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アラサーだけど胸張って合宿免許に行った話①

自動車免許が取れる年齢になって◯年。
30を目前に、わたしは迷っていた。

免許を取るべきか、否か。

自動車は凶器だ。
万が一、自分の不注意で人や動物をひいてしまったら…他人に迷惑をかけてはならないし、自分も犯罪者になりたくない。
リスクばかり考えて、アラサーになるまでずっと免許を取ることを考えずに生きてきた。
仕事も、自動車免許の有無を問われないものを選んできた。

アラサーになるまで頑なに自動車免許から目を背けてきた自分が、どうして今この時に免許を取るかどうか問題で迷っているのだろうか。

その時のわたしは仕事を退職し自由な時間がかなりあった。
次の仕事を決めてから退職したわけでは無かったため、日々色々な求人を見ていたのだが、良いかも!と思った求人には大抵「要 普通自動車免許」と書かれていた。
営業の仕事のみならず、事務の仕事まで資格・条件の欄にそう書かれているものが多かった…。

また、春から秋にかけて、週末に車で車中泊をしながら色々な場所に出かけた。
わたしは助手席担当である。
もちろんコロナ禍なので、人の多いところを避け、ドライブ中の景色の移り変わりを見るのがメインで、屋外の観光スポットをめぐったりした。
見通しが良く真っ直ぐに伸びる田舎道を助手席からずっと眺めていると、ふと自分も運転してみたい気になった。

運転免許を持っていたほうが、仕事の幅が広がるかもしれない。
週末に、田舎道をドライブするのは気持ちがいいのかもしれない。

今まで何年間も免許のことを考えないようにしていたのだが、気づけば毎日のように運転免許のことを考えるようになっていた。
これは、運転免許を取得したほうがいいというお告げなのかもしれない。

どこで免許を取れるのか、いくらお金がかかるのか、ネットで情報を収集していると、あるワードが目に入った。
「合宿免許」
なんと泊まり込みで、しかもたったの2週間ほどで運転免許が取れるらしい。
(正しく言えば、2週間ほどで卒検までいける。)
期間中はホテルのようなところに滞在し、食事も3食出るらしい。
行ったことのない土地で、半分旅行のようなワクワク感の中で運転免許が取れるなんて。
旅好きのわたしは、合宿免許にかなり惹かれた。
でも、すぐには合宿免許行きを決められなかった。

理由は、「大学生の集団参加が多いらしい」ということである。
大学を卒業してもう何年も経つアラサーの自分は、その環境で浮くのではないだろうか…。
若くて体力があって日頃から「勉強すること」に慣れている学生と同じ環境で学び、恐らく脳みそや反射神経やあらゆる能力が衰退してきているであろうアラサーの自分だけが試験に落ちたりするのではないだろうか…。
「合宿免許おもしろそう!」と先ほどまで浮かれていたが、なんだか自信がなくなってきた。


つづく

ありがとうございます。お金は好きなタイプです。