総会で、取締役が定員割れで新任もアサインせずという点について私は質問しました(質問という名の提言をしたつもりでした)。この内容をきちんと汲んで頂き、今回はまずはガバナンス強化ということで、定員いっぱいとなるよう社外取締役を新任で2名追加されたので、私は一定の評価をしていました。一方で昨年も指摘したようにDXなど重要課題に向けた点への指摘として前述の質問を行いました。
 質問者さんは、女性活躍という文脈で質問をされました。最近、何かと女性比率とかいわれますが、ここは適材適所ですから女性がいないからダメという事でもないと思っています(質問者さんも恐らくそういう趣旨ではないと思います)。その上で、女性の活力や気配り等は素晴らしいものがありますから、会社がこれだけ大きくなってきている中で、より総合力を高めるという意味で育成も含めて重要な指摘だと思います。経営の役割として、環境を整える、というのはいいですね。

Q 日次決算マネジメントとはどういうものか
 日次決算マネジメントというものがあると記載があるが、これはどういうものなのか。
A
 当社はとにかく業務でもスピード感を大切にしている。従前から月次決算は当然やっているしこれは他社でも同様であるが、我々はより一人一人が日次で数値をみて、把握しながら業務にあたれるようにこのマネジメントシステムを導入している。(和佐見社長)
 経営の基本方針としてスピード感を大切にしている。現下の経済状況は変化が大きく、月次決算に加え、スピード感をもって現場に原価意識を醸成させる目的でこのようなマネジメント体制を構築している。(藤田取締役)
■考察
 何かと日次決算システムが登場しますよね。決算短信においても、色々苦しかったけど、日次決算マネジメントが奏功し、利益成長しています、って説明されるものですから、どんな優秀なマネジメントシステムなんだろうとは思っていました(笑)。もちろん、その中身や構成について具体的言及はなかったですね。現場への意識醸成を養う意味ではよいと思いますが、一方で現業の方の多忙さ等を想像するに、ここに経営と現場の距離がないかというのは気になる所です。

Q 地域貢献の在り方について
 オリンピックの選考会の試合で当社の社員が優勝したと聞いた。大変おめでたい。質問は、地域との関わりにおいて、今後、どういう地域貢献をされていくのか。松伏の構想で実現される地域貢献とはどういうものなのか。
A
 渡邊あかねという社員がハンマー投げで優勝した。昨年は5連勝、今年は2連勝。ただ、試合後、悔しいですと私に電話してきた。なんでかと問うと、オリンピックに送り出してくれると入社したが、結局オリンピック選手にはなれなかった、申し訳ないという涙声だった。その時に、悔しいという言葉、その涙はあなたが成長した証拠なんだと労った。その経験を今後の人生に活かし、必要な人財となれるよう活躍して欲しいと伝えた。
 質問に答えると、地域への貢献は経営において重要な事項であると考えている。地元吉川、そして隣接の松伏においてこれだけ投資をして地元貢献と当社の成長という側面で意義があるものと考えている。松伏の件はメリットとしては、松伏の財源確保と雇用創生ということだ。松伏のセンターは海外からの研修生を受け入れる全寮制で1000人、地元松伏で2000人の雇用を創り、高速道路のICを誘致し、これまでに15年の時間を要してきたがこれが実を結ぶのは嬉しい。これだけの設備なので各所からの視察や株主向けにも見学会などを企画していきたい。また吉川にも今後は展開をしていくことを念頭に活動を継続していきたい。(和佐見社長)
■考察
 完成は2025年ですが、この松伏のセンターは期待が膨らみます。もちろん同社の経営成績からみればむしろ来期から償却が増えるため利益成長という定量評価からみれば必ずしもいい見栄えがするものではないかもしれません。しかし、それでも同社らしいコミットメントなんだろうと受け止めています。株主向けの見学会とかも、ということで、こちらは帰り際に改めてぜひ、と念を押しておきました(笑)。
 それはそうと、冒頭の質問に関係したいオリンピック選考会の件、敢えてメモに起こしました。和佐見さんの人柄がとても滲むいい話だなと思いました。会社としてはオリンピックに出場して宣伝効果にもなればと当然思っている一方で、その一人の人財にきちんと目が向いており、こういった声掛けが出来るというのは素晴らしいですし、このあかねさんという社員の方も悔しい中にも希望が見えたのではないかなと思いました。このような事を通して、会社へのエンゲージメントを高める事があるのは理想論とはいえいい話だなと思いました。和佐見さんは仏教の教えに学んだそうですが、なにかとこういう人格者な部分があるんです。

