『賭博黙示録カイジ』的サッカー監督論 2019アウェイ京都 試合
開幕4連勝・・・!
悪魔の愉悦・・・・・・!
3月17日、柏レイソルは京都サンガとアウェイで対戦しました。
この試合について、試合終盤の動きから『賭博黙示録カイジ』的な世界観を感じてしまいました。そのことについて書いていきます。
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著者 円子文佳(まるこふみよし)
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京都なので観光などもそれなりにしたのですが、今回はまず試合部分から書いていきます。
・初めての、そしておそらく最後の西京極
京都にサッカーを見に来たのは、実は今回が初めてでした。
2009年以来、柏とはカテゴリーが違って対戦がなかったことも原因の一つです。しかしそれだけではなく、西京極のスタジアムが陸上競技場で評判が悪く、そのためわざわざ行こうという機会がありませんでした。
しかし来年からは京都サンガも、サッカー専用の新しいスタジアムに移れるそうです。この日の会場でも、新スタジアムのパンフレットが配られていました。来年からです。ところでこのパンフレット、対戦相手が黄色いチームなのは何でしょうか。来年も同じカテゴリーだよね、という意味?
いずれにしろ、西京極に来るのはおそらく最初で最後の機会だったと思います。
・中田一三という「コンテンツ」
京都の監督は今年から、中田一三という人が務めています。
選手としては高校サッカーで活躍したそうですが、僕はよく知りません。今回の京都がプロの監督としては初めてのキャリアです。
直前の第3節の試合内容が良かったのか、twitterで「ただのSNS面白おじさんではなかったようだ」と言われていました。ということは逆に「SNS面白おじさん」ではあるのだな、と認識しました。
調べてみると、中田監督はツイッターでかなり炎上しているようでした。
例えば、自身のツイッターにネット掲示板のスクショを貼り、「それが京都人の風習だとしたら残念で仕方がない サンガが昇格出来ないのも理解できる」などとツイートし、それが炎上したことがあると報じられています。ざっと見てみましたが、他にも香ばしいツイートがかなりみられました。エゴサを熱心にやっているようで、この文章も見つかるかもしれないですね。
そんな京都サンガですが、ここまで3試合で2勝1分と星勘定は良い方でした。開幕3連勝の柏レイソルをホームで迎え撃ちます。果たして試合はどうなるでしょうか。
・カタカナの選手は怖そう、だが……
この日の京都のメンバーです。
スターティングメンバー
GK 21 清水 圭介
DF 4 田中 マルクス闘莉王
DF 5 黒木 恭平
DF 6 本多 勇喜
DF 25 上夷 克典
MF 8 重廣 卓也
MF 10 庄司 悦大
MF 22 小屋松 知哉
MF 29 中野 克哉
MF 31 福岡 慎平
FW 13 宮吉 拓実
控えメンバー
GK 1 加藤 順大
DF 28 冨田 康平
DF 30 石櫃 洋祐
MF 14 仙頭 啓矢
MF 20ジュニーニョ
MF 7 レナン モッタ
FW 39 エスクデロ 競飛王
控えにカタカナの選手が3人います。エスクデロ、京都にいたのですね。交代で入ってきたら怖そうです。ジュニーニョ、いかにも点とりそうな名前ですね。怖いです。レナン モッタ、知らない名前ですが、カタカナで背番号7とか怖そうな選手です。
試合前、ゲームの展望について、サポ仲間と軽口を叩いていました。
「とりあえず前線にカタカナの人3人並べたら強そうだよね」
「あのおじさんもしかして、3枚替えでカタカナ3人入れてくるかな?」
「もちろんその時は闘莉王も前線に上げてね」
京都は基本5バックで、手堅いサッカーで試合を進めます。
そして試合終盤まで0-0のまま時間は90分にさしかかろうとします。
柏はいくつか完璧な決定機を外したこともあり、今日はドローでも仕方がないかなと思っていたら……。
京都は88分、何と本当に3枚替えで、ジュニーニョ、レナン モッタ、エスクデロ競飛王の3人を同時に投入してきました。
それを見て僕がまず思ったのが、
「これに負けたら恥ずかしい」
ということでした。
・運否天賦・・・・・・
サッカーでは試合を動かすために選手交代を行うことがあります。しかし現状からの変化は、自分にとって都合よく起こるとは限りません。未来のことは誰にもわかりません。ゲームを動かすにしてもまず一人交代し、その変化を実際に見た上で二人目、三人目と交代をしていく方が確実です。
二人同時に交代するのは本来リスクのある采配であって、時間がない時、どうしても早く手を打たなければいけない時に行うものだと思います。ましてや3枚替えなんて、本来はそれまでのゲームが失敗であったと言っているようなものです。
とはいえ中田監督は88分まで0-0の試合運びを、失敗だったとは思っていないでしょう(僕もそう思います)。それなのになぜ、残り2分ちょっとで3枚替えをしたのでしょうか?ここからは僕の想像でしかないですが、この時点で引き分けは確保したものと考えたのではないでしょうか。そして攻撃的な選手を入れれば、前線で紛れを起こしてあわよくば勝てる、のような。そんなのに負けたら恥ずかしい。
突然話が飛びますが、僕の脳細胞は2%ぐらいが福本伸行で出来ています。この3枚替えを見て、『賭博黙示録カイジ』のこのシーンが脳裏に走りました。
その幸運を・・・・・・
オレが・・・・・・ここで摑むんだっ・・・・・・・・!
