ただの田舎のトマト農家がEC開始3ヶ月で訳ありトマト1000箱売った話
こんにちは!まるかじり農園です!
先日、メルカリさんから正式リリースされた「メルカリShops」。
そのPRにまるかじり農園を使っていただいたことで、とても嬉しい反響を多方面からいただいています。
メルカリさんを始め、取材、掲載してくださったメディアのみなさま、そしてまるかじり農園のトマトをご購入いただいたお客様に感謝の気持ちでいっぱいです。改めて本当にありがとうございます!
今年のトマトシーズンももうすぐで終わりです。
忘れないうちに、田舎の小さなトマト農家がこんな光栄な機会をいただけることになった経緯と、僕たちの思いを体験談としてnoteを書いてみようと思います。
今後メルカリShopsをはじめ、ECをやってみたいなと思っている農家さんの参考になれば何よりです。
1.メルカリShopsを始めた経緯
以前からECはやってみたいと思っていて、ECではないですが、まずはふるさと納税の返礼品にトマトを出すことから始めました。
これが2021年の4月です。
もともと(僕も所属する同世代の農家とつくった)共同出荷団体THAT.で、他県の市場やスーパーへ農協出荷とは別で個人出荷をしていましたが、コロナの影響でほぼその取引がゼロに...。
梱包や配送管理等の手間を考えると“ネット販売”になかなか手を出せずにいましたが、コロナをきっかけにふんぎりがつきました。
ネットを通じてトマトを届けられるという点はECと同じで、全国各地から寄附者の方にぼくの農園のトマトを選んでいただけたことや、あたたかいレビューを頂いたことをきっかけにもっとネット上で売りたいという思いが少しずつ強くなりました。
どうやってECを始めようか考えていた時にアドバイスをくれたのが妻でした。
妻はデザイナーで、ECサイトのデザインや運営に携わった経験もあり「ゼロからECサイトをはじめ、売れる状態にもっていくことはなかなか大変だよ」と、相談に乗ってくれました。
そんなときにたまたまTwitterで「メルカリShops」がプレオープンしたという広告を見て、普段からフリマアプリのメルカリを使っているし、同じような感覚でECができるのならすごくいいんじゃないか、と思って8月からメルカリShopsで「まるかじり農園 直売所」を始めました。
メルカリShops「まるかじり農園 直売所」
2.初めてのEC運営
お客さんは実際のトマトの様子や僕たちのことも何も分からない状態です。そんな中で
安心して購入してもらうためにはどうしたらいいか?
おいしく食べてもらうにはどうしたらいいか?
まるかじり農園のファンになってもらうにはどうしたらいいか?
とにかく始めた頃は試行錯誤の連続でした。
特に以下の5点を意識して改善を繰り返しました。
・友人・知人にトマトの率直な感想をもらう
・商品ページの説明文、写真はわかりやすくする
・商品写真と実際届く商品のギャップがなるべくないようにする
・パッケージや同梱物にこだわる
・同梱物にトマトの食べごろや保存法を記載する
友人・知人にトマトの率直な感想をもらう
今までは卸しがメインだったので、実際にトマトを食べてくれるお客さんの感想を聞いたことはありませんでした。
妻に早くネットで売ったほうが良いと言われてはいましたが
「本当に僕のトマトはおいしいのか?」
「わざわざネットでトマトをキロ単位で買ってもらえる価値はあるのか?」と自問自答していました。
そこでまずやったことは、友人・知人にトマトを送って率直な感想を聞いてみることです。
知人から送ってもらった感想
ただ嬉しい言葉をいただいても、正直それでもイマイチ“ぼくのトマトを選んでもらえる理由”がわからなくて、妻の友人のさとこさん(@satopeminako)にお願いしてブランデイングの授業を受けてみることにしたんです。
ブランディングの授業の様子
大きく意識が変わったのは、まさにこの授業のときで、まずそもそも僕たち農家ができるブランディングとはなにか?の考え方を教えていただきました。この、さとこ先生の自分を見つめる↔一緒に考え話し合う時間をつくってもらったことは、ECを通して初めて直接お客さんに僕のトマトを選んでもらうために、改めて僕たちのトマトって何なのか?を客観的に考えられるようになったきっかけになりました。
商品ページの説明文、写真はわかりやすくする
何当たり前なこと言ってんだ!と思われるかもしれないですが、ちょっとした工夫が大事なんだなと気付きました。
最初はただ商品の特徴をずらずらと説明文章を書いていただけだったんですが、メルカリShopsの仕様上、文字に色をつけたり、枠を引いたりして見やすくすることはできないのでちょっと伝わりにくかったんですよね。
それでブランディングの授業でもお世話になったさとこさんに説明分の添削をしてもらい、強調させるための記号や段落を使ってパッとみて伝えたい内容がわかるような工夫をしました。
