知らない人んち：赤色編1話

〈あらすじ〉
知らない人の家をシェアハウスと偽り住んでいるアク、キャン、ジェミの3人。YouTuberの主人公キイロは恐怖を感じつつ「面白いモノ」を求めて家の謎を探るが、撮影を続けるうちにアクの「見られたくないモノ」を映してしまった。逆上したアクに迫られるキイロ。でも「何」を映してしまったのか分からない。アクに「動画を消さなければ命の保証はない」と言われるが「この状況をライブ中継でYouTubeにアップする」と逆にキイロが脅す。

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「0話」の続き、より
家の異変に気付いた主人公キイロ。
荷物をまとめ出ていこうとするが「面白いモノ、撮れるかも？」と
踏みとどまる。キイロの部屋に誰かがやってくる。
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〇和室・出入口
　　　キャンとジェミが障子開けて廊下から中を覗く。
　　　キイロ、荷物をまとめる手を止める。
キャン「どうしたの？そんなに慌てて？」
　　　キイロ、顔が引きつる。
キイロ「なんでも、なんでもないです」
ジェミ「急に敬語？」
キイロ「あ、いや、えっと。なんでもないの、大丈夫」
　　　キイロ、作り笑い。

〇和室・テーブル下
　　　キイロ、スマホをテーブルの下に隠し録画ボタンを押す。

〇和室・内
　　　ジェミ、テーブルの上の「家族の絵」に気づく。
ジェミ「！」
　　　ジェミ、慌てて中に入り絵を取ろうとする。
　　　きいろ、その絵を取り上げる。
ジェミ「返してっ！」
キイロ「あの、これ」
ジェミ「聞こえないの？返して！」
　　　キイロが意を決した表情で
キイロ「この家の人たちの絵ですよね？」
　　　ジェミが目を見開く。

〇和室・出入口
　　　キャンが不安そうにジェミときいろを見る。

〇和室・内
　　　キイロ、ジェミに絵を見せながら
キイロ「この絵の人、どこ行ったんですか？」
ジェミ「……」
キイロ「この家、ホントは誰の家なんですか？」
ジェミ「家に住むのが家族だけとは限らないでしょ？」
キイロ「は？」
ジェミ「現に私たちは同じ家に住んでいるけど家族ではないし」
キイロ「や、えっと、そんな意味じゃなくて」　
　　　ジェミ、怒ったように
ジェミ「あなたに関係ないでしょ！！」
キイロ「……」
　　　ジェミ、含みのある笑顔で
ジェミ「これは私が描いた絵なの」
キイロ「そんな、そんなはず…」
ジェミ「私が描いたの」
　　　ジェミ、キイロから無理矢理に絵を奪う。
ジェミ「家の事情に勝手に立ち入らないで」
　　　キイロ、怯えている
ジェミ「家の事情って人それぞれだから」
キイロ「……」
　　　ジェミ、絵を雑巾のように絞って丸める。

〇和室・出入口
　　　ジェミ、丸めた絵をキャンに渡す。
ジェミ「ちゃんと捨てといてね」
　　　キャンおびえた様子で何度も頷く。
　　　ジェミ、立ち去る。

〇廊下
　　　キイロとキャンが歩いている。
キャン「なんか、ごめんなさい」
キイロ「あ、いえ、立ち入った事聞いちゃって、すみません」
　　　キャン、ぐっとこらえるような表情。
キャン「そろそろアク帰ってくるから、お茶でもしよ」
キイロ「はい」
　　　キイロ、ポケットにいれたスマホのレンズをキャンに向ける。
　　　録画ボタンは押されたまま。

〇リビング
　　　キイロ、キャンが中に入り台所に向かう。

〇スマホ録画の画面
　　　キャン、コンロでお湯を沸かしている。
　　　アク、入口から麻袋を持って入ってくる。
　　　キャンが慌てて駆け寄る。
キャン「ちょっ、待って？」
アク「なんだよ？」
キャン「今、ここ入らないで！」
アク「なんだよ、別に…」
　　　アクがキイロを見てギョッとした顔になる。

〇リビング・台所側
　　　アク、持っていた袋を後ろに隠す。
　　　キイロ、意を決したように
キイロ「どうかしましたか？」
アク「いや。部屋じゃなかったんですね」
キイロ「お茶しようって言われて」
　　　キイロ、手元のスマホレンズをアクに向ける。

〇リビング・出入口
　　キャン、アクに向かって頭を下げながら
キャン「ごめんなさい。私がお茶しようって言ったから」
　　　アクが舌打ち。
アク「お茶ならキャンが入れますよ、ソファで待っててください」
　　　お湯の沸く音。

〇リビング・台所
　　　キイロ、あわててコンロの火を止める。
　　　その拍子にポケットのスマホが落ちる。
　　　キイロ、拾おうとしてスマホを蹴飛ばす。
　　　スマホが滑って出入口の方へ。

〇リビング・出入口
　　　滑ってきたスマホ画面は録画中の画面。
　　　アク、驚いて目を見開く。

〇リビング・台所
　　　キイロ、目を泳がせつつアクを見る。

〈終〉