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パティシエkiaのみた中国②・・・亜紀

バックパッカーという響きに憧れ、ミニマリストという響きに憧れていた私は、無人島に行くなら何を持って行くのかを、頰杖をつきながら、空を眺めて考えるのが好きなまま大人になってしまった。究極の状況に置かれたときに、必要なものは何?と考えることはロマンに満ちている。
 なんなら、今も、持たざるものを持たず身一つで生活することの潔さや、カッコ良さをずっと夢みている。去年、途中に一ヶ月の一時帰国を挟む三ヵ月間の中国滞在の仕事が入ったとき、まずこう思った。これを機会になるべく身軽にしよう。とくに、中国へは最小限の持ち物を持って行こう。
 
【〜一ヵ月目〜】

何の自慢にもならないが、そもそも、美容に力を入れる人間ではなく、化粧品も持ち歩かない。洋服は、気に入った服なら大切に二十年だって着る。だから服を沢山持っている方でもなかった。
 スーツケースの半分は、仕事の道具が詰め込
まれた。様々なお菓子の型や珍しい口金、使い慣れたパレットナイフ。何故か中国で入手困難なGABANのパプリカパウダーや、お茶炭のパウダー、お土産用の日本の抹茶飴、中国は百円均一がないので、百均で購入した文房具類一式、コックコート。キッチン用のクロックス。
 生活用品は、今考えても、最小限すぎた。
●ミニサイズのリンスインシャンプー
●ハンドクリーム
●歯磨きセット
●化粧水
●仕事用の黒いズボン二~三本
●夏用の柄シャツ (洗いやすく乾きやすい)二枚
●黒い靴
…あぁ、思いだして書いてるだけで息苦しくなる、、、
 みなさんはもしかしたら、現地で買えば良いと思うでしょう。そういう生活スタイルに憧れていたし、私もそう思ってました。ここで問題は買いたいものが無かったことなんです。服も、靴も。買いたくない服を買い、着る余裕はどこにもなく。ちなみにユニクロまではバスと電車で二時間…(上海市内)。ミニマム過ぎて、気が狂いそうになったあの一ヵ月…
 そう、私にバックパッカーは一生無理だろうしミニマリストにもなれない!しかし、一ヵ月で、本当に必要なものを、私は知ってしまった。それは、自分にとって本当に意外なものだったのだけれど。。
−これが無ければ生きていけない
−これがあれば生きていける
…って、結局、自分の拠り所を指すみたいだ。

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