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男性育休取得率4年連続100%!?男性育休の実態に迫ります!【マルイノホンネ #4】

社員の本音を探り、丸井グループの実態に迫るマルイノホンネ。第4回となる今回は男性育休についてです。 丸井グループでは、男性育休の出産後すぐの時期から、1カ月以上(早期・長期)の取得推進を行っています。育休の取得を会社として後押しするのはなぜなのか?推進する理由や、実際に育休を取得した男性社員の実体験から、マルイノホンネに迫ります!


丸井グループが早期・長期の男性育休を推進する理由

■性別による役割分担意識の見直しにつなげるため
女性のみが長い育休を取得することにより、性別役割分担意識が固定化されやすくなってしまいます。理由としては、休職した女性が家事育児に専念することでパートナーと家事育児のスキルに差が開いてしまうこと、さらに女性が復職する際に家事育児の分担が見直されず、女性に偏ったままになってしまうことなどが挙げられます。

■出産直後の共育児が夫婦関係に重要なため
出産直後に夫婦で共に育児をしたかどうかが、その後の妻から夫への愛情に大きな違いを生むことが研究によりわかっています。

■産後すぐにやるべきことがたくさんあるため
定期健診や行政の手続きなど、産後2カ月以内にやるべきことは意外とたくさんあります!

■何よりも、パートナーが「より早く」「より長く」育休を取得することを女性が望んでいるため
社内で取ったアンケートでは、「どのくらい育休を取得してほしい(ほしかった)か?」には2週間~1カ月以上という回答が55%、さらに「いつごろ取得してほしい(ほしかった)か?」には産後8週以内が54%となっています。

丸井グループにおける男性育休は?

育休取得社員のホンネ

2022年5月~9月まで、4ヵ月半の育休を取得した髙田さんに、育休取得のきっかけや、取得前後で変わったと感じることについてお聞きしました!

―育休の取得を決めたきっかけや、パートナーのご反応はどうでしたか?

結婚した時から、子どもを授かったら育休を取って一緒に子育てしようと妻と前々から話していました。取得期間については、実際に妊娠が発覚してから二人で相談しました。
きっかけということでもないですが、会社として元々育休取得を社員に対して啓蒙してくれていたため、風土が根づいていると感じていました。なので自然と育休取得を前提として考えることができたと思います。

―育休取得時の上司や周囲の反応はどうでしたか?

妻の妊娠が発覚したのが、当時所属していた部署から異動することが決まった直後でした。異動先の上司と初めて1on1ミーティングをした時に育休取得の旨を伝えたところ、祝福と後押しの言葉をかけていただきました。周囲のメンバーも祝福してくれて、非常に育休を取りやすい環境だと感じました。

―育休取得までに、気をつけていたことはありましたか?

予定日はあくまで予定なので、勤務中に産気づいても駆け付けられるような準備体制を整え、業務を引き継げるよう、予定日の2週間くらい前から周囲への根回しをしていました。実際は休みの日の出産だったので、問題なく最初から最後まで付き添うことができました!

―育休中に大変だったこと、またうれしかったことは?

初めて経験することだらけの育休期間で、どちらも山ほどあります!(笑)
子どもが10ヵ月になった現在も日々の成長に驚いてますが、産まれてから1ヵ月経つごとに、まるで別人のように成長や変化が見て取れます。大変だったことはありきたりですが、オムツを分刻みで替えることもあれば、まったく寝ない夜もありました。ですが、これらは誰もが通る当たり前のことだと思うので、それ以上の困りごとが起きていなくて安心しています。
このかけがえのない大変でもあり、しあわせな日々を妻と共有しながら過ごせたことが一番良かったことで、家族が一人増えたと同時に絆もより強固にできたと思っています。
また、日々の思い出を振り返れるように写真を大量に残すように心がけています。0歳児の育児風景のリアルな日常はほっこりするものもあれば笑えるものも多く、妻と子どもと、これからずっと見返していく思い出になっていくんだろうなと思っています。

―育休取得前と後で、ご自身の中で変化はありますか?

