忘れない
障害を持つみんなと一泊旅行に出かけた。
畑作業や陶芸作品作りに勤しむ日常からは一転する。
ホテルに泊まり、美味しいご飯を食べ、大浴場に入り、水族館でショーを見る。
なかなか行くことのできない旅行にみんなのテンションは抑えきれない。前日は楽しみで眠れない人が多いようだ。
それだけ一大イベントとなると、こちらの身も引き締まる。
とにかくみんなに、事故や怪我なく楽しんでもらいたい!
自分が楽しむことも忘れ、とにかくみんなが!!精神で動く。
旅行も終盤に差し掛かり、水族館最大のショー、シャチのパフォーマンスが終わった。
不意に後ろから「忘れない」と声が。
決して大きくはない声だったが、その声を聞いた瞬間、込み上げるものがあり、涙が出そうになった。
繊細で、何日も前からホテルで寝るシュミレーションをしていた。旅行は5年ぶりの参加。日にちが近づくにつれ、顔がこわばっていた車椅子の彼。
私もあなたとショーを見れてよかった。大切な思い出を共有させてくれてありがとう。私も、忘れない。