★Q 京都銀行からの借入金急増について
 過去に京都銀行から少額の借入はあったものの、12億円という規模での借入は初めてだと認識している。京都大学のラグビー場への寄付や、関西丸和を主体としたビジネスの投資状況などによるものかなと思料する所だが、これだけの借入を行う背景を今後の事業展開を踏まえて教えて頂きたい。また京都銀行からの借入という点についてもこのような選択となったきっかけなどがあれば教えて頂きたい。
A
 指摘の通り京都銀行から多くの借入を行っている。当社の子会社である関西丸和ロジスティック社において、京都の八幡に大規模センター兼本社を構築し今後の事業拡大に資する投資を打った。従来、京都の綾部に拠点を構えていた頃より、京都銀行は関西丸和のメインバンクである。我々は地域子会社を保持しているが、先ほどの質問でもあったようにいずれも地域に沿った事業を行っていくという観点からも、地方での金融機関との取引も大切にしていく必要があると考えている。今回の件を通しても、京都への地域貢献はもちろんのこと、京都銀行を通して地元の様々な情報収集にも有益であるし、取引先との関係性構築においても効果があるものと考えている。当然、金利面の交渉は本体手動でグループとしてあたっており、借入条件等でも不利にならぬように配慮しながら進めている。(田中取締役)
 いつも思っていることだが、地元の金融機関である地銀さんとの付き合いは大切にしたいと考えている。根強い縁つくりというものは事業にもいずれ貢献してくるし、今回関西丸和でこれまでにない大規模な投資を売った事もあり、このようにご縁を深めることになっているし、その先にはご紹介頂く様々な案件もあろうかと思うので、当社事業の成長に資する活動へ活かしていきたい。(和佐見社長)
■考察
 総会での質問として付議事項に関連づけるため、強引に京都銀行の件を引っ張り出して質問しました(笑)。関西地域での事業展開の状況や地銀という選択肢をどう捉えているかなと思ったのですが、期待通りの回答でした。
 まず、関西丸和での投資の件は今後の成長のために必要なことですから、良い判断だと思いますし、メガではなく敢えて子会社のメインバンクを採用する狙いも的確だと思います。京都銀行との縁を深め、この地域に根差した活動をするために必要な関係性構築を進めているということでいいですね。ご縁という言葉が出てきますが、ここでも和佐見さんの哲学のようなものが垣間見れます。
 あとは綾部という土地は、丸和グループにとっては特別な場所だと思っていますが、そこから離れる事に関してどのような調整があったのか、など興味があるわけですが、まぁ私などが知らない方がいい話も多そうです。
 ちょっと重箱の隅のような質問でしたが、想定問答にあったのか、即座に田中取締役が答弁されていて凄いなと思いました。流石にこの細部の想定問答はなかったと思うので、実態をきちんと把握され経営されているのかなと感じました。

