じゃがたら小話【vol.1】実は日本へ入国しているオランダのジャガイモ
オランダは九州程度の小さな国である。しかし、ヨーロッパのジャガイモ収穫高の11.6%をオランダが占めている。
1位ドイツ、2位フランス、3位ポーランドという大国に続き、小さなオランダがそのあとを追いかける。それは、どういうことなのか?
そう、オランダは種イモや冷凍ポテトなどの加工ジャガイモをつくって輸出しまくっているのである。2018年時点では、オランダは世界最大の種イモ輸出国、冷凍ばれいしょはベルギーに次いで2位である。
あなたは気がついていない。日本にいても知らない間にオランダ品種を口にしているかもしれないということを...。
参考:The EU potato sector: statistics on production & trade|Europatat
誕生しても消えゆく運命の品種もある
オランダで品種登録されているジャガイモは600以上、実際には200〜300品種程度といわれている。品種開発をする民間の育種会社は、10年ほどかけて新しい品種を作り、毎年1〜3くらいずつ品種登録をする。
ただし、全部が民に愛されるとは限らない。加工に適した形、揚げたときの色、食味になるような品種を作ったり、病害虫に抵抗性がある品種を作ったり。時には糖尿病患者用の品種を作ることも...育成者は工夫を重ねるが、涙ながらに消えゆく品種が多々あることも現実だ。
冷凍ポテトとしてこっそり入国完了
オランダは、冷凍ポテトとして年間で200万トン以上をほかの国へ輸出している。その多くがEU内向けだが、近年は中東、アジア、アメリカなどへの輸出量も増加している。
実は、日本への輸出もこっそり拡大しており、今ではアメリカ、ベルギーに次ぎ3位に!こっそり入国が完了していたのである。(ちなみに生のいもは検疫上輸入ができないので、加工用のみ)
日本へはどんな形で潜入しているのかというと...その多くがファストフード向けの冷凍フライドポテトだ。
どんなオランダ品種が日本に潜り込んでいる?
オランダ品種は、品種名を叫ぶこともなく、名札をつけることもなく、ひっそりと気がついたらそこにいる。なので、誰も気がつかない。でも、あなたの口の中にもすでに潜り込んでいるかもしれない。
日本に入ってきている可能性が高い品種はこれだ!
Agria(あぐりあ):フライドポテトでも生食でも任せておきな!
Bintje(びんちぇ):昔からがんばっているオールラウンダー!
Fontane(ふぉんたん):大きいあいつ!
Innovator(いのべーたー):病気に強い元気なやつ!
まだまだ紹介したいお気に入り品種はあるが、まずは、次回以降日本に潜入しているかもしれない品種たちを順に紹介していきたい。
参考:オランダのばれいしょの生産および輸出動向