すゑひろがりず 諸国漫遊記~仙台公演 備忘録
令和三年五月八日、晴天の仙台で行われた すゑひろがりず 結成拾周年全国行脚 諸国漫遊記in仙台 の備忘録として残すネタバレあり、感想まじりのレポートです。
記憶があいまいな部分や私的解釈が多分に含まれていることをご理解の上でお読みください。
● 前説はサンタモニカ (高橋さんとマイムさん)
お二人は神保町所属の若手さんで、前説のために東京から来てくださったそう。浴衣姿で威勢のいい楽しい前説でした。
横長の舞台の緞帳前で左右に大きく分かれて立っていたので、二人一緒に写真に収めるのはなかなか難しかったです。(写真撮影OKでした)
◎開幕◎
緞帳があがると緋毛氈の上に平伏する裃姿のすゑひろがりずのお二人。客席からは万雷の拍手があがり、南條さんの口上で単独がはじまる。
聞きほれてしまうめちゃくちゃかっこいい口上の後、改まった口調のままお襦袢をちゃんと着ていることを会場に報告してくださいました。
「皆様からの執拗なリプライ、DM、メッセージ。鳴りやまぬ通知のおかげで、わたくし南條はこの通り襦袢を着てくることができました!」と胸元を見せてくださり、会場は爆笑と拍手に包まれました。
続いて三島さんは前日のお仕事が早く終わって焼き肉を食べに行ったけれど、牛タンは食べずにいたことをご報告。楽しみにしていた仙台牛タン、食べに行けたようで何よりです(終演後のツイートによる)。
その後、桃鉄で仙台に停まる練習をした話、LED会社と野球チームが買えるけれど前日はLED会社を購入できず、その代わりこの電力ホールに立つことができて光栄です。LEDといえば電力なのでたぶんこのホールのこと…と後半謎の着地に。
「隅から隅までずずいっと~」の口上で頭を下げて暗転。
南條さんの声出しの時、お腹が動いているのがよく見えたのと、礼したときのすっと伸びた背中がとてもとてもかっこよかったです。
◎暗転
オープニングムービーは安心の(株)カナメクト製。エモーショナルでスタイリッシュで数多のお写真と映像が最高。
出囃子が鳴って紺のお着物の二人が登場
オープニングトークで三島さんが、南條さんの口上がどんどん上手になっていって、隣で待っている間ドキドキしてしまうからと、次回以降順番交代を提案していました。南條さんは「それは裏でやりましょう。もっと次の公演の直前にやってもいい話ですね」と言っていたけれど、次回もし三島さんからの口上になっていたら、これがきっかけですね。
そのまま和風変換になって、客席からいくつか募る。「ジェラートピケ」「光のページェント」「サンタモニカ」だったかな。南條さんが光のページェントが何かわかったときに「神戸のルミナリエみたいな!」って言っていたけれど、仙台でそれは伝わったかな?最後、童に「ランドセル」ってお題をもらった三島さんがものすごく即答で「しょい籠!!!!」って叫んだのが面白かったです。童への声音や表情が二人ともすごく優しい。
いつもこの和風変換を担当する三島さんが「あなたもやってくださいよ」と南條さんにふり、「できますけどね」と南條さんも受けて立つ。「ビジュアル系バンド」で反応が良かったので2つ目へ。「ジェットコースター」の変換もなかなか秀逸だった。
「できるじゃないですか!!」と三島さんに言われた南條さんは「今日、この場はホームだと感じたから」和風変換したとのことで、普段はやっぱりやりたくないそうです。普段は三島さんの変換を説明したりツッコミ入れたり、鼓で判定したりお忙しいですからね。たまにホームでまたやってくれると嬉しい。
◎ネタ① 学園天国
何度か見たことがあるネタだけれど、やっぱり盛り上がる。今日は南條さんが扇子を落としてしまったり、三島さんがミスってはならないところで失敗してしまうなど、少しふわっとした感じ。最後の歌詞を忘れるくだりでは南條さんのキックツッコミがさく裂していました。