オレがっ・・・・・・!
ぐっ・・・!
神よっ・・・・・!
オレを祝福しろっ・・・・!!
『賭博黙示録カイジ』13巻 第152話「散逸」
カイジvs兵藤会長の、ティッシュくじ終盤の場面です。カイジは必勝のイカサマを忍ばせ、兵藤会長との1億円を賭けたギャンブルに臨みましたが、その策が失敗し運を天に任せクジを引くしかない状況に陥りました。なお負けた場合、カイジは指を切断されます。
試合終盤、それまでは守備的に計算して試合を進めたのに、最後に「運」に頼った攻撃を仕掛けたと思われる中田監督。その状況に僕の脳内では、カイジが祈るこの場面が重なりました。
・が・・・・、駄目っ・・・・・!
結局試合は、京都が3枚替えをした後の93分、逆に柏がセットプレーから決勝ゴールを挙げ1-0で勝利しました。
僕の理解では、京都は「理」に依って0-0で試合を進めながら、最後に「運」に頼った攻撃を仕掛けたと思います。しかしそれで逆に守備に穴を開けたため、セットプレーから失点し敗戦の原因になったと言えます。結果論と言われればそうかもしれないですが、カイジの場合は敗れた後で「運」に頼った己を反省、後悔しています。
あの時もっとよく考えればよかった・・・・
なのにあの時オレは・・・・
あろうことか・・・・祈ってしまった・・・・・・!
何も考えず・・・・・・・・・・
神頼み・・・・・・
救ってくれ・・・・オレを助けてくれ・・・・・・だっ・・・・!
もう自分以外・・・・・・・・・
頼る者などない・・・・と
骨身に染みて・・・・知っていたはずなのにっ・・・・・・・・!
『賭博黙示録カイジ』13巻 第158話「明日」
中田監督も、試合結果に対しては悔しい気持ちが当然あるでしょう。しかし、果たしてこの3枚替えの選手交代についてはどう考えているでしょうか?もしかしたらカイジのように、決断やそれに至った背景自体を後悔しているかもしれません。
そのように考えていると白髪のネルシーニョも、兵藤会長に見えてきます。
けっこう選手に制裁とかするしな……。
・「あれに負けたら恥ずかしい」は違う
帰り道、サポ仲間と「あの3枚替えはひどいね」「助かったね」「あれに負けたら恥ずかしいとか思っちゃったよ」みたいに会話しながら歩いていました。
するとまた、僕の脳内の福本伸行インデックスが起動しました。
負けたら恥なのか?それは違う、とネルシーニョ(兵藤会長)が言っています。
仮に負けても・・・・・・・・
別段恥でもなんでもない・・・・!
強者は相対的な意味で強者なのだっ・・・・・・!
一事一事すべてに勝てるわけじゃない
考えてみろ・・・・・・・・!
いわゆるプロフェッショナルの世界を見てもそうじゃろ・・・!
プロのゴルファーが
アマとやって全ホール勝てるか・・・・・・?
1ホールだけに限ればアマがプロを下すこともあろう・・・!
それを一度負けたら
恥だうんぬん言うのは・・・・
君ら貧しき者の狭量・・・・・・
悪い癖だ・・・・・・!
一度くらい負けたからと言って・・・・・・
恥でもなんでもないっ・・・・・・・!
人生の勝負は相対的だ・・・・・・
相対的に勝者であればそれでよし・・・・!
『賭博黙示録カイジ』12巻 第143話「強訴」
プロフェッショナルの辞書に「恥」という言葉は必要ありません。勝つために常に最善の努力、手立てをして、結果を追求すればそれでよろしい。「負けたら恥ずかしい」みたいな考えを抱きつつ試合に臨んでもいいことはありません。まあ見ている僕らは別にプロフェッショナルではないのですが、せっかく学んだ人生訓、自分にも役立てたいものですね。
本文は以上になります。本文だけで完結する文章になっています。
この先はおまけ部分で有料になります。本文中ではあたかも柏が勝ったのは必然かのように書いていますが、実はそうでもなく勝負の世界は紙一重だなという出来事についてです。決勝ゴールの直前、勝負の分かれ目となる出来事(プレーではない)があったのです。
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