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ペットになりたがる子どもたち。

以前の記事では、ままごと遊びは乳幼児期の子どもにとって大切な遊びであること。
ままごと遊びをより豊かに楽しむためにどう取り組んできたか、私の実体験をまとめました。

この記事は新しい保育園で働き始めた頃の話ですが、ここに記さなかった実体験が他にもあります。

それは、ままごとコーナーでハムスター(またはうさぎ、ねこ、いぬ)になる子どもの姿です。
ままごと遊びと言えば、お母さんやお父さん役といった役割が主流かと思いきや、その時見た子どもたちはお母さんやお父さんではなくハムスター役をやっていたのです。
ままごとコーナーは(ハムスターたちの)家の設定で、そこでハムスターたちが過ごしていてご飯を食べたりお出かけしたりしているのです。
それはそれで楽しそうでしたが、この姿にとても驚きました。
子どもたちが真似したいと思うものが、お母さんやお父さんではなくペットだったということです。

勤務後、自宅の本棚にあった佐々木正美シリーズ2「子どもの心が見える本-再びエリクソンに学ぶ-」(子育て協会)を読み返しました。

※現在は、「子どもの心が見えてくる-エリクソンに学ぶ-」(佐々木正美著 出版社ゆいぽおと)で出版されているようです。表紙も出版元も変わっていましたが、おそらく中身は同じだと思います。

こどもは大人になりたいのです。ですから大人の様子をふるまうのです。(中略)こういう空想の世界にこどもは生きて、誰々のような大人になりたいと思うことが望ましいのです。
ところが現代のこどもはペットになりたいのです。おとうさんにもおかあさんにもなりたくないのです。どう見ても家庭の中でペットが一番幸福そうに見えるのでしょう。

佐々木正美シリーズ2「子どもの心が見える本-再びエリクソンに学ぶ-」(子育て協会)
子どもの心が見えてくる ―エリクソンに学ぶ―

この本は2000年に佐々木正美先生のセミナーでの講義を文字に起こした本で、今から20年以上前になるものですから今とは少し様子が違っているかもしれません。

それでもすごく納得させられました。

どの子どもも親に甘えたいという気持ちを持っているのは前提の話で、
子どもが思う“甘え”を親に受け止めてもらえていない、または子どもが親に素直に甘えられない環境の中で過ごしている等が積み重なって、
お母さんやお父さんへの憧れが抱けない子どもが一部でいるのだと思います。
仕事や育児や家事を毎日頑張っているお母さんやお父さんが、子どもと関わる中で難しい部分を補う役割として、保育士はとても大切な職業なのだと思っています。

長時間保育園で過ごす子どもが増える中で、保育園は第二の家庭であるべきだと考えていますが、
保育士は子どものお母さんやお父さんになれるわけではありません。
子どもたちが「こんな大人になりたい」と思えるように、将来に希望を持てるように、
私たちは努めていかなければならないと改めて考えさせられました。

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