知らない人んち:黄色編1話
〈あらすじ〉
知らない人の家をシェアハウスと偽り住んでいるアク、キャン、ジェミの3人。YouTuberの主人公キイロは生配信で現場を視聴者に見せながら謎を解こうとする。しかし、それは底辺YouTuberきいろと役者志望の3人のお芝居だった。思ったように再生数が伸びず悩む4人。徐々に仲間割れが起きる。好きなことをして生きていけない世の中に不満が溜まる、きいろ。
そんな時、ジェミに嫉妬したキャンがある行動を起こす。
× × ×
「0話」の続き、より
家の異変に気付いた主人公キイロ。
荷物をまとめ出ていこうとするが「面白いモノ、撮れるかも?」と
踏みとどまる。キイロの部屋に誰かがやってくる。
× × ×
〇リビング・テーブル
キイロ、アク、キャンがテーブルを囲んで座る。
3人はタブレットでYouTubeを見ている。
「0話」の映像(「続きは視聴者から募集」の部分は無し)
〇リビング・ソファ
ジェミがソファに座りスマホを眺めている。
3人に背を向けている。
〇リビング・テーブル
キイロ、アク、キャンが動画の下、再生数を確認する。
キイロ「再生数止まったね」
アク「だから言ったろ?」
アクがあきれ顔。
アク「素人がいきなりドラマつくるなんて無理なんだよ」
キイロ「面白い企画だってアク言ったじゃん」
アク「企画は面白いと思ったけどさ……無理があんだよ」
キイロがむくれて
キイロ「じゃあ…なんで参加したのよ」
アク、腕組みして考える。
アク「俺、もう降りていい?」
キイロ「無責任な事言わないでよ!ウチのチャンネルつぶす気?」
アク「おーおー、いっぱしにYouTuber気取りかよ」
キイロ、椅子から立ち上がる。
キイロ「はぁ?」
アク、椅子から立ち上がる。
アク「登録者2000人くらいで調子乗ってんね」
キャン、椅子から立ち上がる。
キャン「まぁ、まぁ。まだ動画上げて1週間だし」
キイロがアクを睨みつける。
〇リビング・ソファ
ジェミ険しい顔で、3人を見る
ジェミ「違うよ、もう1週間」
キイロ、アク、キャンが驚いてジェミを見る。
ジェミ「公開3日で1万再生は再生されるから」
キイロ、悔しそうにジェミから目線を外す。
ジェミ「良い宣伝になるからって言われてスケジュール空けたけどさぁ」
ジェミが鼻で笑いながら、あきれ顔で
ジェミ「他の仕事入れた方が良かったわ」
キイロ「そんなこと言わないで。ジェミ無しじゃコレ出来ないんだから」
ジェミのスマホが鳴る。
ジェミ「あ、お世話になっております。先日はありがとうございました」
ジェミ、電話で話しながらリビングの外へ。
〇リビング・テーブル
キイロ、アク、キャンがテーブルを囲み立つ。
キイロ「とにかく、この企画終わるまで協力してもらうから」
アクとキャンが目を合わせる。
アク「ギャラもらえるんだよな?」
キイロ「……なんとかする」
アク、ため息をついて部屋から出る。
キャン、遠慮がちにキイロに話しかける。
キャン「あ、あの、キイちゃん」
キイロ「ん?」
キャン「私は、その、時間あるからもっと出番増えても大丈夫だから」
キイロ「ああ、うん」
キャン「私のお芝居どうだった?」
キイロ「うん、良かったよ。でもさ、やっぱりジェミは本物だよね」
キャン「……」
キイロ「ジェミって役に入り込むっていうか、格が違うっていうか、さ」
キャン「そっか」
キイロ「あ、もちろんキャンもそうとう演技上手いよ、もちろん」
キャン「……そっか」
キイロ「だから今回も声かけたんだし」
キャン、寂しそうな笑顔
キャン「そっかぁ」
キイロ、悪気のない笑顔。
〇リビング・出入口
キイロがリビングを出ていく。
キャンが寂しそうに見送る。
〇リビング・ソファ
リビングに1人残ったキャン。
タブレットを持ちソファに寝転ぶ。
タブレットで「0話」を見はじめる。
キャン「ほんと、ジェミばっかり…」
映像はジェミが暗室に入るきいろを止めるシーン
キャン「なによ……」
キャン、涙目。
ジェミの声「キイロ~?居る~?」
キャン、涙を拭いてあわてて体を起こす。
〇リビング・出入口
ジェミ、サングラスをつけスーツケースを持ち立っている。
〈終〉
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