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【企業調査(概要)】LITALICO(東証PR/7366)
ライトに企業を知ろうと続けているこのマガジン記事。
今回はLITALICOさん。
ペーパーを作ってから、あ、今日決算だったのかって知る体たらく。そういえば信用買い残も増えていたなと。
「障害のない社会をつくる」をビジョンに経営されています。児童福祉と就労支援のサービスをコアとして、関連するコンテンツプラットフォームや施設向け運営支援ソフトを提供するビジネスをされています。
障害者福祉の文脈からは、例えば農園での就労支援の機会を提供するエスプールさんのような企業もあります。いわゆる施設系の支援サービス事業者となると非上場を含めると保育所やこども園がたくさん出来ているのと同じ構造で色々な所で見るようになりました。国の予算もついていることもありますしね。しかしながら、コペルの民事再生法申請の件など比較的大きなチェーンでも厳しい状況にあることもまた確かです。
そんな中、LITALICOは施設運営能力の点もさることながら、例えば発達障害に関するポータル等のコンテンツ提供のレベルが高いわけです。当事者の方やその保護者など取り巻く方々に有益なものなわけです。それが入会にも強く関連しているわけです。このように集客の方へのアプローチがまず素晴らしい仕組みになっているなというように感じています。
このような関心をもって、早速軽くサマリしてみました。
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同社は単なる施設サービス事業者というだけではなく、提供するコンテンツの質やプラットフォームの提供など複合的になっています。この界隈で相応の存在感があると認識しており、それがPERの評価にもつながっていたと思っています。今でこそ、PER17倍とまぁ外形的には通常の評価になっていますが、少し前までは50倍以上が常連でした。もっともこの水準は異常でしたが、その後も20倍台前半のPERがついていました。その後、進行期の方針転換後の混乱及びその後の業績下方修正に至り、PERが切り下がったというのが現状ですね。業績の派手の下方修正をしていることもあり、これでもPERはまだ高いというむきもあるかもしれませんが、どうでしょうかね。時価総額もなんだかんだで300億ありますからね。
一方で派手に下方修正するに至り、色々課題が露呈する中でも営業利益率も10%超は維持しております。公費ビジネスを含むということもありますが、一定の収益率があるという点は冷静に念頭に置いておきたい所です。
投資戦略としては大きなカタリストがあるわけではありませんが、進行期で色々な背景に基づき戦略転換にチャレンジしました。が、なかなかうまくいかずに一度撤退するということになりました。本来あるべき姿にしようと理想を掲げてもなかなかうまくいかないというのは忸怩たる思いも感じますが致し方ないですね。いずれにせよ、スイッチを切り替えるようにうまくいくのかはわかりませんが、来期以降従前のトレンドに戻る事を期待したいとい思っています。
ガバナンスとして会長職となっていた長谷川氏が社長に復帰して混乱収束を図るということもあり、来期従前のトレンドに戻せればPER50の世界線はもう難しいでしょうけど、PER20倍超くらいは期待できるだろうと思っています。ただ、同社の場合、報酬制度によるところもあり、新規店がフル寄与するためには2年は最低要するということで、立ち上げコストが先行する中で、進行期の混乱が来期の成長の見栄えにも影響することも必至ですが、とはいえ、巡行化してくればいいんだろうと思います。少し時間を要するかもしれませんけどね。
その意味で株価の皮算用も少し時間軸は猶予をもってみています。EPS75円くらいまでは回復してくる局面があるのだろうと思います。PER20倍として株価目線は1500円ということで、このくらいまでの回復はみられるかなと感じました。
そして本日決算発表と配当修正がございました。まず驚いたのは1円増配です。これは会社側の明確なメッセージではないでしょうかね。「国内外において持続的に事業拡大が進んでおり」とありますよ。純利を4割下方修正しておいて、何が事業拡大が進んでいるだ、と思われる方もおられるでしょうね。キャッシュフローに余裕がある事もあり還元の余裕はあるのですが、にしても減配まであってもいいかと思っていましたが、配当据え置きからの増配ですからね。
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そして決算についてですが、短信表紙みてると萎えてきますね(笑)。
決算期に入ってきて、真っ先に中身も見られずに次ってされるやつですね。
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とはいえ、説明資料のサマリをみると、開設も順調に進んでいますし、懸念であった児童福祉が底入れしている感じもみてとれます。就労支援の就職者数が堅調ではあるんですが、伸長をみるとマイルドで、でも収益はきちんとあがっているんですよね。
一方で利益の下押し要素としては海外MAの償却費でしょうか。Q3でも償却せずとのことなので、確定次第期末には当期分を一括償却ということになるのでしょうか。これを踏まえて、連結業績として修正計画に対して順調とありますね。そうですか。なんとなく純利がちょっと足りるのかなとか思ってしまいますけどね…。でも増配ですからね。
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就労支援はインライン、児童福祉はようやく底入れで、今期の混乱と出店加速と来期の出店で収益フル化までの期間に若干収益率回復に時間的に猶予が必要と思われる所をどうするかですね。
プラットフォームはこういう事が今後も出てくる可能性はありますね。ただこれはアンコントローラブルですし影響度もそこまで高くはないと思われます。むしろ採用も順調のようですし、今後の立ち上がりに期待ですね。
海外は償却負担が開始されるとある程度巡行的な収益がみえるようになるでしょう。安定推移しているようですので新たなチャレンジとして見守りたいですね。いい意味でも米国の事例をダイレクトに把握できるのもいいですしね。
同社はOpenWoekの口コミもよく本来社員さんの満足度も高い会社なのに、四季報にはこの混乱の下で離職が止まらない、みたいな表現もあって心配しておりますが、会社の開示の内容からみると特段懸念はなく、概ね底入れしたような印象です。
決算の内容もさることながら、新サービスの件が2つスライドが入りましたね。
どちらも既にサービス提供としては既に出ていましたけどね。
特に後者の通信制高校は昨年12月に発表があり説明会なども開催されていましたが、今春多くの会社で開校が相次ぎますね。長年の構想期間もあったようですし、LITALICOのノウハウや就労支援との橋渡しとしても非常に筋のよいサービスだと思います。個人的にはカワスイの通信制高校とかユニークだなと思います。
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決算の内容としては、一応は底入れは確認できたと思います。一方で報酬制度の仕組みから急激な回復、特に利益についてはそこまで強いものにはならないと思います。決算短信の見栄え的にもまだ辛いようにみえますので注目もされないでしょうしね。ただ1円の増配はたかが1円ですが、びっくりしました。実利というよりメッセージだと受け止めたいですね。
社長交代で再起を図る事を期待したいですね。
頑張れ、LITALICO!