【ライオンの棲むところ】 番外編 –夢の記憶と記録–
昨夜久しぶりに氷川課長の夢を見た。ずっと見たいと思っていたのだが、そうそう夢をコントロールできるものではない。
会えなくなってから約8ヶ月––––
彼の夢を見たのは契約解除から2回目だ。
今回はちょっと小休止。
物語はまだまだ続くのだが、今日は番外編として見た夢の記録をしておこうと思う。記憶に残っているうちに…
2024年 初夢
契約解除前、実は2024年の初夢は彼の夢だった。
皮の工房で働く彼と私。
私と彼は師匠と弟子のような関係だ。朝工房に出勤すると、彼から呼び出される。
「お前来月からここ行ってこい」
メモを渡され見ると、個人宅の住所と電話番号が殴り書きしたようなメモだった。
「これどこですか?」
「俺の知り合いのうち。果物農家なんだけど、繁忙期で人が足りないっていうからお前暫く行ってくれ」
サーっと血の気が引く
「え… 」
「…お前さあ、この仕事向いてないよ」
大ショックである。ふらふらと自分の作業デスクに座り、とりあえず今日仕上げなければいけない仕事に取り掛かる。夕方になり、緊張しながらも彼に仕上がりのチェックをお願いしに作ったものを持っていく。
「出来ました。チェックお願いします」
「ん」
渡してすぐに、彼が眉根を寄せる。
「ちっちゃくねーか?」
「え?」
自分の作った製品をまじまじと見る。
あれ、そもそも今日は何を自分は作ったんだ…? 何だかぼやけてよく見えない。
「これ絶対規格間違えてんだろ」
彼が苛立った様子で私を見上げる。私はまた血の気が引き、上手く喋ることができない。
「すみません!すみません!」
私が平謝りすると、はー…とため息をつき
「今日はもういいよ、帰って」
「修正します」
「だから、良いって言ってんの。」
私は帰りの車で運転しながら号泣する。
…という夢が、初めて見た夢だ。
夢の中だけでも良い思いしたいものである。おそらく繁忙期のプレッシャーと、日々のミスできないという思いから見た夢だと思われる。
2024年 5月ごろ
会えなくなって1ヶ月と少し、とても短い夢だった。
彼と並んで、商品の箱詰め作業をしている。
私が商品を箱に入れる役割、彼がテープを貼り、箱側面に会社ロゴと消費期限の印字が出来るラインに流していく作業をしている。
2人の息が合ってきて、どんどん作業が早くなる。周りの音が聞こえなくなり、隣に立っている彼の動きと呼吸にだけ集中する。
私と彼は、ものすごく似ている。
呼吸や、
テンポや、
心地いと感じるリズムが。
もう自分の手が早く動きすぎて、どこで何をやっているのかも分からない。
ただ彼が隣に同じように作業している。
それだけで、じゃあ大丈夫。
と、思っているという夢だった。
この夢の感想は、「楽しい」だった。会話するでもなく、ただただ2人で横に並んで同じ作業をしているだけ。それだけで幸せ、という夢だった。
2024年11月 昨夜見た夢
偶然合った私たちは、色んな話をする。彼は仕事のデータ?のような書類を持っていて、それを私に見せながら意見を求めてくる。
側に寄り一緒に考えながら、お互いの存在を近くに感じていることに、喜び噛み締めている。
場面は変わり、私の家に彼がいる。
お互いの家庭についての問題について、赤裸々な告白をし合う。お互いに色々あるなあ、とのんびりお茶をして、たまに合う目にいちいちドキドキする。距離感がもどかしい。
彼は席を立つ。帰ろうとしているのではなく、トイレにでも立ったかのようにささっとドアの近くに立つと、会話の流れでさりげなく私を下の名前で呼ぶ。
急な距離の詰め方に、さらにドキドキが高鳴る。
彼が戻ってきたら私たちの関係性は、全く別のものに変わるんではないか–––––
そんな淡い想いを抱いたところで、目が覚めた。
そうだよね、分かってた。
夢だって。
でも言わせてほしい。
…いけず