君のこんぺいとう
自分が今こんなに悲しく沈んでいるのは、おそらく好きな人と結ばれなかったからじゃない。あれほど私を愛してくれて、信じてくれた君を失望させてしまったことが悲しいのだと思う。自分が、自分を守るためにしたことは結局のところ裏目にしか出ず、果敢に立ち向かう彼は選ばれた。私には嘘などつけなかった。いつでも誠実ではいられないこと、その点において私は彼に劣っていた。
寂しさは恐ろしいものである。いついかなる状況であっても追いかけてくる、恐ろしい動機である。寂しさに対する恐怖はいつからか私に染み付き、それに私はからめとられてしまう。1人になりたくない、という原因の分からぬ強い心の欲求に振り回されて生きる日々である。
私が一緒にいたかった、その、きれいで、私の好きな言葉を紡ぐ、君と話した時間を忘れることはなく、君が私に贈ってくれたたくさんの言葉たちは永遠だ。私が見ていたのは永遠の君との愛、よりも、このさき記憶に残り続ける言葉たちへの憧れだった。それらは一等星の輝き、それとともにひっかかる、こんぺいとうのように。とげとげと甘いそれは私の心のいたるところにべったりとくっつき、自分はここにいるよこんなことがあったことを忘れないでねと自己主張を繰り返す。ずきずきと痛む呪い。呪いなんだこんなもの。甘い苦しい逃れられない、呪い。
出ない涙と進まない思考で私は君と君の遺した言葉に溺れている。
(2020/11/16)