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大人数での花見を楽しめない女


うちの近くにはそれはそれは素晴らしい桜並木がある。善福寺川に沿って咲き乱れる桜の下、散歩している時間はこの季節だけの特別な幸せを味わえる。

去年は家族3人でお弁当とシートを持ってお花見をしたけれど、娘が「お友達もいないとつまんない」と放った一言に、妙に心苦しくなってしまった私は、今年は必ず、娘のお友達やそのご家族も一緒にみんなでワイワイ系花見をしなくてはならないと思っていた。

今年、娘の保育園のお友達から誘ってもらい、20人規模の花見に参加することになった。当日は夫も一緒に、家族3人で参加して、お友達やそのご家族もみんなでワイワイ花見だわ!!と密かに意気込んでいた。
集合時間に少し遅れて合流すると、パパチームとママチームに分かれて、子供達はそこらへんでわちゃわちゃとやっていた。
私はママチームの方に入り、なんとなく過ごしていたけれど、気がつくと一人でずっと鼻をかんでいた。花粉症なのだ。持参したティッシュ一箱全て使い切るんじゃないかという勢いで、私は鼻をかみ続けていた。

そして、来なければよかったと思った。
全然楽しくない。
鼻が辛いし、誰とも話してないし、誰も私と話そうとしてくれないし、私から話しかける気力を持てないくらい鼻をかみ続けているから。
でも。
ここで「私帰ります」と言えばめちゃくちゃ角が立つ。
誰にも相手にされなくて、つまんないから帰りますと言っている感じになる。
そのくらい私は誰とも喋らず、ポツンと浮いていた。
辛いのは、そんな私を「大丈夫か、めっちゃ浮いてるじゃん、可哀想」と見つめてくる夫や娘の視線でもあった。
でも「楽しんでるよ!私は大丈夫!」そんな風に見せるためには、近くの人に何か話しかけないといけないし、もう今更そんなことしたって間に合わないぐらい、私は一人だった。

嫌われているわけじゃない、避けられてるわけじゃない。
本当にそう思う。みんないい人だ。
娘がこれから長く付き合うであろうお友達と、そのご家族だ。
分かっているのに頑張りきれない私は、やはり最初から来るべきじゃなかった。

途中で参加した人に話してもらったり、娘とお菓子を食べたりして、どうにかやり過ごして夕方家に帰った頃には、ものすごい疲労感と落ち込みを感じた。
来年は、大人数の花見に夫と娘を送り込んで、私は家で一人でいようと心に誓った。
想像してみると、それはとても快適で自由で、でもとても可愛そうにも思えた。

娘は「楽しかったあ・・・」と呟くほど楽しかったみたいなので、親としての春のタスクは一つこなせたことが救いになった。

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