育休取得前は深く考えていませんでしたが、「復帰後のキャリアも子育ての経験も、なるべく夫婦の間で差が出ないようにしていきたいよね」と、夫婦で話すようになりました。不公平が生まれるからというネガティブな理由ではなく、どちらも貴重な経験で、両方大事にしたいからという考えです。
仕事を通じての成長は言わずもがなですが、育休を通じて、子どもとの生活やコミュニケーションで得られる喜びや学びも多くのことを知りました。会社にはさまざまな制度があるので、仕事も育児も、どちらの経験値も積めるような働き方や工夫をしていきたいなと思っています。

―取得を考えている方へメッセージ、次に取るならこうしたい!ということはありますか?

男性の育休は、子どものためにももちろんですが、パートナーの支えになることが重要だと思うので、パートナーとはぜひよく話し合ってほしいと思います。産後ダメージが残っていたり、母乳の悩みがあったりなど、男性とは状況が異なりますし、そういったことを踏まえてまずは取得を前向きに考えてほしいです。
特に最初の1ヵ月は子どもを連れて外に出ることも大変なので、その期間がワンオペ育児になることは体力的にも精神的にもしんどいんじゃないかと思います。さらに、今度は首が座る3カ月前後まではいろんなことに気をつかうので、振り返ると引き続き難しいことだらけだったなと思います。育休取得から半年は行政の金銭的な補助も手厚いので、期間の目安にしていただきたいなと思います。

パートナーの方より
想像していた以上に産後のダメージが大きく、特に1カ月間はわたし一人では絶対に生活が回りませんでした。普通に生活を送るのでさえ辛い状態だったため、夫が積極的に家事育児をしてくれて心強かったです。ただでさえ寝不足で頭が回っていなかったので、子どもを抱っこしてて大量の吐き戻しを全身に浴びた時など、わたし一人だったらびしょびしょなままパニックになっていたと思います(笑)。
産後すぐの、育児スキルも経験もまったくない不安な状態で、夫と手探りながら24時間協力し合えた経験は、夫へのリスペクトや愛情につながりましたし、二人同時にスタートラインに立ち、家事育児のスキルの差が開くことなく成長できたことで、今もお互いに信頼して子育てを任せることができています。

上司より

エポスカード フィンテック事業推進部 フィンテック事業推進担当 渡邉 雄二

取得後に復帰されるメンバーに意識しているのは、以下の3点です。

① 復帰直後は、精神的にも体力的にもつらいので、しっかりサポートすること
② ご本人の目標について、半期、四半期、月、週にブレイクダウンして、相互に進捗を確認しあうこと
③ お子さんの病気など、突発的なトラブルは当たり前なので、まわりがいつでもフォローできる体制にすること
普段から課のメンバーには、「会社でのキャリアだけでなく、自分の人生をどうしたいか?」について考えてもらうよう話しています。そんな中で今回育休取得を決断した髙田さんについても、意志を尊重するとともに、リスペクトしています。
また、社内風土の後押しもあり、育休取得済のメンバーも周囲にいるので、自然と育休取得を皆が声かけしたり、取得する場合は早めに周囲に共有したりする環境ができていると思います。

人事担当者に聞く!男性が育児に参画しやすくする風土づくりの秘訣

丸井グループ 人事部 ワーキングインクルージョン推進担当 市井 亜季子さん

- 丸井グループでは、なぜ男性育休取得を推進しているのですか?