あと、最初はただトマトが並んでいるだけで、どれが何の商品かわかりずらかったメイン画像を変更し、商品一覧でも見やすくなる工夫をしました。
これはメルカリShopsの場合のメイン画像のベストレイアウトだそうです(笑)※妻調べ。まるかじり農園の場合、商品がトマトだけなので写真だけを並べてしまうと、訳あり品なのか通常品なのか...わからなくなってしまいます。
あと、仕様上商品一覧画面では、黄緑色の部分:左上にSOLDのアイコン、左下に値段がくるので、そこに文字やロゴがくると結果見えなくなってしまいます。なのでまず、写真のサイズを正方形に揃え、右側にトマトの用途と数量を入れます。
右上にロゴを入れているのも“まるかじり農園のトマト”ということが、一目で認識してもらえるポイントだとか。
そして一番大事なことは、一番はじめに目につく写真は、そそる程においしそうであること!だそうです。
見比べるとどちらが見やすいか一目瞭然ですよね!妻に感謝です。
商品写真と実際届く商品のギャップがなるべくないようにする
まるかじり農園で人気の「無選別 訳ありトマト」については何が訳ありなのかがしっかりと伝わるように心がけています。
最初の頃は、写真はきれいな方がいいだろう!と思ってきれいなトマトの写真を掲載していました。
そうしたら購入してくださったお客様から
「数が違った」
「大きいトマトが入っていなかった」
「思ったよりキズがついていた」
などネガティブな評価をもらうようになりました。
考えてみれば、訳ありと言っている以上どこが訳ありなのか、お客様の期待を裏切らないようにきちんと伝える努力と誠意は実物が見えないEC販売だからこそとても大事なことだと気付きました。
それから写真は大きさの違いやキズなどもあえてわかる写真を使うようにしました。
パッケージや同梱物にこだわる
近所のスーパーや八百屋で買うのではなく、わざわざECを通して飛騨の山奥にある無名の農園からトマトを買っていただくって本当に嬉しいことです。
お店で買えばその日に食べれるし、自分でトマトの色や形を見て選ぶことができるます。送料だってありません。
にも関わらずまるかじり農園のトマトを食べてみたい!と選んでいただいたからには、期待に応えたいし絶対に喜んいただきたい。
そんな思いから届いた瞬間、段ボールを開けたとき、トマトを手に取ったとき、まるかじり農園からのメッセージに気がついたとき、など全部の接点でお客様においしさとわくわくを届けられるよう、パッケージやチラシなどの同梱物にもこだわって作っています。
まるかじ農園のパッケージ
同梱するチラシにトマトの食べごろや保存法を記載
ECを始める前は「市場に生産物を納品して終わり」という形だったのが、収穫から発送までの全ての流れの中でどうやったらお客さんに喜んでもらえるかを考えるようになりました。
幸い妻の職業がデザイナーなので、こうしたいあぁしたいをすぐカタチにしてくれたり、農家の僕には思いつかないようなアイディアを出してくれるのは改めてありがたい環境だなぁと。
メルカリShopsでお店と商品のページを作り、地道に改善していった結果、特に宣伝や告知などはしなくても次第に購入してくださる方が増えていきました。
3.メルカリShops本リリースPRのお声がけをもらう
少しずつメルカリShopsでのご注文が増え、多い時だと1日に30件程の注文をいただくようにもなっていた8月の終わり頃、
「メルカリShops本リリースに際して、まるかじり農園を先行事例としてPRに使わせてくれませんか?」
といった内容のメッセージをメルカリShopsさんからいただきました。
まさかの出来事に騙されているのではないかと最初は疑って、メールアドレスや会社名などを“本当に大丈夫かどうか”めちゃめちゃ検索しました(笑)
しかもその内容はインタビュー取材や記者発表への参加、渋谷センター街周辺の空き店舗シャッターでの3D店舗”(屋外広告)にも使用させてほしいということでした。
(渋谷なんてこれまので人生で行ったことはありません!自分より先に写真が掲載されるなんて...!)
せっかくこんな機会をいただいたんだから、できる準備は全部しよう!と妻とアルバイトのナナちゃんとブランディングの先生さとこさんとインタビューの内容やnoteの内容を考えアカウントをつくってみたり、カメラマンの友人まなさん(@kt____mn)に急遽写真を撮ってもらったり、webサイトを作ったりと大急ぎで準備を進めました。
そのときはじめて、“仕事にチームで戦う”感覚を感じました。
何度もお話にでているさとこさん(@satopeminako) は、地球の反対側ブラジルからサポートしてくれました。まるかじり農園の広報部ブラジル支局と勝手に呼ばせていただいていますが(笑)普段は多忙な妻のよきビジネスパートナー・友人として、今回は僕のことが世の中に正しく伝わるように、トマトのことや僕自身の言葉を引き出し、自分のことのように一緒に考え伝え方を考えてくれました。本当にありがとう!
