筋肉痛 そしてウイルス性胃腸炎へ

大学生の頃、ほんの短期間だけ、キャンペーンガールのアルバイトをしたことがあります。

キャンペーンガールとはいっても、スタイルの良さや顔立ちの可愛らしさが求められるものではなく、露出のほとんどない衣装を着て、キャンペーンの説明がしっかりできればよいというもの。
もともと衣料品販売のアルバイトをしていて、店舗が移転するに当たって間があくので繋ぎとして接客のアルバイトを探して辿り着いたのでした。

さて、ある日の巡業先は冬風吹きすさぶ横浜馬車道。二日間のキャンペーンです。
店舗の表に立って、キャンペーンのチラシの入ったポケットティッシュを配ったり、にこやかに「いらっしゃいませ!」と呼び込みをしたり。
春先とはいえまだまだ肌寒い時期、キャンペーン衣装は自分では体温調節がしにくく、なんとかカイロを貼ったりしてしのぎながら一日中立ちっぱなしの仕事を終え、家に帰ると筋肉痛の気配が全身に。「明日もあるんだ、これが残っちゃいけない」と、その晩は全身にサ□ンパスを貼って就寝しました。

翌朝起きてみると、布団の中だというのに寒い。凍えるほどに寒い!
サ□ンパスだ!サ□ンパスで身体が冷えたんだ!と気づき、慌てて全て剥がすも、時既に遅く、完全に風邪をひいておりました。

重だるい身体を引きずってどうにか馬車道にたどり着き、午前中はどうにか乗り切ったものの、お昼にはぐったり。お昼ご飯を買いに行く元気もない・・・そうだ、隣にオムライス屋さんがあった。あそこならなんとか行けそうだ。
オムライス屋さんに行くと、風邪にはうってつけにニンニクたっぷりオムライスというのがあった。これだ!これを食べれば元気になれる!
息は多少臭くなるかもしれないけど背に腹は変えられない!
ガーリックライスにニンニクの香りたちのぼるソースのオムライスを平らげ、いざ午後の仕事に戻ってみると、お腹の調子がおかしい。痛い。立っていられない。痛い!!!

這々の体で家に帰ると、胃が何もものを受け付けず、上げるわ下すわでどんどん体力が奪われて行った。

「死ぬのかしら、私・・・下痢とゲロで・・・」

薄れゆく意識の中、情けなくて涙を流す私を母が容赦無く叩き起こしました。
「病院行ってきなさい」

最寄りの内科・胃腸科併設の医院に行くと、ウイルス性胃腸炎との診断がおりました。

思えば最初に感じた筋肉痛は、風邪の前兆だったのかもしれない。
それなのにサ□ンパスで身体を冷やし、ニンニクで寒さに弱った胃壁を痛めつけ、自分の身体を奮い立たせるつもりがどんどんダメにしていたのだ。それ以来、胃がめっきり弱くなってエビアンですら下すようになってしまった。

あのとき、サ□ンパスを貼ったりしなければ、あのとき、ニンニクオムライスなんて食べなければ・・・
後悔してもきりがないが、このエピソードは雑誌「zipper」のバイトエピソード特集に投稿して採用され、4コマ漫画にまでしてもらえたので経験してよかったと思っている。
「私、zipperに載ったのよ」
ことあるごとに自慢している。
嘘はついていない。

よろしくお願いします!