恋愛失敗-高校生編- vol.3(カンナ)
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登校初日
「なんにも怖いものなんてなかった、目に映る全てが希望にみえた」
175Rの名曲「空に唄えば」の歌詞です。
まさに登校初日はこのような心境でした。
あまりにもイケてなかった中学時代、「高校生になったらお洒落に目覚めて陽気な友人にも恵まれた素敵な青春ライフを送るんだ!!」と意気込む初日。
さあ、、希望に満ちた高校生活がいま始まる・・・!!!
そんな感じで飛び乗った電車は、筆者の高校の最寄り駅へと確実に近づいています。靴もカバンも両親に買ってもらった新品のぴかぴかです。中学時代には信じられなかったおしゃれな恰好で電車に乗っています。きっと、彼女とかできるんだろうな・・・そんな淡い期待も持っていました。
筆者の自宅は田んぼに囲まれていました。
筆者は勉強がよくできたので、県で一番の進学校への進学を期待され、実際にそれを成し遂げた男です。
その高校は東大京大に毎年10人以上の合格者を輩出するまぎれもない名門校。東大京大とはいわずとも、名門大学への進学はほぼ確実!みたいな期待のされかたをしていました。
その高校は県庁所在地の街の真ん中にあります。周囲の大人は県庁所在地のことを「市内(しない)」という風に呼んでいるのですが、そう、筆者は間違いなく市内の高校でキラキラ高校ライフを送るはずでした。
緊張の教室
初登校日、筆者は緊張と期待を持って教室に入ります。
入学式の時は周りのひとと碌に話しませんでしたが、「初日だから誰かしら話かけてくれるはず!だって中学校はそうだったし」と、こう思っていました。
案の定、隣の男子が話しかけてきます。
「お、よろしくな!」
よろしく、と筆者は返します。
次の言葉を待っていましたが、その男子は「おう!」とだけ返してきて明後日の方向を見ています。
まあ、初日だし、と筆者は思いました。
後ろも前も男子ですが、筆者に話しかけてきませんでした。
「なんで話しかけてこないの・・・?初日だよ?」と自分のことを棚に上げて筆者は思います。
そう、進学校だから、勉強だけしてきたようなおとなしい生徒も結構多いのです。つまり、筆者みたいな「話しかけられ待ち」の受け身な生徒も多数いるのでした。
初のお昼休み
筆者の入学した高校には食堂がありました。しかし、初日は弁当を持ってくるひとがほとんどでした。なので、教室で食べることになるのですが、はてどうしたものか、と筆者は考えることになります。
ふと目をやると、なにやら騒がしい集団が机を突き合わせだしていました。そう、「陽キャグループ」です。彼らはあっという間に大グループを形成し楽しそうに話し始めていました。
筆者はというと・・・
朝、「よろしくな!」と声を掛けてくれた男子はいつの間にかいなくなっています。あれ、、どこだと目を凝らすと、なんと陽キャグループの中に紛れ込んでいました。そう、、彼は陽キャだったのです。
挨拶程度に会話しただけでは昼食は一緒に食べれませんでした。
さて、どうしたものか・・・
前も後ろも男子です。
前の男子はなんか気難しそうでしたが、陰キャっぽい別の友達が駆け寄ってきていました。
後ろの男子も陰キャなのか、下を向いてお弁当の用意を始めています。
筆者は諦めて自席に座り、ひとりでお弁当を食べることを決めました。
茶々
ふと、隣の女の子が話しかけてきました。
そう、あのハーマイオニーことカンナです。
「ねえねえ、机つけて食べたら??」
そう、彼女は言っていました。
彼女は改めて、筆者と後ろの陰キャを交互に指差します。
「一緒にたべたらいいいんじゃない?」
もう一度、彼女は言いました。
筆者と後ろの陰キャは顔を見合わせ、お互いおずおずと机を突き合わせました。
そう、筆者はボッチお弁当を回避したのです。
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