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【企業調査(概要)】のむら産業(東証ST/7131)
薄く広く企業を知るための活動。あまりに薄すぎて、生成AIにサマリさせた方が、よっぽどまともなサマライズをしていくれるとは思いつつ、細々と続けるこのシリーズ。綺麗にノートを作る人って勉強できないっていいますが、そういえば、学生の頃は無駄にノート綺麗にして悦に浸っていました。
今日はフォロワーさんからご紹介を頂いた会社です。とはいえ、私もIPO直後から監視リストに入れていた会社。監視しているのではなく、きちんと買っていればそれなりに儲かっていましたね(たられば)。こういうライトな自己満足記事を垂れ流している中で、会社をご紹介下さるのは嬉しいです。
まずはサマリです。という前に会社の3分で会社を知るというページが秀逸なので、こちらを見て頂いた方がよっぽどいいと思います(笑)。
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同社は包装用の機械と消耗資材を販売している会社ですが、米穀市場向けに特化して、この業界での規格化によりデファクト化を進めてきた会社です。機械と消耗資材を継続して使っていることから、プリンタビジネスを彷彿とさせます。全農を始めとした顧客基盤をカバーしていることもあり、機械もいきなり全部を取り換えるというより段階的にサイクルしながら最新化をしていくことを考えると同社ラインナップの中で互換性がある事も大事かもしれませんね。
そしてこの米穀向けの包装において過去の経緯から同社は東日本地域が中心となっています。ずっと昔に関西のむら産業という会社が西日本を担当し、「棲み分け」をしてきたという歴史があるようです。しかし、どういうわけから、分離独立をして今では会社名はあたかもグループ会社のような出で立ちですが、全く別会社ということで、更にこの「棲み分け」も撤廃しているという状況です。ですので、関西のむら産業の拠点である名古屋には、のむら産業の事業所もあったりますね。そしてこの「棲み分け」撤廃もあり、西日本へのエリア拡大を志向しています。この一連の経緯がよくわからないのでもう少し調べてみたいと思いますが、何かただならぬものを感じますね。このようなさなかで、西日本のエリア拡大の実現性がどうなるのかはやや慎重にみてしまいます。
一方でタイやベトナムといった市場はフロンティアですね。現地でのコメの消費量は日本と比べてもはるかに大きいようです。もっとも、既にコメ食文化が成熟している中で、既存のプレイヤーもおられるでしょうから、どこまで「日本の仕組み」が適用できるのかというのはもう少しヒアリングしてみたいですね。
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チューブロール式の機器はコメ以外にも様々な食品などにおいて横展開するという可能性があります。同社はこれを新市場と識別して取り組んでいます。新市場と聞くととても期待するわけですが、実際にはまだフロンティア出来ていない気もしますね。大手メーカーとの取引もあるようですから、今後に期待ですね。
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あまり投機的なことを意識した投資目線を持ちたくないのですが、やはりコメ不足は既に今も在庫確保合戦が裏では活発であるように、今秋のコメ不足もそれなりに顕在化する様相です。災害についてももはや毎年どこかで起こりうるものとして捉えておかねばならない(残念なことですが)中で、需要の偏りも見られると想定しておくべきかもしれません。どちらかというと瞬間風速でのPERの揺らぎに現れるのではないかと思います。
そして、M&Aの状況次第ではあるのですが、現在の配当性向25%というのは、まだ余地があるようにもみえます。財務面でも既に実質有利子負債もないようなもので、規模感こそ小さいですがキャッシュフローも安定しています。もう少し還元に積極的になることで、配当利回り面でも見劣りしない水準になる可能性はあるのかなとは思います。
リスク要因のところですが、同社はファブレス経営を志向していることもあり、企画や設計部分は別にして製造する部分は2社に外注している状況です。このため、サプライチェーン上での制約を受ける点には留意しておくべきかと思います。もっとも歴史の長い中でもありますから、ただちに毀損するようなことはないかもしれませんが、天変地異みたいなこともいつ起こるかわかりませんからね。
また同社の沿革を眺めていると、途中分離独立した会社があり、先方の会社も「のむら」を名乗っていて、今では全く違う会社でありながらこういう状況であることはちょっと認識しておくべきかなと感じました。何か過去にトラブルでもあったんですかねぇ・・・。
比較会社をみるとやはり同社のPERの低さが目に留まります。ただどうしても業種的に卸売となるため致し方ないところもありそうですね。同社の資本構成の特徴でもありますが、PBRは1倍を超えていますね。
株価皮算用のところは、同社が毎年ローリングされる中計のデータをベースにしています。今回売上はM&A寄与分の精査などで下方修正していますが、一方で利益は上方修正しています。これは既存事業の好調とM&Aの精査もあってのことでしょうかね。同社はバリュー株のひとつとしてみられているので、そもそもEPS向上にどこまで期待するのかという問題はあるかもしれません。ただ、何気にビジネスモデルからも安定して成長していけるのではないかとも思えます。
頑張れ、のむら産業!
