Mein Mann und ich in Österreich - 夫と私とオーストリア #14 (改)
【罪悪の劇場の巻】(2023/12/10追記・再投稿)
昨年2022年に引き続き、今年もチロル州・夏の演劇祭『Tiroler Volksschauspiel』に行ってきました!
ハインツも出演した、今回の目玉演目テーマは『7つの大罪』。
キリスト教、主にカトリックで罪とされる7つの欲望・感情をそれぞれ1幕にまとめたオムニバス劇でした。
とはいえ、キリスト教に馴染みがない方は「7つの大罪って?」と首を傾げるのではないでしょうか。
傲慢
強欲
嫉妬
憤怒
色欲
暴食
怠惰
現在一般的に言われているのはこの7つ。
「確かに罪深いな……」というものから、人によっては「罪っていうほどかなあ?」というものもあるかもしれません。
さて、この舞台『7つの大罪』。
これらの罪それぞれを現代的な解釈で、しかも豪華に一幕ずつ別々の劇作家が書き上げた、非常に大掛かりな作品でした。
舞台のみならず、テレビでも活躍する演者を多く集めたこともあり、プレミア公演前からほぼチケットが完売だったそう。
ちなみに、ハインツが出演したのは前に書いた罪のうち、『傲慢』と『強欲』。
『傲慢』の方は、年齢を重ねてから再び人気を取り戻し始めたベテランコメディアンの役。
放送禁止スレスレの挑発的な芸風で観客をあおります。
もちろん、実際この舞台を観に来ている観客を。
『強欲』では、キノコ集めが稼業の一家の父親役。
希少価値の高いキノコを(国境をまたいですぐ近くの)隣国のイタリア人に譲るまい、とやっきになります。
全体を通して観劇した感想は……サーカス!
ネオン輝く舞台セットに回転ステージ、カラフルかつ豪奢な衣装。
ステージ正面奥には4人組バンドが陣取り、毎回生演奏で3時間の公演に臨場感を添えるぜいたくさ。
実は劇だけではなく、バレエのみの1幕もあり、(実は全7幕+プロローグ&エピローグのうち、特に人気のパートだったそう!)、「パフォーミングアーツ」の醍醐味を心ゆくまで味わえる構成だったな、と思います。
こちらのスケッチは、プレミア公演の前に少しセットを覗かせてもらう機会をいただいてざざっと描いたもの。
回転ステージの後ろに半円形に組まれた3階建ての足場も、もちろんストーリーの一部です。
ステージ上の物語の流れと絡み合うように、その背景でも別の人々がその後の展開に伏線を引きまくっている、視覚的にかなり作り込まれた演出でした。
言葉がわからなくても大丈夫。極上の音楽と情感あふれるダンス、アクション、見ているだけでワクワクする鮮やかな色彩のだけでも十分楽しめます。
ひとつ裏話を足しておくと、音楽を担当した4人組バンドの一員に、ドラマーのヴォルフィー・ライナー(Wolfi Rainer)さんがいらっしゃいました。
千秋楽のあとの打ち上げパーティーで少し話す機会があったときに、驚きの事実が判明。
「日本に行ったことあるよ!"Quruli"ってバンド、知ってる?
ライブ演奏で共演したことがあるんだ〜!」
く る り ??!!
ここチロルの地で、まさか日本のバンドの名前を聞くことになるとは。しかも共演者。世界は広いようでせまいな〜、としみじみ思ったのでした。
先日、この『7つの大罪』がプチリニューアルして来年2024年夏にも再上演されると発表がありました。
もし来年の夏にちょうどオーストリア、特にチロルを訪れようと考えていらっしゃる方は、ぜひ公式サイトや公式インスタグラムをチェックしてみてください!
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