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中絶を決断した人に本当に知ってほしい3つのこと

なによりも最初に、中絶をすると決意した人へ伝えたいことを今回は書きたいと思います。

自分が経験したとき、後から振り返ると「分からないから怖い」と感じていた部分がたくさんあったから、少しでも社会的にタブーと認識されがちで、正しい情報が十分にない《中絶》について悲観的でもなく、楽観的でもなく、どう乗り越えていけるのか、自分の人生にこの体験を取り込んでいけるのかを一人の体験者として書いていければ幸いです。


1. 決意したことはまちがってない。

自分の過失だ、責任のない行為だと片付けられることの多い「予想外の妊娠」や「中絶」の話は、ときに他の病気などと比べて、近しい人にシェアしにくい内容です。自分の社会的信頼だって失いかねない出来事と思う人もいるかもしれません。

でも、避妊していても妊娠してしまうこともある。避妊具をつけていても、破けてしまうことがある。予想だにせぬ出来事としての妊娠は人と交際している以上、いつだって誰にだってあり得ます。

中絶を大賛成してるわけでもなんでもないですが、子供のいる人生、いない人生をその時に応じて「選択」する権利は一人ひとりの女性にもちろんあるものだと思うんです。

その点で、人生の岐路で「今回は子供を育てる時期ではない」と判断したうえでの決断をまちがいだとは全く思わなくていいということを一番最初に伝えたいです。言うなれば、覚悟もなくなんとなく産んでしまうなんて、もっと子供も親も悲しいことです。

中絶について検索すると「人をあやめることと同じだ」etc...と、書かれる方もいますし、当時の自分自身も、そのことばを無視することができず悩みました。

これは個人的な考えですが、影かたちもほとんどない5週目〜6週目の胎児であっても、一方でわたしはそれも「立派な命」だと思っていたからです。10ヶ月後、自分の選択によって全くちがう未来が待っているということは、間違いない事実。

しかし、私自身はどこからどう考えても、養える経済力がないし、パートナーとの未来ももう少し見極めたいし、子供を産む未来を描くことはできない状況でした。

だからこそ「なにか意味がある」のだと思います。子供が命をかけて親に気づいてほしいことがあるから、ここに来たのだと思うようになりました。それは少しばかり、精神論的な部分ですが、私の場合はそう考えたほうが合致する部分がたくさんあったんです。

・自分の身体を大切に扱うこと

・セックスに絶対安全なんてない。自分の身を守るのは自分だということ

・思いがけない出来事で人生は、大きく変わってしまうこと

・自分の行いが人生を作っているんだということ

・パートナーのサポートから愛情とはなにかを知ること

こう書くと改めて、なんだかこの数ヶ月で、私はたくさんのことを教えてもらえていると感じます。今も葛藤することは日々のなかで時々ありますが、妊娠と中絶とそれに伴う時間は、わたしの人生をより自分のものとして手繰り寄せる、豊かさすらも与えてくれた、予想しなかったビックイベントでした。

手術を決意した人には、自分を責めるのではなく、これをきっかけにあらためて思い返すこと、気づいたことをこれからの人生で大切にしてほしいと思います。それが意味になると思うから。


2. 病院によって全然ちがう(転院してでも、心地よいところを選ぶべき!)

一気に現実的な話になりますが、めっちゃ大切なこと。。

手術の金額って少しちがいはあるとしても、ほとんどの病院が10万前後ですよね(プラス前後の検診や術後の薬などで12〜15万くらいでしょうか。高すぎて、お金がない若者が妊娠した時の状況を、自分もままならないタイミングで心配になった)。

でも、病院によって、手術の方法、ましてや診察の段階からも全く違います。少し高くても、自分がより安心できるところ選んでほしいです。

私は注射もビビるくらい痛みに弱いので、その点だけが本当に心配で仕事中も心の隅でいつも怖かったんです。一番はじめにかかったクリニックでは手術日まで決めたところで「前日に術前処理をしますので」と言われ、手術前日にアポをとりました。渡された説明を読むと「ラミナリア棹」というものを前日の昼〜夕方に子宮口へ入れて、一晩自宅で寝て、翌朝病院に来て手術するというのです。(絵をみたのですが、それだけで怖気付きました笑)