<幕間VTR ご当地がりず検定 前編>
仙台出身のマネージャーさんから提供されたという厚めの情報で作られたご当地問題が前後編で10問+α
周りからすごく笑いがおきたり、「あー!」みたいな小さな声が漏れていたから、大成功だったと思います。もっと宮城に詳しくなりたい。
覚えている限りでは「東北楽天イーグルス」「サンドイッチマン」「ステンドグラス前」「ずんだシェイク」「ベニーランド」「AERU」「八木山ベニーランド」「藤崎(デパート)」「荒川静香」
VTRの後、お召し替えして登場したすゑひろがりず。南條さんが「ここでお色直ししたんですが、今の映像でこの服着てましたね」みたいに衣装のことに触れていました。
◎ネタ② ヤンキー
三島さんの「憧れているものがあるのよ」からちょっとやってみようということに。ヤンキーのはずが、五七五七七で詠じはじめる雅やかな三島さん。逆に怖いわ!!このネタは声の良さと動きの雅さを堪能できる、現代語でやったら決して品良いわけじゃないのに、謎に優雅な不思議なネタ。大好き。
◎ネタ③ サッカー
私は初見のこのネタ。南條さんが「サッカー選手にあこがれるのよ」って言った後にさっきのネタを受けて「今度は某のあこがれをやらせてもらうということで」ぽいことを言っていた。仙台にもサッカーチームがありますよね、でベガルタ仙台の和風変換もやってくれました。
三島さんがポジション紹介するところで、五七五七七って言いだしたら「おぬし、五七五七七好きじゃなぁ」ってここでもひとつ前のネタを受けてセリフがあってなんか感動しちゃった。独立したネタでもひとつながりの舞台なんですね。南條さんが童役するときに白雪姫の小人の動きをしていたのもすごかったし、和風に実況する三島さんを通訳しつつサッカー選手の動きを実演しつつツッコミも入れるしで大車輪の活躍するネタでした。動きのあるネタだから仙台の横広の舞台を存分に使ってくださっていました。
<みなみのしまからのビデオレター>
ハワイで住みます芸人をしているみなみのしまからビデオレターの形でメッセージが届きました。ハワイで楽しくやっている様子の二人から過去の5UPよしもとのシステムの紹介があり、当時二人をオーディションで落としまくった作家さんが袖にいるということでネタを披露してみてもらうことに。
ここでVTRは終了
袖から本物の(?)みなみのしまが表れてネタを披露
◎ネタ④ 服屋の店員(みなみのしま)
ぱつぱつのアロハシャツでちょっと動きづらそうなみなみのしま。ライチ三島さんが「憧れてる職業がある」と服屋の店員をやることに。ここで憧れ3連発でした。三島さんが若干ライチさんになり切れておらずふわっとした始まりも、最初はいい感じに滑り出したのですが……
漫才はやっぱり途中で失格音楽が流れてしまったけれど、粘って粘って南国変換で初めての合格を勝ち取りました。
南国変換はすゑひろがりずの和風変換のシステムで、言われた言葉を何でもあったかくするというもの。(合格したのは『よもぎ大福』→『ホットよもぎ大福」。嬉しくなってチャレンジした2本目『パイナップル』→『ホットパイナップル』はやっぱり失格でした。酢豚に入っているパイナップルのこと~🍍)
<換気休憩>
休憩が終わる前に南條さんの影ナレで「そろそろはじまりますよー。戻られてますかね?といっても今三島もトイレ行ってるんでね」とアナウンスがあり、仙台はみちのくだからと上着を持ってきたのに暑い…というような話をしてくれかけました。三島さんが戻ってこられてお話は途中でおしまい。くだけた感じの口調がとてもよかったけれど、最後まで聞きたかったです。
再登場したすゑひろがりずのお二人、休憩中に袖でみなみのしまと話したとのこと。みなみのしまは早速さっきのネタの反省会をしていたそうです。勉強熱心なのでもしかすると千秋楽では合格するかも!
