「ひとりぼっちじゃない」②感想(2回目)
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映画3回観て、インスタライブ2回拝見して、パンフレットを読み込んだ時点での感想、考察。これから原作を読んで色々感想が変わりそうだから、その前に今時点の考察や思いを書いて残しておこうと思う。
だいたいがススメの妄想だと思ってたけど、妄想じゃないパターンも色々と考察を楽しんでみたいと思った。
物語りの始まりは前回と同じく、母親に恋人ができたかも知れない、という不安感からおかしくなっていくストーリーだと思った。
整理整頓されたススメの部屋が徐々にぐしゃぐしゃになっていく様子に内面が荒らされていく様子がわかる。
ススメ先生、いつ寝てるの?と思ったから所々でやはり夢か妄想が入り乱れてるんだろうとは思うのだけど不自然さを感じさせない不思議。
ススメの家に来た時に車椅子を持って出迎えた時の宮子の笑顔。
対照的なのが挿し木の説明の顔と言い方。
事務的、機械的でゾッとした。
全く音もしなくてヒヤリとした。
基本的に表情があまり出ないし瞬きも少なくてかなりゆっくりのところから人外のものを感じる要素の一つ。
蓉子の名前も器を思わせて子宮を連想させる。
終始気になったのがススメに対してのマウンティングの表情。綺麗で透明感のある方なのにドロドロした目つきでいやらしく、あんたなんかより私の方が宮子のことを良く知ってて理解してるのよ、ふん。みたいな感じ。好きだわー。もしかしたら宮子にとって一番じゃなくなる危機を感じてススメを誘惑したのかも。
ススメと寝たことで満足して消えていったのか?それか行為の後、「宮子さんに言うんでしょ」と言った呆れた言動に愛想をつかせたのか。
マウンティングといえば宮子の家に誰かが持ち込んだものを他の誰かが食べるという行為も面白かった。
何人もの人が俺もいます、私もここに来てます、っていう無言の圧。ちょっと滑稽な感じが面白かった。
坂道を2人で手を繋いで帰ってきた時、ススメが背中に何かあたった、って言ってた。上から一本長い枝が垂れているのが見えて、へその緒を連想させられた。
そしておばさん?だかおじさんからレモンのお礼にキャベツを持って帰ってと言う。
レモンの木なんて宮子の部屋になかったから誰か持ってきたんだろう。宮子は妊娠していたのだろうか。欧米ではキャベツから赤ちゃんが産まれるというお話しがあるみたい。日本で言う赤ちゃんはコウノトリが運んでくる、みたいなことらしい。
どちらも赤ん坊を連想した。
うさぎでもねこでも牛柄にこだわりたいと言っていたちひろ監督。調べてみたら迷彩効果があって肉食動物からは見つかりにくくなるのだそう。
なるほど。
宮子ほどの魔性のある美しく無防備な女性がカギをかけてなくても無事生存できているのは宮子自身が迷彩を纏っているのだろうか。
宮子は交わる時必ず両手をあげて受け入れる。まるでキリン男のように。
他の人にもそうなのだろう。
宮子にとって自己犠牲は当たり前の行動なのだと思った。そこを劇中劇「bub」を見終わったあと自身がススメに責められたような気になってイラついたのかなと思った。
そういえば肉はまったく食べなかったね。
お野菜ばかり。
宮子との最後のお別れのシーン。
珍しく寂しそうな宮子の表情がとても印象的。これで最後、私は要らなくなったのね、役目を終えるのね、と感じたのか。
恋人というより母親の顔に見えたり子どものように見えたりした。
最後の木彫りのかたまり、子宮かも、とも思ったけど、心臓にも見える。
あの物置きには数々の宮子の元を旅だった人たちの残骸があるんだろうな。
中には死んだ人の持ち物も。
宮子との付き合い方を誤るとそうなるのかな。ウツボカズラに吸い込まれる虫のように。
物置に何が入ってるのかのぞいてみたい。
もしかしたら三角座りしたススメがまた居たりして。
いや、それはないか。
長崎で頑張って前向きに生活してて健全な恋愛をしていると思うしそうあって欲しいなと思う。
最後お母さんたちと笑い合う食卓、ほんとにほっとした。最後の最後に笑顔が見れてよかった。
何度見ても退屈しないのは私自身が宮子の部屋で癒されているからかも知れない。
湿度や温度、緑の匂いが届く感じで終止心地よかった。ぽこぽことした水音ももちろん。
また宮子の衣装も素敵で。着ることで立体的に膨らむシワのふんわり感、好き。真っ白じゃなくて生成りぽい衣装が似合ってて好き。
蓉子は毒虫のような色の衣装で対照的でいいな。
そしてこの時期の公開になるほどなと思った。旅立ちを迎える人、見送る人、環境が変わる人、とても多いこの時期。
そっと背中を押してもらえるような優しい映画だと思った。
ひとりぼっちであるようでひとりじゃない、そんなタイトルが優しくて好き。
あともう一度観る予定なので今度は何も考えないでゆったりみようかな。
ここまで長文を読んでくださりありがとうございました!!