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急性期の食事スタイルが私にもたらしたもの。
普通、食後に感じるのは、満腹感や、満足感だと思う。
仮に嫌いな食べ物を食べたとしても、疲労感、倦怠感を感じることはないはず。
私の場合、HCU(個室だったかも)へ移動になり頭痛も収まり始めて、嚥下障害の検査され問題ないと判断されると、食事が開始された。
食事ができるのは嬉しいが、食後に(ひどい時には、食事中から)長時間運動し終えた後ような疲労感と、倦怠感に襲われていた。
私は、ベッドが汚れるのを嫌うので、ベッド上での食事を嫌がった。
”こぼれ落ちた食べ物と一緒に寝るなんて!!”と思いながら。(別に潔癖ではないけれども。)
その結果、車椅子に座っての食事となった。
ベッドの背もたれを少し起こして、サイドテーブルにご飯を置いて食事をするスタイルではなかった。
ベッドから降りて車椅子に座り、サイドテーブルをベッドから離してご飯を食べる。まるで、普通に食卓テーブルでご飯を食べているようなスタイルだ。
食事が開始されると、食事中にも関わらず、あまりの疲労のため、”早く食事を終わらせてベッドで横になりたい!”と思うことが多かった。
ご飯を急いで食べ、時には、疲労感の方が満腹感より勝ってしまい、ご飯を諦めることもあった。
食べ終わると、「やったー!!!これで横になれる!!」と喜んだのも束の間、すぐにベッドに戻れず、洗面所へ連れていかれ、ハミガミタイム。
それが終わってから、やっとのベッドイン!!だった。
なぜ、こんなにも食事が疲れていたのか今になって考えてみると、
椅子に座り、背もたれを使わないことにより、腹筋や背筋を自然と使っていたからではないだろうかと思う。
筋力が衰え、その筋肉をうまく使うことができない状況で、自分の体を自力で支えることはとても体力を消耗した。
背もたれを使ってご飯を食べればいい、と思うかもしれないが、ご飯を食べるとき、もしくは勉強するときなどの机の上で作業するのに背もたれを使うだろうか・・・(仕事してるとき、たまに、使っていたけが、あれはあれできつい体勢だった。)
背もたれは、支える程度であって、ガッツリ使うことはない。
車椅子に座っての食事(HCU時期)は、流石にきつくて、よく、食事の途中で我慢できず、背もたれに背を預けていたり、膳を机の隅に寄せ、机に突っ伏したりしていた。
でも、一般病棟に移ってからは、車椅子ではなく、ベッドの端に腰をかけ、背もたれ一切なしの状態での食事だった。
それなりに食欲が湧いてきて、空腹感と疲労感のせめぎ合いである。
食べ終わると、バタン・キューの毎日だった。
ある意味、食事は運動機能のリハビリであり、下手すると歩行訓練より疲労感は半端なかった。
この食事スタイルは上半身の、特に腹筋、背筋のリハビリだったのかもしれない。
また、それだけでなく、茶碗をもつことで腕や手のリハビリにもなっていた。
右手で箸を使い、左手で茶碗を持つ。
幸い、私は右半身に麻痺がなかったので、自由に箸は使えていたが、麻痺のある左半身は、茶碗をなんとか掴むことができる程度だった。
しかし、掴んだとしても、それを長い時間、掴んでいられない。長い時間と言っても、ものの2、3分でさえも持ち上げていられない。
筋力の持続性を失っていたのだ。
しかも、無意識に、掴んでいたものを離してしまう。
ん・・・・ちょっと違うかも。
離してしまうのではなくて、勝手に握っていた手の力が抜けてしまうのだ。
肘を机のそでに固定していても、茶碗の重さでずるずるとひじが滑り落ちてしまったり。
ちょっと余談だが、
そんな食事スタイルを実行中、自分の痛覚の異常を認識する出来事があった。
その日も、物を掴むという訓練も兼ねて、いつものように茶碗を左手で握りしめ、右手で箸を使い、ご飯を食べていた。
でもやっぱり、長い時間重い茶碗を持てず、気がついたときには、茶碗を落としてしまっていた。
ガシャーン。
「あ、やっちゃった。落としちゃった。
あー、拾いたいけど、拾うのは体がしんどいな。
けど、早く片付けなきゃ!」
看護婦さんに迷惑かけてしまうということだけが私の頭の中にあった。
そして、音を聞きつけて、やってきた看護婦さんに言われて気がついた。
「足、大丈夫ですか?」と言われ、
「なんのこと???」と思いながら、
自分の足元を見ると、パックリ切れて流血状態だった。
その瞬間に
「いたっ!!!!!」と痛みを感じた。
視覚でケガを認識した後に痛みを実感するという、不思議な経験だった。
今では、だいぶ回復しているが、痛覚や温度、湿り気などの感覚はに鈍いままだ。
洗濯物を触っても、湿ってるか、乾いているかがわかりにくいのである。
とはいえ、そう言う場合は、右手で確認するのだが。
それでも、流血事件後もベッドに腰掛スタイルでの食事、つまり上半身のリハビリは、急性期の病院を出るまでずっと続いた。もちろん、出る頃には、食後の疲労感は薄れていった。
筋肉がちゃんと働き始めたんだと思う。
私が、割と早く、立てたのも、歩けたのも、もしかしたらこの食事スタイルの影響もあるのかも、と自分で勝手に思っている。
もちろん、ちゃんとしたリハビリが回復理由の99.9%である。
だが、残りの0.1%を私はそう信じている。
動かない足を最初に動かす訓練を始めたとき、頭痛が残っていた私は、看護婦さんに、「やだ、やりたくない!」と駄々をこねた。
すると、看護婦さんは、私にこう言ったのだ。
「リハビリ開始時期が早いほど、回復度が高くなるんですよ、だから頑張って!」と。
そう考えると、割と早めに、無意識のうちに上半身を鍛えていたのかもしれない。
だから、0.1%は食事スタイルの結果ではないかと思う。
食事という行動は、私にとって、リハビシステーションへ通う以前の自主リハビリだったのだろう。
あのとき、ベッドで食べたくない!とわがまま言っといてよかった。
※注意
医学的根拠はありません。
私の経験から感じたことを述べておりますので、ご注意ください。
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