特に出産を経験してない女性は子宮口が狭く、それを広げるために必要なのだそうです。身体を傷つけないためには仕方ないのだとも思いました。

でも一晩って、長すぎるだろ……。

昼休みに病院に行って、ラミナリアの処置をして、仕事場に帰る。自宅に帰って、翌日電車に乗って、また病院へ行く。これはちょっと私には負担が大きい……と思いましたが、そこの先生には処置をしない選択は与えられませんでした。

ラミナリア棹は、出産を控えた女性にもほどこされる処置らしく、いろんな体験談をインターネット上で読んでしまい、(そういうのに限って、痛い!って言う人のブログなどを読んじゃって)余計不安になりました。しかし、選択肢はこれだけなのだろうか?ふとこんな疑問が生まれました。

術前処置もそうですが、手術についての説明もあまり満足いくものではなく、麻酔などにも不安感が残っていました。なによりも、経験値としてははるかに上かもしれませんが、おじいちゃん先生だったのが、個人的にこわかったんです。(あたらしい技術を取り入れずやっている部分があるのではないかと…。)

処置は5日後だったのですが、それからめっちゃ調べました。「無痛」「中絶」「◯◯(場所など)」で検索したら、病院はたくさんでてきます。そこでようやく、術前の処置は病院によってちがうこと、前処置無しで行えるところもあること、麻酔の量はクリニックによって異なるのだということ(その医院の先生が持つ麻酔を扱える資格の有無なども関わっているようです)などなど、違いがあることを知りました。

クリニックごとに、特に中絶手術の場合は詳しい説明をしているページがたくさんあります。全部同じだと思わず、術前処置、手術方法、術後の流れをしっかりとチェックしてください。わからないことは電話してみてもいいと思います。

手術方法も一つではありません。

現在、日本国内で用いられる人工中絶法
1. 掻爬(そうは)法(D&C)
2. 電動吸引法(EVA)
3. 手動真空吸引法(MVA)

このうち、掻爬って文字だけ見てもなんか怖くないですか。。今は国によってはこれらの選択肢もリスクが高いため、薬物による中絶が最初の対処法として選べるところもあります。(日本では認められていません。)

どれも子宮内を傷つける可能性があるので、安全といいきれませんが、どちらがいいかを見極めた上で、専門家でもない私は「より新しい技術を取り入れていそうな婦人科クリニック」を選びました。そこは吸引法を選択していました。

病院の違いについては、今後詳しく書きますが、心身ともにストレスが全く変わります。先生の人柄、看護婦さんの対応、手術までの段取りや説明について、自分が納得いく方法を選べるものは常に最善を求めてください。お金が数万違うことと、人生のなかでセックスすることや、妊娠することへトラウマを持ち続けることは比べられないと思います。


3. 痛くない。大丈夫。

中絶手術が私の人生はじめての手術でした。手術って、こわい!という印象しか持っていなかったので、「術前処置」「麻酔」「手術中」「術後」全ての段階がブラックボックスであり、痛みを伴うものなのではないかと怖かった部分があります。

もちろん、耐えねばならぬ痛みはありますが、いらぬ心配をしたくないではありませんか。私は全ての時間を通じて懸念していたので、あとから「なんだ……大丈夫じゃない……」とちょっと脱力しちゃったんです。結果からお伝えすると、大丈夫、痛くないです。

●術前について

術前処置はしないでいいクリニックに行きましたが、(いずれ書きますが)その後どうしても術前処置をもう一度しなければならないタイミングでラミナリア棹に似たような物を入れました。指一本分もない太さのものです。水分を含んで大きくなるのですが、それでも男性のアソコくらいなものです。言うなれば鈍痛(生理痛のような)ものがありましたが、歩けました。力まなければ、、全然生理痛より大したことのない程度でした。


