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【企業調査(概要)】前田工繊(東証PR/7821)
混ぜる会社で化学反応が起きて、イノベーターとなることを志向している前田工繊さん。福井からM&Aを駆使して人や技術だけでなく経営を混ぜ込んで大きくなっている会社。
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企業を浅く広く知るためのアウトプット優先の活動。
前田工繊さんは社会的インフラを支える資材屋さんとタイヤホイールも手掛けており、表面的には捉えどころが難解にも思える会社さんですね。
というわけで紙に纏めるものの、どうも解像度があがりませんね。
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社会的インフラの資材として強靭化関連の工事に使われる資材を多く製造開発しています。災害発生時にも需要がある会社で、福井にある会社として、能登の震災においても大活躍されましたね。
そしてモノづくりができる会社ですので、いわゆる土木建築だけでなく、農業や陸上養殖施設向けや、金属加工までをカバーしています。他社比較にあげた各社と商材などは似ていますが、モノづくりをしっかりできる事とその商材の幅が多面的であり、そもそも卸売ではないこともありますが、同社のバリュエーションは高く推移しています。
同社の特徴は「M&A」を巧みに活用できることでしょう。低採算の事業でも、どういうわけか同社の手にかかると高利益体質になっていきます。このビジネスモデルで稀有な営業利益率を出しており、M&Aの状況も踏まえてROICなどを見ても優秀ですね。一見すると地味な商材や多角化経営で割り引かれそうな評価も高く、このギャップに興味を持ちました。
最近のM&A事例の三井化学産資についても、元々は競合関係でもあった中で、この買収が単に売上規模の拡大という目線ではなく、より利益率を高められるフィージビリティを有しているという事を前提として進められているところなど、戦略的な内容だなと感じた次第です。昨夏の日経IRフェアに出展されていた時にお話を伺った時に、優秀な会社だなと感じました。
前田工繊さんはやっぱり優良企業の風格を感じました。こちらの勉強不足もありほんの10分程度のやり取りでしたが、直近MAの件も含めて示唆に富んだ内容でした。 pic.twitter.com/vsgHZcRQxL
— まるのん (@marunon_invest) August 24, 2024
一方でこの優秀さはそれなりにバリュエーション取られている印象にも映ります。しかも中計で純利の伸びはMAを含めた成長投資加速のため踊り場となる中ですから当面は株価推移は伸び悩むのではないかなともみえます。足元では高値圏にありますからね。ただ、MAを主軸にどういう形で福井発の会社が今後も将来を展開されていくのかを、毎年の株主総会のチケットだと思って投資するのも悪くない気もします。
社長が会長から権限を順次委託を受け、世代交代の最中という所かと思います。社長は会長のなんともいえない安定感からするとまだ今後に期待とも思えますが、毎朝、禅を日課にされているそうで、少なからずステークホルダーを不義理にすることはなさそうだなという印象も持ちました。最近は不義理な会社も増えてますし、禅を日課にしていても不義理になることもあるかもしれませんけどね(笑)。
投資戦略上も何かカタリストのようなものがあって、そこに期待が集まりそうということもなければ(PER)、高い成長性で業績が急拡大するというようなことも少なくてもボトムラインでみるとあまりなさそう(EPS)ということで、今投資してもリターンが直ちに得られそうという匂いはしませんね。そして、リスク要因の箇所は過去の同社の実績や社会情勢上からあまり大きなものもないように思います。ただ、当面のリターンが限定的という状況でもあり、まぁ全体みると妥当なバランスかなと感じますね。
他社比較の部分はモノづくりをしている会社という点でその他製品としての比較がなかなかしにくいですね。商材などの展開方法ではコンドーテックさん辺りが近いのですが、この会社は商社ですしね。
株価の皮算用のところにも書きましたが、同社は中計を掲げています。
これをみると、24/6期から27/6期の純利益の伸びは横ばいです。営業利益も増額はしていますが、その伸長はやはり限定的です。しかし株価は堅調に高値圏を保っていますね。これは元々24/6期の予想から実績が大幅に上振れしたので、その分27/6期までの伸長という目線でみると緩慢にみえてしまうということですね。この辺り足元のM&Aも踏まえてUPDATEがあるのでしょうかね。
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進行期も順調な進捗がみられます。なかなか直ちに投資妙味があるような状況にはみえませんが、地方で見どころのある経営をされているなと思っています。今後MAでどんな化学反応を見せてくれるのか楽しみです。
頑張れ、前田工繊!