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自家製酵母を使った発酵種ともちっむぎゅっ生地

maru bagelの「もちっ」「むぎゅっ」として、ほのかに酸味のある生地は、いちから種起こしした自家製酵母を使った発酵種から生み出されると考えています。うれしいことに、お客さまからも、もちっむぎゅっの生地がおいしいと言っていただけることも多く、お店を始める時に、試行錯誤して発酵種を作って良かったと思っています。
自家製酵母を使った発酵種は、気温等によりどうしても発酵にブレが出るため、できあがった生地は、膨らみ方や酸味が微妙に変わりますが、毎日食べていただける、飽きのこないベーグルをお届けしたいという当店のコンセプトに合っています。

日本パン技術研究所では、「発酵種の種起こしから種つぎまでのすべてをベーカリーが独自におこなったもの」が「自家培養発酵種」と定義されていて、当店の発酵種は自家培養発酵種になります。ただ、表現が硬いので、ここでは、自家製酵母を使った発酵種と表現しています。

酵母と乳酸菌

自家製酵母を使った発酵種は、酵母だけでなく乳酸菌が含まれます。一般的には、酵母より乳酸菌の方がかなり多く含まれるようです。自家製酵母を使った発酵種から作った生地の特徴は、酵母と乳酸菌の両方から生まれます。

どのようにして「もちっ」「むぎゅっ」が生まれるのか

自家製酵母を使った発酵種は酵母のみを成分とするものではないので、発酵種の量に対して酵母の数が少なく発酵力は小さくなります。また、酵母と乳酸菌が協力して発酵をおこなうため、発酵に時間がかかります。そのため、生地をこね上げた後、まる1日の発酵期間をとります(オーバーナイト発酵)。オーバーナイト発酵では、乳酸菌が小麦粉の成分をブドウ糖に分解して酵母に渡し、酵母がそのブドウ糖をもとにして二酸化炭素を作ることで生地がゆっくり膨らんでいきます。
このように、酵母と乳酸菌の働きによりゆっくり膨らむことが「むぎゅっ」につながります。また、乳酸菌は、小麦粉の分解時にブドウ糖だけでなく、乳酸も作り出し、乳酸が小麦粉のタンパク質と混ざると生地の柔軟性や伸びが良くなり、「もちっ」が生み出されます。
発酵種の成分分析をしたわけではないので、あくまでも類推になりますが、当店の生地のもちっむぎゅっの理由はこのような感じかなと思っています。

これからも

自家製酵母を使った発酵種は、ひたすら種つぎをしていく必要があり、来る日も来る日も種つぎをおこなっています。また、発酵状態や気温などで生地のできあがりも微妙にぶれるので、常に生地の状態に注意して、こね時間や発酵時間の調整などをしています。すごく手はかかりますが、「もちっ」「むぎゅっ」を生み出してくれるかわいいやつです。
これからも、大切にしていきたいと思います。

参考資料

書籍「発酵種とパン〜科学から応用まで〜」
社団法人日本パン技術研究所HP「天然酵母表示問題に関する見解」


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