株式会社OOの事業内容@2021
沖縄県内の小さな企業(スモールビジネス=SMB)への投資ファンドSCOM(エスコン)主催のセミナー「SCOM SEED」の最終回で発表した内容を記事にしました。
株式会社OOとは?
株式会社OO:以下OO(まるまる)は、2020年12月21日に創業した沖縄のひとり法人会社です。今回の事業発表会(2021年12月23日時点)で1期目を迎えました。
アルファベット大文字の「オー」2つ、読み方は「まるまる」です。
もはや何のヒントもない状態なので、以下の3部構成で伏線を回収していきます。
part01 事業の根幹:デザインとは?
まずは弊社が根幹としている「デザイン」について触れていきます。
デザイン(Design) とは?
日常的に「デザイン」という言葉を見かけたり使う機会もあると思いますが、そもそものデザインとはどんな意味なのでしょうか?
色々な視点や解釈もありどれも正解だと思いますが、私はWikipedia先生に改めて聞いてみました。
わかるようなわからないような…とりあえず、単純に装飾することではないっぽいですが、なんか難しそうな感じが漂っています。
もう少し噛み砕いた説明を加えると、見えている部分は実はデザインの一部分で、氷山のように実は見えない部分が埋まっている、見えない工程も踏まえてデザインですよと言われています。
実際の作業工程
こちらは、とある企業さんの社内広報誌のデザインです。デザイナー目線でチェックしてみてください!というお題を運良くいただけたので、実際にどんなことを考えているのか作業工程をサクサク解説してみたいと思います。
※デザインチェックの工程はデザイナーさんによって様々なので、あくまで私の工程です。
まず、チェックする対象物を観察し、どこのフェーズから修正が必要かな?を考えます。戦略とゴールはより深堀りすれば別の解決策も出てきますが、ここでは社内広報の一部として社内広報誌を発行&配布しているという理論が通っているのでOKとしました。
パッとみたところ、少し見づらいかな?という部分があるので、構造からチェックしていきます。
記事は読んだところ内容OK!(今回は仮の記事ですが、実際の活動内容や記事は素晴らしかったです。)
情報を分解すると、主に3つの話題があるようです。
更に情報を分解してグループ化、「11月の活動」は全体の活動報告であり目次の役割も果たしそうなので上に持っていく=優先順位を上げました。
各話題の中でも更に役割や優先順位を整理し、A4サイズに収まるようにレイアウトしました。
次に、より魅力的な紙面になるような表現を調整していきます。今回は元々ある広報誌の世界観が大きく変えず、ベーシックなデザイン理論をあてはめて調整していきました。
ビフォー&アフターはこんな感じです。大きく印象は変わらないかもしれないですが、伝えたい情報が整理されて読みやすくなれば今回は成功です!
前段が長くなりましたが、Part01ではOO(まるまる)が事業の根幹としているデザインが見た目のことだけではないということと、広報誌や営業資料のような身近な制作物=アウトプットにも活用できるということだけ覚えていただければ嬉しいです。
part02 商材と提供価値:今までの実績
ここからは、OO(まるまる)の商材と提供価値についてご紹介します。
デザイナー人生10年のあゆみ
ひとり法人の会社であり、デザイナーという労働集約型の事業なので、商材は代表自身のスキルセットです。
2016年に東京から移住しフリーランスになったことを機に、毎月売上を立てていくには…という壁にぶつかると同時にもらったチャンスはとりあえず打席に立つことにしていたので、デザイン制作の他に講師や登壇、コミュニティ運営や書籍執筆(共著)などの経験も積むことができました。
スタートアップにてサービスリリースを2社経験したことも大きな比重を占めましたが、この話はまた別の機会に。
クライアントワークのご紹介
実際のお仕事では、いきなりpart01のような話はせず、まずは制作のご相談をいただき、ヒアリングを行ううちに根本的な解決策は何か?この制作のゴールは何か?をご提案することがほとんどでした。
完全リモートワーク対応できるので、東京など遠方のクライアントさんもいますが、ここでは沖縄県内での実績をいくつかご紹介します。
OO(まるまる)の特徴としては、そもそも何のために?をしっかり理解した上でアウトプットすることと、デザインを消耗品としてではなく資産として活用すること、不安にさせないコミュニケーションとして制作過程もクライアントさんに合うものに調整しています。
OO(まるまる)の提供価値とは?
