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社会人のための学び直し数学【高校数学文字式編その4】

6.展開公式4

 $${(ax+b)(cx+d)}$$ の展開を考えます。
分配法則を使って次のように展開します。

前のカッコの中の $${ax}$$ と $${b}$$ を後ろのカッコに分配法則にしたがって,それぞれかけます。そして,2 番目の等号で 2 項目と 3 項目が $${x}$$ について 1 次の項なので,分配法則を逆に使って整理しています。この計算を「$${x}$$ でくくる」といいます。これを展開公式4とします。

    展開公式4 $${(ax+b)(cx+d)=acx^2+(ad+bc)x+bd}$$

 この公式では結果が $${x}$$ について 2 次,1 次,0 次の 3 つの項からなることに着目してください。これを $${x}$$ についての 2 次 3 項式といいます。そして係数について見てみると,2 次の項の係数 $${ac}$$ はそれぞれのカッコの前の項の $${x}$$ の係数の文字の積で,0 次の項はそれぞれのカッコの後ろの文字の積でできていることがわかります。1 次の項の係数 $${ad+bc}$$ が少し複雑ですが,前のカッコの $${x}$$ の係数 $${a}$$ と後ろのカッコの中の $${d}$$ との積 $${ad}$$ と,前のカッコの中の $${b}$$ と後ろのカッコの $${x}$$ の係数 $${c}$$ との積 $${bc}$$ を加えたものになっています。これは $${x}$$ 以外の文字の計算に関して,下の図のように視覚化することができます。

図 6-1

たすきがけの方法といいます。
 1 行目に前のカッコの $${x}$$ の係数 $${a}$$,文字 $${b}$$ を並べ,2 行目に後ろのカッコの $${x}$$ の係数 $${c}$$ と文字 $${d}$$ を並べます。そして,たすきにかけた積を矢印の先に書いて,3 行目は ①,② で縦に並んだ $${a}$$ と $${c}$$ また $${b}$$ と $${d}$$ をかけて,③ では縦に並んだ $${bc}$$ と $${ad}$$ を加えています。$${bc+ad=ad+bc}$$ は問題ないですね。
 そして,展開した式において ① は $${x^2}$$ の係数,② は定数項 ($${x}$$ について 0 次の項),③ は $${x}$$ の係数になります。このたすきがけの方法は,あとで紹介する因数分解のときに活躍するので,使い方に慣れておいて欲しいものです。

 展開公式4を利用して $${(x-3y)(2x+y)}$$ を展開してみましょう。
展開公式4で $${a→1,b→-3y,c→2,d→y}$$ と考えることができるので,そのたすきがけの方法は

図 6-2

となるので,$${(x-3y)(2x+y)=2x^2-5yx-3y^2=2x^2-5xy-3y^2}$$ となります。 $${-5yx}$$ は $${y}$$ と $${x}$$ がアルファベット順になるように,あえて $${-5xy}$$ と書きます。

練習問題 次の展開をせよ。
(1)$${(3x+2)(4x-5)}$$        (2)$${(4a-3b)(5a-8b)}$$


【答】(1)$${12x^2-7x-10}$$(2)$${20a^2-47ab+24b^2}$$

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