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ポコラの大冒険 黒い森のひみつ 12

「森の住人」

森へ入った途端、木々が自分の方へ向かってくるように感じたイグニは少し怖くなりました。
自分たちが来るのを歓迎していないように感じたからです。

テライやシルフ、アクニも同じように感じていたようです。

アクニ
「私たちは森から歓迎されていないように感じるわ」

レイブン
「そりゃそうさ!森は森だけの世界があるから、他のもんに入られたくないのさ!」

テライ
「なぜ?どうして入られたくないの?」

レイブン
「森は「音楽」を創り出す事に専念したいのさ、だから森に入って来た奴らにかまっていられないんだよ
だから、妖精や木霊を住まわせて、用心棒にしてるってわけ。まぁ〜そのうち出てくるよ
マーブから森へ入るための道具をもらっただろ?それが必要になるときがくるのさ。
どんな世界でもそうだけど、良いやつもいれば悪いやつもいる、妖精や木霊でもそうさ
助けてくれる時もあるし、そうじゃない時もある。ただ妖精や木霊はわかりやすいんだよ
悪いやつはワル担当!良いやつはイイことしかしない、だから、誰と出会うかがとっても大事なのさ
いい奴と出会えるように祈るしかないな。この辺りは木霊が棲みついているから、そろそろ出てくるかもしれないぜ」

シルフ
「木霊かぁ〜あってみたいな・・・確か、僕たち風のポコラは木霊が祖先だって聞かされていたんだ」

イグニ
「えぇ!そうだったの?」
シルフ
「そうだよ、火・水・大地って全て目に見えて、存在するものじゃないか、風は・・・空気というか
目に見えないし、触れないだろ?木霊がどうしてポコラになったのかは知らないけど、言い伝えではそうだよ」

レイブン
「そうだったな〜そうか〜〜だとすると、この旅もひょっとするとうまくいくかもしれないな・・・」

アクニ
「ちょっと!みんな静かにして!何か聞こえるわ!」

5人は周りの気配を感じようと、身を固め、耳を澄ましました。するとスル、スルと微かに音が聞こえて来ました。辺りはもっと暗くなり、
手を伸ばした先のところからは何も見えないくらいの暗さになりました。
「何かがいる」ということは気配で感じられます。

シルフが「その何か」に声をかけました。

シルフ
「こんにちは、初めまして、僕は風の国のポコラシルフです。尋ねたいことがあって森へ入りました。」と一気に言いました。

すると言い終えると同時に「こんにちは、初めまして、僕は風の国のポコラシルフです。尋ねたいことがあって森へ入りました。」
とシルフの言葉がそのまま返ってきました。その言葉の繰り返しがどんどん広がってしまって、とうとう大音量になってしまいました!

レイブン「わ〜〜だからこうなるんだって!」
レイブンはみんな言いました「木霊はエコーと言って、こっちが言ったことをそのまま繰り返してしまうから、何か言う前に
「答えてください」を必ず言えよ!」

シルフはもう一度チャレンジしました

「答えてください! 僕は風のポコラです。聞きたいことがあるので森へ入りました!
これからどこへ向かったら良いでしょうか?」

さっきまでの大音量が嘘のように、静かな空間になりました。
ひとりの木霊が近づいて来ました

「私は森の木霊名前は「スアビテイル」 森へ誰かが入ってくるとは知っていたけど、5人も入ってくるなんて
驚きました。ようこそ、森へ・・・あなたは風の国ね、風のポコラのことはよく知っています。
森へ入ったものは様々な試練があります。森へ入ることを許されたものである事を証明しなければなりません。
その試練に耐えて残ったものが、森への質問を許されます。森の道は「行きたいと思えば、そこへ行くための道が開きます。
ですが、必ず試練が待っています。「音楽」を愛している者かどうか、「音楽」の知識がある者なのか?
自信がなければ、今なら引き返すことが出来ます。どうしますか?」

シルフ
「僕たち前へ進みます!」

スアビテイル
「わかりました、ここから先は引き返すことは出来ません。無事に森の真ん中にある「シルヴァ・ムジカ」で会いましょう」
スアビテイルの声が終わると同時に、さ〜と誰もいないと感じさせる空気になりました。

レイブン
「やっぱ!風のポコラがいたからツイてたな〜「スアビテイル」が出てきてくれるなんて!木霊の中で一番親切な奴だぜ!
ちゃんと教えてくれたし!」

テライ
「行きたいところを思えば、道が開くと言っていたね。行きたいところは「質問に答えてくれる人がいるところへ行きたい」だよ

他のみんなが「そうだね」と口々に言った途端、身体がふわっと浮き、周りの風景がどんどん変わりました。
気がつけば、大きな木の下に5人が立っていました。

アクニ
「すごい!みんなの気持ちが揃った途端に移動出来たのね!」

大きな木の下にいたのは「小さい可愛い女の子」でした


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