Q 当社が目標とする経営指標について
 経常利益を業績目標として記載があるが、当社の経営指標としてどういうものがあって、どういう活用をしているのか。
A
 自己資本比率45%以上、経常利益率8%、ROE15%以上を目標としている。現下では転換社債を発行のため、自己資本比率は低下しているがこれは先行投資ということで45%を目指している。また経常利益率8%も今期のガイダンスはこれを割り込んでいるが業績向上を目指していきたい。(山本取締役)
 日次決算の件でも回答した通り、労働集約産業にある我々は低い利益率である。同業界の上場会社でも5%を上回る会社は数少ない。そんな中で努力を重ねていきなりは増加させられない利益率ではあるが、きちんと業績拡大を目指していくので理解頂きたい。(和佐見社長)
■考察
 当社が目標とする経営指標は有報に明記されているので、もう少し質問に工夫が欲しいなと感じました。私なら、例えば経常利益率8%目標としているが、21/3期は寄付金などを除くと、通期でも8%水準であったと認識しているが、一種特需のような形で達成しうる経営指標の選択として合理的なのか、とか聞きますね。今後はアセットを持つような展開になることもあるため、例えばEBITDAを使うとか、労働力を急伸させようとしている中で生産性指標を採用するとか、何かないの?とかですね。
 あと、答弁でガイダンスで8%に満たないという説明においては、どういう先行投資があるとかを説明した上で、その先に見える率を示すといった答弁の方がより良いかなと感じました。

 ~以下が成長戦略の説明会の質疑(時間がなく2問のみ)~

Q AZCOMネットの協力会社の拡大について
 当社の協力会社の拡大について、2000社程度であれば現実味もあるが、数万社というのはフィージビリティ―があるのか。
A
 AZCOMネットは最終的には1万社程度にあるのが妥当。1兆円企業を目指す中では10万人程度の労働力が必要である。これを丸和だけでなく、AZCOMメンバー全体で目指そうという構想をしている。将来的には丸和とパートナーとして一緒に成長をしていきたいし、これを日本のモデルにしていきたい。(和佐見社長)
■考察
 質問者さんの意図がわかりづらかったです。社長も答弁に少し整理が必要な状況だったようにお見受けしました。既にAZCOMネットの会員としては規模も大きい中で、なぜ2000社という数値が出てきて、それなら実現性もあるという前提なのか、何が趣旨かわからなかったので、答弁もAZCOMネット会員の一般論の説明に終始されてしまいました。時間がない中でもったいないな、と感じてしまうのですよね。。。