これまで取材なんかも受けたことはないし、記者発表だってもちろん初めてのことだったんですがメルカリShopsの中の方々と、全てのメディア対応の窓口をしてくださった株式会社マテリアルの菅松さんが、ずっと最初から最後まで、丁寧で細やかな配慮をしてくださり、おかげ様で本当に楽しく貴重な経験をさせていただきました。
取材していただいた内容はこんな素敵な記事になり、
引用:メルカリびより
記者発表でもリモートで繋いでいただき、メルカリShopsでトマトを販売し始めた経緯などをお話させていただきました。
引用:メルカン
渋谷センター街周辺の空き店舗シャッターでの3D店舗(屋外広告)はこんな風にシャッターに写真を掲載していただきました。
渋谷センター街周辺の空き店舗シャッターでの3D店舗
さいごに
メルカリShopsさんにPRとして使っていただいたおかげで、たくさんのメディアの方に取り上げてもらい、WBS(ワールドビジネスサテライト)やめざましどようび等テレビでも放映され、全国のお客さんからの注文が急増、と本当に目まぐるしい毎日でした。
今年から手伝ってくれているアルバイトのナナちゃんも、初めてのことだらけて大変なこともあったでしょうが、彼女の存在なくしては乗り越えられませんでした。まだまだ若くやる気に満ちた彼女に、“農作業だけ”ではなく、新しく、取材や記者会見、EC販売をしている農家の現場を体験してもらえたことは、将来少しでも彼女の糧になればいいなぁと感じています。
今までだったら10月に入ったら農業が一段落するので、気が抜けて毎年風邪を引いてしまたりしていたんです(笑)
外も5度以下になるので寒いし休みにする日も多かったんですが、今は気持ちの良い疲労と表せばいいんでしょうか、もっとお客さんに喜んでもらうにはどうしたらいいかなと考えたり、少しでも多く長くトマトを収穫したいと感じたり、今年何回もリピートして購入いただいたお客様とどうやって関わっていけるかななど、やりたいことがどんどん膨らんでいく充足感と高揚感でいっぱいです。
しがない田舎の小さなトマト農家がこんな風にメディアに取り上げてもらうなんて、本当にすごいことだなと我ながら思うんですが、振り返ってみるとすごく特別なことをしたわけじゃないんですよね。
もちろん色々試行錯誤はしましたが、
自分たちにできることで喜んでもらえることって何かを考えてやってみる→反応を見ながら改善する
これを地道にやっていたら、予期せぬ嬉しい機会をいただきました。
まるかじり農園のトマトはトマトっていう商品だけじゃなく「まるかじりできる体験」をおすそ分けしていると僕たちは考えています。
少しずつ僕たちの届けたい思いが形になり、おいしいと言ってくれる人の輪が広がっていることが本当に嬉しいです。
最後に妻がFacebookに投稿してくれた言葉が、めちゃくちゃ嬉しかったのでこれを載せて終わりたいと思います。
色々と苦労してきた夫。7年間誰に褒められるわけでもなくまじめに丁寧に農業に向き合いコツコツ続けてきた結果、みんながおいしいといって食べてくれるトマトがつくれていて、良い評価をいただいていることに、おてんと様はみてるってホントなんだな〜と感じているところです。
最後の最後に感謝を込めて
メルカリShopsをきっかけにトマトを買ってくださった方、記者会見で一緒だったハナウタカジツさんをはじめ、ハナウタさんきっかけで出会った方々、当日までサポートしてくださったメルカリShopsの方々、アルバイトのナナちゃん、さとこさん、まるかじり農園に関わってくださっているすべての皆様、本当にありがとうございます。
後にも先にも僕にできることは、おいしいトマトをつくり続けることです。みなさんのおかげでこうして全国のみなさんにトマトをお届けすることができました。
これらかも、“まるかじり”してもらえる、おいしいトマトを全国へお届するために、真面目に丁寧に農業に向き合いたいと思います!
今後とも、まるかじり農園をどうぞよろしくお願いします!!!
まるかじり農園 石垣 拓
記事協力:みなべさとこ
僕とアルバイトのナナちゃんの生い立ちも公開中です。是非お時間あるときに読んでみてください!
サポートいただきありがとうございます! より美味しいトマトとまるかじり農園の日常をお届けできるよう、家族を大切に、日々まわりに感謝し過ごしていきます。