飲食店経営企業の接客レシピ #4
私たちは現在、
「あそび割烹 さん葉か」(2016年1号店としてオープン)
「炭手前 鷽」(2018年に2号店としてオープン)
の2店舗を都内で経営しています。
そんな私たちのお店の特徴ですが、料理はもちろん
お客様とのコミュニケーションもウリとしていること
です。
第4回の今回は、いよいよお客様とのコミュニケーションについて。
けっこう長い文章ですが、お付き合い頂けますと幸いです。
お客様とコミュニケーションを取ってみよう
ここで、私達が大切にしている『コミュニケーション』です。
お客様が来店されてからの流れの中で、既に「コミュニケーション」は取っていますが、ここでは主に『話す事を目的としたコミュニケーション』についてお話します。
簡単に言うと、お客様と話してお店の拘りをアピールしたり、趣味嗜好を把握したり、お仕事内容など込み入った事まで情報収集するという事です。
コミュニケーションを取るとどんな良いことがある?
例えば、今現在のお客様のお店への評価が50点(普通の状態)とします。
その状態で何かのミスをしたポイントが50点だった場合、0点になりますが、70点(良い接客をした状態)なら20点残ります。
つまり、その後のリカバリが出来るという事です。
飲食店における接客は、常に最悪な状況に備えてお客様と良好な関係を保っておくことが重要だと私達は考えています。
また、それ以外にもコミュニケーションを取れた事で、お客様の情報を把握でき、更なる満足度の向上にも繋がります。
例:お客様の苦手な食材を把握できた。次の料理に苦手なものが入っているので、苦手な食材を除いたお料理を提供できた。
お客様に興味を持つ 無関心が一番良くない
「はい!お客様とお話してコミュニケーションを取ってきてください!」
と言われても、最初から上手く話せる人はなかなかいません。
「どのタイミングで話せばいいのか分からない」
「変に話しかけて、空気読めないやつって思われたら嫌だな」
「自分の苦手なタイプの人だったらどうしよう」
「話しかけるの怖い…」
などなど、コミュニケーションを取るのに苦手意識のある方は、こんな感じの悩みを持たれているのではないでしょうか。
もし上記の悩みがある方は、
お客様ではなく、自分しか見ていない
という事に気づきましょう。上記の悩みは全て自分自身の主観でしかありません。これでは、お客様へ無関心である事と同じになってしまいます。
プライベートな時、あなたが気になる人・好きな人に対してどのように見ているかを思い出してみましょう。
「趣味とかあるのかな?」「今日はテンションが高い日かな?「髪切った?」等とにかく何でもいいのですが、相手への?が沢山ありませんでしたか?
この相手への?持つ事がお客様へ興味を持つ事の第一歩でありゴールです。
自分への関心ではなく、お客様への?を大事にしましょう。
否定的な発言は絶対にNG
例:
お客様A「この日本酒知ってるよ!○○って米使ってるんだよ」
お客様B「へー」
スタッフ「いえ、違います。△△という米です」
極端な例で、こんな事をする人はほぼいないと思いますが、意外と自分では気づかずにい否定的な事を言っていってたりするので気をつけましょう。
この例の場合だと、お客様Aのプライドをへし折ってあなたへの印象がガタ落ちですし、その場の雰囲気も悪くなります。
この場合は、
◆「よくご存じですね!この日本酒は△△って米を使ってますが、確かに○○の米を使ってるものもあります」
◆「おお!凄い!私も間違えたんですが、実はこれ△△って米みたいなんですよ」
と伝えましょう。
注意すべき点は、
・相手の自尊心を崩さずに訂正する事。
・知識をお客様Bへ伝えているので、お客様Aが知っている事への賛辞
・自分も間違えた経験を入れて共感を出す。
でしょうか。
いいえ・違います・間違いです・ダメです・嫌いですなどの否定的な言葉はなるべく使わないようにしましょう。マイナスな言葉もあまり使わない方がいいですね。
必ず目を合わせて。目は口程に物を言う
あなたは今ホテルのフロントにいます。記念日でちょっと良い所に泊まろうと、普段よりも2ランク高いホテルを予約しました。
そのホテルのフロントでチェックインをする時に、まったく目を合わさずに下を向きながら、チェックイン処理をされたらどう思いますか?
