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【エッセイ連載】虫とり網でまちを測る | みちくさ文語 |文:佐藤仁@石垣島


■梅原さんの話

ぼくには、私淑する人物がいます。
高知県のデザイナーさんで、梅原真さんといいます。
梅原さんがつくったもののなかでも特に好きなのが『十和ものさし』。

---引用---
「十和ものさし」は
この村のものさし
どこにもないこの村だけの
今から21世紀への”考え方”のものさし

拾った棒きれに目盛りを書いたデコボコのものさしを、会議に、作業に、いつも傍に置いていらっしゃったそうです。(今はどこかに行ってしまったそうな。)

■昔のぼくの話

子供のころ、年に一回、遊びにいく場所がありました。山梨。
山々の隙間、小さな集落にある、祖父母の家でした。

真夏の大自然を目の前にした、昆虫好きの都会っ子がそこで毎日手に握るのは、虫とり網。

この茂みには珍しい虫がいそう?この木にクワガタは来るんだっけ?
当時のぼくにとっての虫とり網は、そういう"考え方”で山梨の集落という場所を測らせてくれる、ある種のものさしだったのだと思います。

■今のぼくの話

最近は、何か知らないうちに握ってしまったものさしを使って、世界を、島を、まちを、自分を測りながら、その結果に一喜一憂しながら、それなりに一生懸命に生きているような心地でいます。

握りしめたものさしの「使いかた」については小学校で丁寧に教わったのですが、ものさしの「選びかた」や「選び直しかた」「使い分けかた」について、誰かに直接教えてもらったことはないような気がして、ちょっと頼りない気持ちにもなります。

そんななかなので、「ものさしなんてなんでもいいんだなぁ」という気楽さと、「ものさしひとつで世界はガラッと変わって見えるのだから」という勇気をくれる、『十和ものさし』のお話が、大好きです。

たぶん、そこらへんの棒切れでも、虫取り網でも、カメラでも、楽器でも、ボルダリングマットでも。
いろいろな「石垣島ものさし」で測られるのを、もしかしたら石垣島も待っているのではないかなぁと、ちょっと傲慢で、楽しみな気持ちになったりしながら、今日もそれなりに一生懸命に過ごしています。

今月のふろく

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この記事を書いた人

佐藤仁(おしゃべりのデザイン/私立図書館)

1992年山梨生まれ、大阪育ち。
幼稚園時代の文集に書いた将来の夢は「サラリーマン」。大学卒業後その夢を叶えるも、3年経たぬうちに退職し、2017年に石垣島に移住。
現在は石垣島にて、名刺、ロゴ、コンセプト、しくみのデザインを仕事としつつ、Tシャツ屋『しろはら商店』、私立図書館『みちくさ文庫』を運営。<このコーナーの他の記事を読む>

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