誰かに聞いて欲しい 離婚を画策する話
誰にも話せない、誰かに聞いてほしいことをここに書いていこうと思う。
タイトル通り、私は離婚を計画している。
私は中学生の娘と小学生の息子が大好きなアラフォーの母。
2年ほど前から毎日「早く離婚できますように」と願ってから寝るのが習慣になっている。
夫は自由な人間で、仕事と趣味が1番。手が空いているときに家族、みたいな。
べつにそれはそれで楽で。私は望んで家事や子育てを1人でしてきた。
子どもが体調を崩したり、段取りよく家事が進まなかったりするとき、今いてくれたらいいのにって思ったことがないわけではないけど、「なんで私ばっかり!」とは思わなかった。
でもこれは、私にとって「自分が家族に大切にされている」ことが前提でできることだった。
私が1人で子どもたちを寝かしつけ、自分の髪を乾かし忘れて寝落ちし後頭部に立派な鳥の巣を作ったり、子どもたちの体調に振り回されて仕事を休んだり予定をキャンセルして頭をベコベコとヘドバンなみに下げたりしている間、夫は不倫をしていた。
うすうす気づいていた。やすっぽいホテルのアメニティやどこのメーカーやねんみたいなインスタントコーヒー。普段コンビニの100円ドリップコーヒーが1番うまいと言うのに「職場の人」にもらったというスタバのタンブラー。
聞いたって本当のことは言わないに決まってるから、私はもう触れられるのも嫌だから、なんて思っていたある日、写真が趣味の夫が撮った子どもたちの写真から年賀状に使う写真を探していた。その年、息子は小学校に入学したので入学式の写真を探すがなかなか見つからず、SDカードをかたっぱしから開けて行く。
読んでいて、嫌な予感しかしないだろう。
夫とふっくらした色白女性が楽しそうに旅行をしていた。
見つけた時の私は、なんだかあちこちの脈がドックンドックンなりまくって、涙は全く出ない代わりにアドレナリンがドンドコどんどこ溢れていた。
「これで、これで100%夫が有責で別れられる…!!」
これがこの時の全ての感情だった。ギラギラの私はその写真を自分のUSB2本に保存しまくり、住んでいる地域のひとり親支援制度を調べまくり、翌日には仕事帰りに離婚届を受け取ってきた。
これが2年前の12月の話。まだ私は離婚できていないのだ。
こんなに初動はスピード感があったというのに。
なんでこんなにテンションぶち上がりになったのかというと、夫の子どもとの関わりに不満がたまりにたまっていたのだ。夫の機嫌で左右される子どもへの対応。
私はいい。私はいい嫁ではないから。いい嫁よりもいいお母さんを目指し舵を切ってしまった自覚はあるから。大人は自分でなんとかしろ、そう10年以上心の中で唱えてきてしまったから、夫に嫌われてもそれは仕方がない。
だけど子どもへの攻撃は許さない。夫は手を出すことは絶対にないけれど、わざわざ人を傷つける言葉を選ぶところがある。いや誰にでもあるんだけども。私も子どもにいつもいつも正しい対応をしてきたなんて思わない。もはや間違えてばっかりだ。
でも、夫と子どもの時間というのは、私のそれとは量も質も全く異なるのだから、大切にしてほしい。子どもたちは父親が大好きだ。とりわけ娘は、4つ離れた弟が産まれてからはお父さん子になった。周りを良く見て空気を読む娘は、誰に教わるでもなく「赤ちゃんには父より母」と悟っているようだった。
ただ、思春期に差し掛かり、口調もちょっと生意気になってきて、親よりも友だちの影響が大きくなってきた頃から、夫は娘のちょっとした言葉尻を捕えることが増えた。毎回ではない。この間は許されたことが、今回は許されない。夫のその時のコンディションで笑って流される時とブチギレる時がある。
私は子どもの前で夫とケンカしたことがない。子どもに歪み合う大人を見せたくないからだ。それを知っているからか、夫は理不尽に子どもを怒ったあと、私と2人きりにならないようにする。子どもと一緒なら私が怒ってこないから。
夫とふくよかな女性の写真を見つける1カ月ほど前、例によって娘の生返事に苛立った夫は大きな声を出した。娘は「ごめん」と言って自分の部屋へ逃げようとした。普段ならここまでだが、なぜだかこの日の夫は溜飲がおりず娘を追いかけた。私は離れたキッチンにおり、ただならぬ雰囲気と追いかけた夫に驚いて遅れて追いかけたが、間に合わず。なんとリビングを出た娘に向かって、夫はその場にあった野球のグローブを投げつけていた。
許せなかった。「やめて!」と私が言うと夫はやめて外へ出た。娘はベソベソに泣いていた。
許せなかった(大事なことなので2回言う)。もう遅い時間だったので子どもたちには寝る準備をさせた。息子はまだ私たちの寝室で寝ていて、夫の帰りが早い日は一緒に寝る。そのまま夫は寝落ちて、私が起きるよりも先に出勤していく。
こういうことがあると、夫は次の日の仕事の帰りにケーキを買ってきたりする。娘は甘いものが大好きだから、これでチャラになると本気で思っている。
それはそれ、これはこれ。である。娘は賢いので忘れたふり許したふりをしてくれるだけで、私譲りのネチこさで、理不尽に怒られたことは鮮明に覚えている。
例によって私と2人にならないように過ごす夫に物申さないと気が済まないが、健気に忘れたフリをした子どもの前で蒸し返すわけにもいかない。
ものすごい長文のラインを送りつけた。返事は「ごめんなさい」一言だった。
この「ごめんなさい」のルビは「早く話を終わらせたい」だろう、と思った。
嫌いだなー
思わず声に出た。永遠の愛を誓ったはずの夫のことが心底嫌いと思った。
長くなってしまったけれど、不倫発覚でアドレナリンがドンブラコ、やばい薬をキメてしまったような顔で離婚について調べ倒した理由はこんなことの積み重ね。
発覚から1週間後、夫に「あなたの不倫、知ってます」と伝えた。
その話は次回。