私なら嫌です。いつもよりも高いお金を出して期待してきてるのに最初からこれではせっかくの気分も台無しだと思います。
私は、お店で接客する時にはお客様から頂く代金は2倍だと思って行動しています。(5000円のお会計なら10000円という風に)
様々な人が来店される飲食店なので、どんな価格帯のお店でも、いつもよりも背伸びして来店してる方がいるかも知れないと思うからです。
コスパって大事ですよね。お会計見た時に「こんなに安いの?」って言われるといつも内心ガッツポーズしてます。
料理や飲み物の値段だけじゃなく、サービス・接客もコスパに含まれます。
必ずお客様とは目を合わせてお話し、店内を見渡した時に何か頼みたそうなお客様と目があったら、アイコンタクトとうなずきをしながら、お客様の元へ伺いましょう。
目は口程に物を言うといいますが、ずっと気がけてやっていれば、なんとなーくお客様が何を欲しているのか分かってきます。分かってきだしたら、もっと接客が好きになれますね。
お客様と話す時は、聞く80%・話す20%。
お客様とコミュニケーションを取る際に、ついやってしまいがちなのが、
自分語りをしてしまう事。
会話のきっかけを私達が作り(全体の会話の20%)
お客様が話をし易い状態(全体の会話の80%)
にすることが理想的な状態です。
学校の授業がつまらなく感じる原因は「自分が興味が無い話題をずっと聞き続けなければならない状態の為」が要因ので1つです。この状態は自分語りをお客様に強要してしまっており、「つまんないな」「いつまで話すのかな?」と不快感を与えてしまいます。
では、どのようにお客様に気持ちよく話してもらうか?
が重要になるのですが、最初のうちはひたすら質問しましょう。
どんな些細な事でも構いません。
「このあと雨降るみたいですね、傘とか持ってきました?」
「今日も暑いですね💦私暑いの苦手で。お客様も苦手ですか?」
などなど、なんでも良いので相手に話すきっかけを与えて、その回答に私達はしっかりとリアクションを取りましょう。
主役はあくまでもお客様であって、私達はお客様の満足度を向上させるためにお話をしているという事を忘れないようにしましょう。
苦手なタイプの人ほど積極的に話す
私達も人間なので、誰にでも人の好き嫌いはあります。
しかし、第一回でも書きましたが、お客様は皆平等です。
「この人苦手だな、嫌だな」と思いながら接客していると、無意識のうちに苦手意識は行動として現れ、どんどん苦手なお客様とは交流を取らず、得意なお客様とばかり話しがちになります。
どうすれば良いか?
◆仕事と割り切って、とにかく話しかける。
お客様は、友達じゃなくて、私たちのお給料の元になっているのです。会社からお給料をもらっていると思いがちですが、その源となるのはお客様であるという事を忘れないようにしましょう。
◆何故苦手な意識を持ったのか?を自分自身で考えてみる。
そもそも何故そのお客様が苦手だと思ったのでしょう?何かきっかけがあったはずです。例えば「横柄な態度だ」と思ったなら、よくお客様を観察して見てください。もしかしたら私達に落ち度があったのかも知れませんし、単に緊張されてるだけかも知れません。コミュニケーションを取ってみないとその人の本質は何もわかりません。安易にお客様にレッテルを張る事は避けましょう。
◆どうしてもダメなら、表面上の接客を頑張る。
いろいろやっても、どうにも出来ない場合もあります。そんなときはせめて表面上の接客を頑張りましょう。空いたお皿を下げる。お水が必要かな?と思えば言われる前に出す。とにかくお客様の先回りをして不快な思いをさせないようにしましょう。
「苦手だな」と一瞬思っても8割は勘違いです。単に自分が苦手なトラウマをお客様に当てはめてる場合の方が遥かに多いです。まずは先入観を捨てて、素直な気持ちでコミュニケーションを取ってみましょう。
次回は接客レシピの最終回。お客様の退店までの流れを書いていきます。
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おうち割烹 todoku