●麻酔、手術について

怖くて、手術台にのるまで確認しませんでしたが、麻酔を点滴で投与される直前に「痛みで起きたりしませんか?」完全に眠れますか?」と先生に土壇場で確認しました。「眠ってもらいます」「痛みでは起きません、鎮痛剤も投与していますのでね」と言ってもらい、安心……。そして、先生のおっしゃった通りでした。

麻酔を入れますと言われてから、数十秒で眠り、次に目を開いた時にはすべてが終わっていました。不思議な感覚。眠りから覚めたような感覚で数十分フラフラしますが、少し休めば歩けるようにもなりました。

だから、痛みが心配な人は特に、ちゃんとクリニックを選べば人生のトラウマにならないように手術を受けることができます。いろんな確認を自分のためにしっかりしてくださいね。(私のように手術台にのってからではなく笑)


●手術後

いたって普通の日常生活が送れました。手術後の帰りはパートナーと定食屋さんで唐揚げ定食ご飯大盛りも食べることができました。

抗生物質などを飲むなど、服薬と経過観察は必要ですが、一般的には次の日にはちゃんとふつうの生活ができます。

個人差はあるかと思いますが、そう、大丈夫です。注射と同じくらいの気持ちでいてください。日常を大きく揺るがせる体験にはなりません。

・・・

というわけで、かなり感情とともに書き綴ってまいりましたが、

・中絶を決断したことはまちがっていない。懸命な選択だから恥じないで、自分を責めないで。

・病院は途中で疑問を感じたら、転院してでも、自分がより安心するところを選ぶべき!(だって払うお金はそんなに変わらないんだから)

・ちゃんと選べば、痛くない。大丈夫です。


もう決断した、でも怖い、という女性が4ヶ月前の自分のようにいるとしたら、これを読んで、少しでも安心してほしいです。

中絶に反対する人もいると思いますが、女性は誰一人として、喜んで中絶を選択する人はいません。自分の現状や、経済的、肉体的な環境からどうしても選択できないこともあるし、意図しない妊娠を100%防ぐことはできません。

どんなに小さくても、命が宿っていることは本人が一番わかっていること。感動とともに、悲しみを伴います。わたしはそれを感じたことを忘れなければ、どんな選択もあっていいものだと思います。それは命を軽んじることとは全く別です。


日本では避妊の方法にしても同様、医学は発達し続けているのにも関わらず、より安全な中絶方法とされている、薬物での処置は国内で禁止すれているなど、ほかのヨーロッパの国と比べると、選択肢が少なく、しかも(かなしいことですが)変わるまでにはまだまだ時間が必要に思えます。

だからこそ、今の環境のなかでなにが最善なのか。自分自身も常に考えながら、自分を守っていきたいと思うんです。


参考note

下記、病院の選び方についてもう少し詳しく書いています。合わせて参考にしてください。


下記では、色々なサポート団体が提供する相談窓口やQ&A、関連記事をまとめています。


あとは、不慣れですが音声配信もはじめました。当時、中絶の一連の出来事で疲れた私は、情報を能動的に受け取ることにも拒否感がありました。だから、もっと受動的に情報を受け取れる発信をしてみようかなと思いました。

何かしながらであったり、歩きながらとか、marukoってどんな人なんだと好奇心半分で、慣れてない感じも楽しんで聞いてみてください。笑


2023/07/24 追記
中絶から4年が経ちますが、今でもこのページはたまにみています。お返事は遅くなるかもしれませんが、コメントいただけたらお返しするようにしているのでお気軽にどうぞ。

読んでくださってありがとうございました。

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maruko|中絶・避妊をすこやかに考える
最後までお読みいただきありがとうございました。一個人の記録ですが、どなたかの力になったら幸いです。