◎ネタ⑤ 小学校の想い出
10回クイズの「かまぼこ」を南條さんが繰り返しているとき、三島さんが横でものすごい笑顔で(「こぉ~」やってくだされ「こぉ~ぉ」って)とささやいているのが楽しい。三島さんの楽しそうな顔を見ているだけでこちらも楽しくなる。とぼけ顔や解せぬ顔の三島さんも好きだけど。
アルプス一万尺はやっぱりうまくいきませんでした。
ここでも「ちはやふる~」の五七五七七、31文字が出てきた。さすが伝統芸能風。昔風。
出島、会場内の童たちを見渡してご説明しましょうって言ってくれるところ、大好き。童の皆さんは百済新羅高句麗のくだりから分かってないと思いますけどもね。
◎ネタ⑥ ダンスダンスレボリューション
お着物をおはしょりした南條さんがあらわれた時に、会場から声にならない「あっ」が聞こえた気がした。まさかこれが見られるとは。仙台会場は客席にちょっと傾斜があるので、後列の私のところからはマス目も見えました。
南條さんが三島さんに小鼓を渡したとき、三島さんが「おぬし、しらべの結び方変えた?」と。タモリ俱楽部で論外と言われてやり直したのだそうです。握り方も「ここに指通すねん」と教わった三島さんが南條さんのこと「お師範殿」って呼んでいました。
後ろのマス目を『七夕』、三島さんが「真ん中も行きましょう」で追加して真ん中を『ふわり満月 萩』(がりず検定ででてきたもの)でやることに。南條さんの提案で小鼓ポンのところで客席も手拍子することになって、何度か練習した後に本番が開始しました。
結論から言うと、いつもは三島さんの必死な様子を楽しむだけのこの遊戯が、客席も必死の脳トレみたいになっていました。客席が派手にミスったら南條さんはちゃんとつっこんでくれたし、そのあとからは次に踏むマスを指で示してくれました。本当に器用な人だ。わやくちゃになっていた三島さんは『ふわり満月』は一度も成功していない気がする……
<幕間VTR ご当地がりず検定 後編>
再び拍子木が鳴って明るくなると、舞台上に正座するすゑひろがりず。
南條さんの朗々とした声が結びの一番を告げて暗転。
◎ネタ⑦ お典雅様
南條さんだけが舞台にいる状態でネタが始まり、これが噂に聞いた夜のネタかと正直ドギマギしつつ舞台を注視してしまいました。
南條さんが鞍馬典雅さまからアイテムをいただく前に、童をお連れの保護者の皆様にお子様の目なり耳なりを塞ぐよう、協力を仰ぐ配慮がありました。
前から思っていましたが、寿の汎用性が高すぎますね。
<エンディングと撮影タイム>
エンドロールがながれ、最後にツアーTシャツを身に着けた(南條さんは肩にかけ、三島さんはむくむくに着ぶくれて)すゑひろがりずが登場して、写真撮影タイム。
Tシャツは脱いで衣装のほうがいいだろうと、三島さんが脱ぎ始めると同時ぐらいに鳴り響くシャッター音。Tシャツを片付けに袖にはけて戻ってくる南條さんが「もう撮ってるぅ~」と。すみません。キメキメのお顔とポーズもいいけれど、その前後のお写真も欲しかったもので。
後方の席だったのと撮影技術に難ありのせいで、上手な写真は撮れなかったけれど、左右中央万遍なくいろんなポーズをしてくださって、そのホスピタリティにしびれました。
そして本当の最後の最後に緞帳が降り始めると、二人どんどん姿勢を低くして、三島さんはぎゅっと小さくなって手を振ってくださり、南條さんはうつぶせに転がって小鼓をポンポンしてくれました。
●客出し(サンタモニカ)
和風変換で三島さんが名付けた和風名称で名乗ってくださり、客出しの間もあれこれ盛り上げようとしてくださった様子。ずいぶん早く会場から出られる席だったのであまり見られなくて残念でした。
本当に夢のような時間のかけらを少しでも多く残したくて書き留めたけれど、もう完全には思い出せないのが本当に悔しい。最初から最後までずっと楽しくて面白くて笑いっぱなしで、すゑひろがりずは本当に面白くてかっこいいなぁと何度も思いました。
流行病の状況は予断を許さないけれど、できるならすべての会場で無事に諸国漫遊記が開催され、できるだけたくさんのお客さんが彼らに会いに行けるように、心から祈っております。
最後に本筋とは関係ないちょっとした感想を書き留めて終わりにします。
①南條さんと三島さん、公式身長は1センチ三島さんのほうが高いけれど
みなみのしまの時には、南條さんのスニーカーのほうが靴底に厚みがあるせいで南條さんが高く見えて
すゑひろがりずの漫才中は、三島さんが後傾姿勢だからか南條さんの前髪が少し高くセットされているからか、ほぼ同じ身長に見えて
雪駄を履いているときは三島さんのほうが大きく見える
面白いですよね
②仙台の諸国漫遊記は初めてお笑いを生で見る人もかなりいた様子で、私の後ろに座っていた年配のグループは、すゑひろがりずにもそれほど詳しくないようでした。ちょっと私語もめだったけれど、小声で何度も「来てよかったね」「面白いね」と言っていて、私もファン歴も短いただの家臣に過ぎないのだけれど、私が応援しているすゑひろがりずはこんなに面白いんだぞ!!とものすごく誇らしくなりました。そういえば斜め後ろのおじさん、おてんがさまのとき笑いながらむせていたけれど大丈夫だったかな?