デザインで提供できる価値は様々あるのですが、戦略や要件から入るデザイナーはOO(まるまる)がはじめて!というクライアントさんが多かったので、まずは伝えたい内容を伝わるようにするというベースづくりからはじめました。
一緒にプロジェクトを進めているうちに、自分では伝わっていると思っていたことは実は全然伝わっていなかった、もとい伝わることで事業スピードが加速した、やりたいことを理解してもらえることで安心して次に進める!という声を代表からいただくことも。
OO(まるまる)では事業理解からアウトプットまでを、可能な限り必要なスピードで提供していたので、現状では「情報伝達の速度と密度UP」が提供価値としては高いことが強みです。(スタートアップ案件との親和性が高い)
ただし、速ければ良いというわけではなく、対応するプロジェクトによって正解はかわります。今までや1期目は長期間じっくりブランドを育てるプロジェクトを担当していないということも要因ではあるので、これからどんどん変わっていく可能性はあります。
1期目の数字的な実績と見えたもの
今までデザインを仕事としている中で、お金<やりがいに比重が傾くことがほとんどでしたが、今後会社を経営していく上で数字から事業計画を考えることも超大事だなとSCOMを通じて再実感したので算出しました。
※具体的な数値はnote記事ではは伏せています。
MQ会計と財務指標のから算出。営業利益率については、今年度「経営セーフティ共済」に保険積立をしたので、この仕訳と資産とするか経費とするかによって変動します。(資産とした場合は44.4%、経費とした場合は25%)
ここでは、デザイナーは、固定費が他業種と比べて低いこと、労働集約型のビジネスであることが顕著に数字に現れています。
売上の推移では、2021年6月に体調都合で新規の依頼をストップさせていただきました。が、既存のクライアント業務での需要が上がったこともあり、想定した落ち込みはありませんでした。(タスク分散ができず一人で何役か兼任していたことが大きな要因なので再現性はないです。)
数字から見た結果と来期もOO(まるまる)の経営は大丈夫なのか?という観点から言うと、Webやアプリなども担当しているためIT人材に含まれると考えると今後も突然仕事がなくなるという事態にはならなそうです。
これは会社員やフリーランスの頃からもやもや思っていたことですが、法人化して自分自身が法人の経営者の立場になったこと、またスタートアップのサービス立ち上げにがっつり関わったことで、以下の2点のことがみえてきました。
もちろんデザイナーとして表現を徹底的に突き詰めることは、ものすごく大事であり妥協してはいけないと個人的には思っていますが、OO(まるまる)の場合は戦略部分から入ること、提案まで至らなくても完全理解はしないと本当にクライアントさんに対して価値提供できないケースが多くありました。
part03 今後の展開:事業モデルと現在の課題
現状のまま事業を続けることも可能ですが、自分が事業を進めていく上でみえた課題はクライアントさんにとっても課題だということ、また自分一人のリソースでできる限界値もわかったので、今後目指したい事業モデルを表明したいと思います。
ポイントとしては、リモートワークなので対象は沖縄に限らずなのですが、地方課題を諸々と抱えてビジネスが難しいとされている、かつ自分の生活拠点である沖縄での事業展開を基盤に考えています。
沖縄の中小企業・スタートアップにデザインをインストール
例えば起業するときに必要なサービスを導入するように、デザインを気軽に活用できるといいなと考えています。
ただ、中小企業でデザイナーが専任で必要なケースがない、あっても1〜2人の少人数という場合が多く、採用や稼働管理も負担になってしまいます。
その際に、継続してデザインの相談先があり予算や必要な稼働時間に柔軟に対応できる、デザイン部署を必要な分カスタマイズして外注できる仕組みを計画中です。すでに自社にデザイン部がある場合は、困ったときの相談先として活用いただくという使いみちもできそうです。
OO(まるまる)ですべての制作を請け負うわけではなく、相談内容によって最適解が出せるように他社やフリーランスのパートナーとの協業してプロジェクトを進めていくので、その会社らしさを体現できるアウトプットが可能です。同業種でも横のつながりがあり、交流しやすい沖縄だからこそできるチーム体制を活かし、沖縄だからできる事業モデルとして育てていきたいです。
事業課題
この事業モデルを実現するために、現在解決したい課題が点あります。
1点目が、そもそも沖縄では「デザインってなに?」が認知されていない問題です。クライアントワークでは潜在的なニーズは見えたものの確証ではないので、こちらは引き続き認知を広げる活動が必要です。
2点目は、OO(まるまる)のリソース足りない問題です。仲良くさせていただいている沖縄県内の制作会社でもデザイナー足りない!もしろ足りているという話を聞いたことがないので、人材不足はかなり深刻度が高いです。
OO(まるまる)では、大きく分けて3つの事業基盤があり、今後の事業モデルを実現するためにはデザインの認知を広げる広報活動としてナレッジ共有、そもそもデザイナーになる人材を育てる人材育成の2つに重きをおいていきます。
受けたい融資
今回のビジネスピッチには、地銀の方やメディアの方も多く参加いただけるということで、ストレートに受けたい融資をまとめました。
お金的なところよりは、今まで自分が積極的に行ってこなかった人脈づくりや広報活動の機会にお力添えをいただけると大変ありがたいです。
また、実は沖縄県内ではデザイナーになりたい!という方はいるのですが、デザイン教育を受けるための資金を用意できない方も多くいます。ただし、無料で実施するとモチベーションが続かないなど一筋縄ではいかない複合的な課題があるので、この辺りのアドバイスや意見交換の機会をぜひ。
ビジネスピッチのまとめ
実際の発表時間は10分(実際は15分くらいかかってしまいました)、記事してもかなり盛り盛りの内容になってしまいましたが、OO(まるまる)の事業内容を1枚にまとめたものが以下です。
最後に&産休のお知らせ
今回は、OO(まるまる)の1期目終了&年末のタイミングで事業内容を発表するという本当に素晴らしい機会をいただき、当日会場にお越しいただいた皆様、一緒にピッチに参加された皆様、主催のSCOMさんに深く御礼申し上げます。
デザイン界隈で登壇の機会をいただくことはあれど、沖縄の中小企業として改めてデザインの仕事についてご説明するのがはじめての経験。みなさんに受け入れていただけるのか不安でしたが、ビジネスピッチ後に面白かった!今後話を聞いてみたい!など反響いただきチャレンジしてよかったです。
また、私事ではありますが、この度子を授かり12月末で産休に入ります。ビジネスピッチ後に事業を休むという珍ケースで恐縮ですが、少しでも株式会社OO(まるまる)のことを覚えておいていただけると幸いです。
※2023年6月より業務復帰しております
※妊娠中の登壇は体調と医師への相談を行い登壇を決めました。が、緊張も相まって私は結構息切れしてしまったので、動画で予め録画したものを流せばよかったなと思いました。