丸井グループではこれまで、画一的な組織からはイノベーションは生まれない、という考えのもと、男女・年代・個人の3つの多様性を掲げ、企業文化の変革に向けた取り組みの一つである「多様性の推進」に向けて組織改革を推進してきました。

特に男女の多様性については、女性が社員の45%を占める中で、意思決定層に占める割合は7%と低いことを課題とし、価値観の同質化を招いているという危機感から、2014年3月期より女性活躍を進めるための重点指標として「女性イキイキ指数」を設定し、「意識改革・風土づくり」と「女性の活躍推進」の2つの視点で取り組みを可視化してきました。

さらにこの中で、ジェンダー平等の要ともいわれる「男女の性別役割分担の見直し」に着目し、「女性だけが頑張るのではなく、男性の行動変容が重要である」と考え、新たに「男性の育休取得率」を目標として掲げました。「男女の性別役割分担意識」は、特にお子さまが生まれるタイミングで現れやすいと考えています。結婚のタイミングでは平等だった家事分担が、女性の長期育休を機に女性側に偏ることとなり、女性側が復職するタイミングで家事・育児分担が見直されることがないまま、女性側に負担が偏ってしまうという現象です。出産のタイミングから一定期間男性が育休を取得することで、男性側も家事・育児の大変さやスキルを習得し、復職した後も夫婦共に持続的の家事育児を協力しあえる状態ができると考えています。男性の育休取得は今後夫婦で働き続けるための準備期間であり、女性の活躍推進につながると考えています。

- 会社として男性の育休取得を推進していくうえで大変だったことは?

取り組みの大前提として、会社のトップである社長が、経営戦略の柱として 「多様性の推進」を掲げ、会社として取り組んでいく、というメッセージを、ダイバーシティブックという冊子を全社員に配って発信しています。

ですが、ただ発信するだけではなく、その目的や意義を社員に浸透させる必要があります。そのため、手挙げの社員で構成するグループ横断のプロジェクト活動を通じ、社内の「多様性」への理解を浸透させる草の根活動を推進してきました。プロジェクト活動は「多様性プロジェクト」から始まり、「ダイバーシティ&インクルージョンプロジェクト」、現在は「ジェンダーイクオリティプロジェクト」に、進化しながら継続しています。

また、多様性を推進するうえで重要である「アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)」を見直す機会として、年に1度、職場ごとに研修と対話を行う機会を設けています。このように、組織風土は一朝一夕にできるわけではなく、くり返し継続的に実施して醸成する、という点が、大変ではあるものの大切なポイントであると考えています。

- 今後に向けた課題や取り組みについて教えてください。

2022年度のジェンダーイクオリティプロジェクトでは、「男性育休100%」の次のフェーズとして、「男性育休の1カ月以上取得の向上」に取り組んでいます。丸井グループで直近5年間に育休を取った男性社員に、育休の「期間」について聞くと、8割の社員が「もっと長く取りたかった」と回答し、8割の社員が、理想の取得期間が1カ月以上である、と回答しました。それに対し、現在の男性の1カ月以上取得率は30%(※2022年4月~12月取得者実績 n=27)にとどまっていたことから、長期育休取得を断念した理由を調べてみました。

最も多かった理由は「職場のメンバーに迷惑をかけてしまうから」でしたが、多くの社員は上司や周囲に相談することなく、自己判断で長期取得を見送っていることがわかり、長期育休取得に向けた仕組みの導入や風土醸成が急務であると考えています。 まずは職場の上司の意識変革から、ということで、2023年3月にマネジメント職向けに共有会を実施し、丸井グループの男性育休取得の現状と、長期育休取得推進の目的・意義をお伝えしました。マネジメント職の皆さまには、パートナーが出産を迎える男性社員が希望する期間の育休を取得できるように、これまでは「おめでとう、育休はいつ取るの?」だった声かけを、「どのくらい取るの?」というふうに変えていただくことをお願いしました。この後も長期取得がしやすい職場環境に向けて、制度をはじめとする仕組みと風土醸成を両輪で取り組んでいきたいと考えています!

※この記事は、丸井グループオウンドメディア「この指とーまれ!」の連載記事として2023年4月に公開されたものです。

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