(2025/1/20追記)
Xの方で、「どの辺がニッチトップと感じたか」というご質問(ご指摘)を頂きました。ご指摘下さった方はお米屋さんを本業とされている方とお見受けしたのですが、その方からの視点からすると、いくつかある会社のうちの1社という感じで特段トップ企業としての優位性を有しているという実感がないという背景を踏まえてのご質問(ご指摘)かと思います。大変ありがたいツッコミだと思います。
まず私がニッチチップだと感じたのは完全に受け売りで、個人として非上場を含めた会社を精緻に並べて定量的に評価したものではありません。従って、本当にトップなのかとご指摘頂くと、私の手元に説得できる材料はありません。そして、むしろ本業で扱われている方の心証として違和感を感じられるとすると、この前提も疑った方がいいのかなという気持ちもあります。とはいえ、少なくても米穀包装に係る事業を長い歴史の中で取り組まれてきているという点ではニッチであることは認めてもいいかなと思いますし、本当にシェアがトップなのかはデータがないためなんともいえませんが、収益規模などからしても一定の存在感があるとみていいかなとは思っています(根拠がないのですが)。
ちなみに同社が上場した頃のインタビュー記事があります。この中でもシェアの状況などが語られています。
そして、同時期に出ているアナリストレポートをみると多少上記記事と数値は異なりますが、資材では全国で14%(東日本で37%)、機器では半数超のシェアが当時(2021年頃)にあったというデータがあります。また、以前にIRさんとやり取りした際にも自社の見解としてトップシェアだという話を伺った記憶がありますし、直近の決算説明資料にも同趣旨のスライドが入っています。これをそのまま鵜呑みにしていいのかというのはありますし、上場時なので2021年頃とデータも古いですからね。
https://corp.akatsuki-sc.com/wp/wp-content/uploads/2021/12/7131_report_202112.pdf
https://holistic-r.org/adm/wp-content/uploads/2021/12/7131211203.pdf
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また、今後の成長戦略の説明には以下のようなスライドが入っています。
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私はこのスライドをみて、既存事業(米穀包装資材・機械)ではシェアの高い状況が形成されており、更にこれを高めていくための西日本地域や海外マーケットの開拓へ動くとともに、新市場へのアプローチを掲げているものと認識した次第です。従って、現時点で一定のシェアやこのニッチの市場で存在していると認識した次第です。
ご指摘下さった方はプロフィールから東日本地域の方と思いますので、元々同社のシェアが高いとされている地域(東日本の中でも濃淡があるのかもしれませんが)の方なので、本来データからは同社の存在感が大きいものと勝手に解釈していましたが、実際にはそうでもないとするとこれは肌感覚として認識しておいた方がいいなと感じました(ご指摘ありがたいです)。
(同業他社メモ)
※フォロワーさんの中で本業の方からのアドバイスを頂き列挙しました。
■資材関連
マルタカさん
ナカノさん
アサヒパックさん
■包装機械
サタケさん
山本さん