★Q 先見性に秀でた社長に聞く今後の期待
 雑誌「財界」の2021/7/7号に掲載の和佐見社長の記事を拝読すると、ずっと昔に海外視察を通してドラックストアの将来やECの将来に対して感じられたポテンシャルがその後の顧客アライアンスに強く成果を及ぼしており、改めてその先見性に感嘆をしている。当時、この先にドラックストアやECのトレンドが日本で今のように成長すると先見性を持ち期待を寄せ興奮されたわけだが、今、数年先という長期を見越して同じような興奮を覚えるポテンシャルをもった業界の変化やビジネス機会として感じられているものがあればその取り組みを含めて教えて欲しい。
A
 経営者にとって、変化が大きい中でどのようなビジネスを構築していくかということは大変悩ましい問題である。しかし、だからといって学ぶことをやめていてはいけないとも考えている。その上で今一つのキーワードとして可能性を感じているのは、やはりBCPである。BCPをビジネスとして成立させようという事を考えているのはまだ少数派であり、投資型になることから、誰もが躊躇しているのが実情。しかし、必ずや事業化できると目論んでおり、投資余力のある丸和グループだからこそできる事だと確信している。BCPの権威である東大の目黒教授との中で、様々な提案の機会があるが、丸和のように愚直にこれをビジネスにしようと模索される姿に気に入った、なんでも力になると言質を頂いた。こういう協力者を味方につけてネットワーク化していくことがとても大事で、自分一人では所詮微力、だけど、こういうネットワークが強くなれば、変わるんだ、変える事が出来るんだという事だと実感している。そういう思いで松伏にもこういう機能をつけていく。
 そして後継者にこれを委ねる事も大切だと思っている。私が一人で海外視察等からヒントを得て率いていくだけではなく、後継者に広くそういった経験をさせ、一緒に構築をしていく営みがとても大切だと思っているし、それも私の大きな役割の一つだと考えている。というわけで、何かをやろうとするときに事業の継承を意識しながら、進めていきたい。
 いずれにせよ、ただ人様の動きを眺めながらやっていくのではなく、先陣を切ってチャレンジをしていく、そういう会社だと強く認識して今後も変わらず邁進していきたい。
■考察
 他に具体的な質問を数点用意していたのですが、時間もなく思いっきり感覚的な定性的な質問を最後にせざるえませんでした。悔しい…。
 雑誌「財界」の記事では、まだドラックストアが多商材化する前、そしてECなんてまだ日本ではなかった時代に和佐見さんが海外視察を重ねた中で、先見性をもってこの業界を変えると野心に燃えた頃の逸話が紹介されています。これを受けて、今、そのようなポテンシャルを感じられているものがあればということで質問しました。これはIRには質問できないですからね。
 答弁はBCP、産直といったあたりを想定していましたが、その先の事が出てくれば面白いなと思ったのですが、時間がない中で、とりあえずBCPが一番語りやすいという側面もあっただろう中でお話を伺うことになりました。
 答弁の中でBCPは収益化が難しいのではないかと声が多い事を踏まえた説明もありました。実はこの点も質問に挙げていたのですが、これをすっ飛ばしているので、具体性が欠けてしまいました。ただ、BCPを事業として継続性を持たせる意味で適正な収益をあげる事業として成すことの重要性と説かれていたのは感覚があっていてとてもよかったです。具体的な収益モデルの構築の部分は残質問になってしまったため、ここはIR行きが別の手段を考えます。BCPは現在首都圏+地方都市いくつかとの提携という状況ですが、今後量が広がってくることと、企業も参画してくると、N割が効いてくるわけなので、この辺りがヒントになりそうな気がします。いずれにせよ、和佐見さんがまだ興奮の中で経営されている温度感が伝わってきた点もよかったですが、自ら後継者育成についても言及されていたのもよいと思いました。特に副社長の山本さんや今回専務に昇格される藤田さんは答弁もかなり安定していて、私なんかが言うのも憚られますが、とてもいい感じに仕上がって継承に向けて着々という印象です。この特集は50周年を振り返ってというお題目でもあり、この50周年を迎えた振り返りの中で、当時感じられた興奮、それを今後につなげるというシナリオを組んだ質問でした。この質問の前にいくつか地ならしをしておきたかったのですが、時間がないことが悔やまれます。

5.さいごに

 株価が軟調に推移していることもあり、その背景には成長鈍化への懸念が台頭していると考えられます。実際、数値面ではそれが垣間見れる状況となっています。そして、松伏のセンター投資などが今期から本格的に投下されていく中で、来期以降の償却負担が増加することとなります。アマゾン取引も様々な要素もあり成長は続けますが、率でみればどこかで倍々ゲームのような成長は止まります。というか既に止まっていると思います。そういった中で、高PERを付けていることもあり、目先の株価騰落という面で、マーケットがこういった値付けをするのはある意味必然な気もしています。
 とはいいながら、私は定量的な部分だけを見ているわけではないですし、むしろ同社には定性的な部分を魅力的と感じていて応援したいと考えて株を保有しています。人とのご縁を大切にしている姿はこのコロナ禍でより深まって気もしますし、DXの取り組みやセンタ設備への大型投資、BCPへのフロンティア旺盛な姿勢など、これを応援したいと強く再認識した総会でした。
 創業50周年を記念したポスターで、不動明王を信仰している社長自身の従業員らへ向けたメッセージが廊下に掲示されていました。感謝の念を大切にメッセジングされておりいいなと思いました。
 このご時世に自粛が叫ばれている中で、今年もマツキヨPB品のお土産を頂きました。コロナ禍であっても、役員一同が廊下でお見送りしてくださいました。そこでも少し立ち話をさせて頂きましたが、期待と感謝の気持ちを私なりに精一杯お伝えしたつもりです。例年は握手をしますが、今年も肘タッチですが、そこに気持ちを乗せて、また一年を託したいと思いました。
 頑張れ、丸和運輸機関!

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