見出し画像

「メイドイン✕ become human」?? 瞬時の判断で"IF"を発見する演劇ゲーム


こんにちは。丸ダイスです。

これは2020/12/21~27 のunity1week「あける」の振り返り記事です。

丸ダイスは毎回斬新さを目指してゲームを企画していて、今回もおおよそ見たことのないゲームに出来ました。

今回は、どう考えてこうしたのか? 思い描いていた試みはうまくいったか? という思考プロセスの面から作ったゲームを振り返ろうと思います。

企画

さっそくですが、今回はチームを組んでいたうすいしおさんのこの企画がゲームのベースになりました。

画像1

端的に言うと、「幕があける度に、瞬時にゴールを見つけ出すプラットフォームアクション」です。 「幕があける」という要素がお題にマッチしメカニクスに活きているのが良さそうでした。

ただし、プラットフォームアクションは「瞬時の判断」という競技性にとっては幕の中の状況パターンが単調になりそうで、「舞台と幕」フレーバーにもベストマッチではないので代わりを考えました。

「幕があける度に瞬時に判断」といえば、「メイドインワリオ」ですね。 「瞬時の判断をするゲーム=バリエーションの広がりが必要」という発想もこれから来ています。同じようにオムニバスゲームにしてはただの劣化コピーですが、幸い、「演劇に介入する(しなくてはいけない)ゲーム」というまとめ方を思いつきました。

つまり、こんなゲームです。

1.舞台の上で進行する演劇に「モノが飛んでくる」「舞台に穴」「あるはずの小道具がない」と、明らかな欠陥がある

2.幕が開いた(=欠陥があるシーンにきた)ら瞬時に欠陥を見つけ出し、「小道具を渡す」「小道具を動かす」「要らないものをどかす」といった介入する

3.演劇は無事に進行する。

私が知る限りではあまり聞いたことがない、新しいゲームでした。 物語体験を主軸とするゲーム作りは得意ではないのですが、物語型のゲームが好きなうすいしおさんならなんとかなるだろうと考えてGOとしました。

結果、こんなゲームになりました。タイトルは「5秒間の黒子さん」です。

unityroomのリンクはこちら。


膨大な開発作業

正直なところ、このゲームの開発は私としても「プレイヤー体験が見えてない」「作り方=実装方法が見えてない」部分が多すぎました・・。そんなときほど、新しいもの作ってる!!とワクワクする面もあるんですけどね!!
加えて、絵の量も膨大(100点近かったです。うすしおさんありがとう)、イベントの量も膨大(44個のTimelineにキーを打ちまくりました)。

途中で再考する余裕は全くなく、目を回しながら2日遅れで作りきりました。

ゲームの評価

※以下ネタバレ含みます。

改めて考えると、この企画に私が感じた可能性は、

・劇に介入という基本プレイの自由度の高さが、「ここでこうすると・・?」という非自明な選択肢と物語の広がりを生む

点でした。たとえばこちら。

画像2

「姫が勇者に盾を手渡そうとしている(が、盾を取り忘れた)」シーンです。

正解は「姫に盾を手渡す」ですが、ここで「勇者から剣を取り上げて姫に渡す」と・・・

画像3

なぜか勇者が姫に追い回されます。(BAD END)

「パッと見気付かないけど実は出来る」、これを私は「非自明な選択肢」と呼んでいます。この非自明な選択肢がなくなれば、選択肢を選んで全てのルートを読むノベルアドベンチャーとメカニクス上は同値でしょう。

ただ問題は、私がこれ(=非自明な選択肢の重要さ)に思い立ったのがDAY6のあたり、言語化出来たのは完成後くらいでした・・・。 結果、非自明な選択肢として驚きを与えられる箇所は多くは入れられなかったです。 物語の広がりにはつながらない「パッと見気付かない解法」ならいくつかありますけども。

画像4

こことか(一度置いた橋をもう一度使う)

画像5

こことか(幕をどかすと主人公を照らせるスポットライトが実はある)。

ナゾ解き的なひらめきの遊びとしては楽しいですけどね。


今回の企画はイケる?ボツ?

強いシナリオライターと組めるまで一旦保留・・かな?

我こそはというシナリオライターさん、いたら是非名乗りを上げて下さい。


「黒子として演劇に介入するゲーム」に手応えは感じたものの、やはり面白い物語、しかも非自明な選択肢を盛り込んで広がりを持たせられる、高度な物語構成スキルを開発の主軸に据える必要がありそうです。

今回の物語もゲームジャムで楽しんでもらうには十分なものの(うすしおさんありがとうございます!)、今の座組(私&うすしおさん)はこのゲームの可能性を発揮するには物語パワーがやや物足りない気がします・・うーん、多分・・。

あ、分岐のある物語には膨大なアセットが必要でマンパワー的にキツイというのもありますね・・。

横の広がりのある物語ゲームといえば「Detroit: Become Human」が有名ですね。 出来たものを反すうするに今回は、「Detroit: Become Human」的な広がりのある物語体験を「メイドインワリオ」の瞬時に判断するフレームワークで気軽に楽しむ、そんなゲームを作りたかったんだと思います。

ボイスについて

今回のゲームはセリフに音声がついてます。 

合成音声とはいえ、短期間でゲームの全セリフに音声を付けるチャレンジは技術的に少し面白かったので、別途技術記事を書こうと思っています。

追記:書きました

追記:共同制作について

今回タッグを組んだうすいしおさんは、私の目線からすると、とにかく仕事の速さが際立って見えました・・!

ゲームを成立させるためとはいえ「明日までに」「これとこれも追加で」みたいなことを(ひどい無茶振りだなぁ・・)と思いながらオーダーしたのに、全く動じず100点近いアート素材が凄まじい速度で出来上がっていました。一週間ですよ、マジで。

アート以外も、シナリオやUIデザインなど、お互いにあまり経験がない部分をガンガン拾ってくれたのもありがたく、やはり個人でもゲームを作れる人の行動力はチームでもむちゃくちゃ活きてくるな・・と感じました。

うすいしおさんも振り返りの記事を書いてくれたので紹介しておきます!


いいなと思ったら応援しよう!